2014年08月17日

名優と巨匠、あいついで逝く

 第一報を耳にしたときはにわかには信じられなかった。名優、ロビン・ウィリアムズ氏の突然の訃報。それも自死だというからさらに驚愕。どうも鬱病だったらしい。

 日本でも、たとえば何年か前までEテレにて放映していた「セサミ・ストリート」にも道化師みたいな出で立ちで登場したりと、子どもから大人まで、けっこう幅広い世代に知られていたんじゃないかって思います。ほんとうに残念だ。もっともっと作品を見たかったのに … 。

 家事手伝いロボットを演じた「アンドリューNDR114」、実在の異色のお医者さんの半生を描いた「パッチ・アダムス」、心を閉ざした天才青年を支える心理学者に扮した「グッド・ウィル・ハンティング / 旅立ち」、そして、個人的にはもっとも印象深かった、音楽の神童を描いた感動作「奇跡のシンフォニー」… どれもみんな、たんに泣ける作品、ではなくて、見応えがあって、大げさな言い方ながらいかにして生きるべきか、ということまで考えさせてくれる作品が多かったように感じます。

 「奇跡のシンフォニー」で共演したハイモアくんは当時 14歳くらいだったから、この超個性派とも言うべき名優からいろいろ教わったんじゃないかな。最近の報道ではなんかパーキンソン病まで患っていたそうだけれども、映画界にとってはとてつもない損失だと思う。

 そういえば今年2月、「パッチ・アダムス」での共演者のひとりでオスカー俳優でもあるフィリップ・シーモア・ホフマン氏も、ヘロイン中毒で 46歳という若さで急死したばかり。いい俳優さんがどんどんいなくなっていくなあ( 泣 )。

 と、そんな折も折、まさか、という人の訃報まで入ってきた。フランス・ブリュッヘン、行年 79歳。かつてグスタフ・レオンハルトを「現代のバッハだ !! 」と評したのはあまりにも有名な話。リコーダー / フラウト・トラヴェルソ奏者としても高名ながら、後年はみずから組織した「18世紀オーケストラ」の指揮者として全世界の古楽ファンを魅了した。モーツァルトやベートーヴェンの交響曲の録音も、バロック時代の音楽と同様、当時の楽器による、当時の演奏解釈と奏法によって再現するという手法を採用して、テンポからフレージングから音響すべてにおいて、これも大げさな言い方ながらそれまで聴いていたこれらの交響曲のイメージが刷新されたりもした … とても新鮮な響きだったことをおぼえてます。

 レオンハルトとちがって、こちらはあいにく実演に接する機会もないままで終わってしまい、いまにして思えばやっぱり残念な気がする。一度くらいは聴いておくべきだった。

 こちらの追悼記事に、
... For each of these performances, Brüggen earned exactly the same as his orchestral players, a musical democracy you felt in action whenever you watched him conduct. He seemed to share the music with his musicians rather than lead them.

というのは、「プレイヤーみんなが対等に音楽を作っていた」時代の、まさに古楽的指揮法だったんじゃないかと思います。歴史資料や様式研究にもとづき、音楽のもつ構造そのものからそのすばらしさを引き出す手法。「ブリュッヘンのアプローチ法を特徴づけるのは、解釈の介在を感じさせずに作品それ自体に語らせる、その驚くべき音楽性の高さだ。同じことはバッハ演奏にも当てはまる。ブリュッヘン指揮による『ミサ曲 ロ短調[ BWV. 232 ]』は、2時間弱の演奏時間中、ポリフォニーの持つ可能性と霊的啓示が途切れることなく讃美され、絡みつく旋律線はいわばエピファニーだった[ 以上、拙試訳 ]」。

 「ガーディアン」の追悼記事では、「長年の演奏・録音活動からほんの数コマのみ紹介するのはどう見てもおかしいが」と断ったうえで、ブリュッヘンの軌跡を辿るかたちで動画が掲載されてます。そう、たしかにブリュッヘンもまた、「比類なき音楽家( one-of-a-kind musician )」でした。いまごろレオンハルトとあちらの世界で、バッハやモーツァルトやベートーヴェンと熱く語りあっているのかな。

 おふたりのご冥福を心より祈って。


posted by Curragh at 01:38| Comment(0) | TrackBack(0) | おくやみ
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