2006年08月06日

61回目の広島原爆忌に思うこと

 今年の広島原爆忌は日曜日でした。おりしも昨夜のNHK-FM「FMシアター」でも、広島で被爆した一家族の60年を描いた漫画作品を原作としたドラマをオンエアしていました。

 人間の歴史は殺戮につぐ殺戮の歴史でもある、ということは厳然たる事実ではあるけれど、いまのヒズボラとイスラエルとの戦闘にしても、もうすこしなんとかならないのかと思う。しょせんどちらも宗教を盾にして、自分たちの都合のいいように利用しているだけ、けっきょくなんの罪もない一般市民が連中に振りまわされて、犠牲になってしまう(この問題は根が深くて、一概にそうだとも言い切れないとはいえ)。一時、米国がイランにたいして核兵器を限定的に使用するかも…という情報が流れたとき、サルトルじゃないけど思わず「嘔吐」しそうなくらい、暗澹たる気分になってしまった。兵器にconventionalもnuclearもないけれど、ドラマに耳を傾けているうちに、核兵器ほど非人道的な殺戮兵器はないと思いました。どこの国の人間も、またどんな信仰・信条の持ち主であっても、なんの落ち度もない市井の人々をそれこそ子々孫々にわたって苦しめるという、こんなおぞましい「呪い」をかける権利はないはず。

 核兵器つながりでは、バルサ筏タンガロア号の航路も、かつてフランスが核実験を繰り返してきたムルロア環礁のすぐ近くの海域です。おじいさんのヘイエルダールがコンティキ号で漂流した時代は、あのビキニ環礁をはじめ、水爆実験が繰り返されました(タンガロア号は先月末にぶじ目的地タヒチ島パペーテ港へ到着したみたいです)。

 また最近になって強く認識するようになったのが、「子ども兵士」。たまたま日曜版朝刊にも関連本の書評が掲載されていましたが、こちらも核兵器におとらず「嘔吐」をおぼえる。なんとおぞましいことか。

 あるblogさまにもコメントしたことで、カブってしまうけれども重複もかえりみずにこちらでも紹介しておきます。

 先日、新聞記事に、こちらのNPO団体の講演の話題が掲載されていました。長年の内戦で疲弊したあるアフリカの国では、年端もいかない少年少女たちを誘拐して、あろうことか「兵士」として前線へ送り出す、という悲劇が繰り返されてきた。ある村に母とふたりで住んでいた12歳の少年も誘拐され、武器を渡され兵士として訓練された。ところがある日、上官から命令されたのは、なんと自分の村に行って肉親を殺せという。そんなことはできないと少年が訴えると、では母親の右腕を切断しろ、でないとおまえも殺すと脅され、泣く泣くそのとおりにしてしまった。何年かぶりに母と再会したが、少年は母親が以前のようには自分を愛してはいないと感じている、という、まさしく吐き気をおぼえるような恐ろしい話でした…しかも子どもたち対象の講演会で話されたことなので、聞き手は大人が感じる以上にショックを受けたかもしれません。この問題、古くはカンボジア内戦でも、アフガニスタンでも、そして聖ブレンダンゆかりのアイルランドでも、「子ども兵」問題はありました。アイルランドの場合はもちろん、北アイルランドのIRA対プロテスタント住民との戦闘。ごくごくありふれた街が戦場と化す市街戦。だいぶ前にTVニュースで戦闘のようすを見たことがあります…色白のかわいらしい少年が、眼光鋭くマシンガン(!)を構える光景は、いまでも鮮明に憶えています。

 これはどう考えてもぜったいに許せない大人の「大罪」。彼らは子ども時代を奪われたばかりか、かつて兵士だったということで成人後も偏見と差別を受けつづける。なんともひどすぎます。

 ですが、その記事で自分がもっとも衝撃を受けたのがある少女の話。日本の小学生とビデオレター交換をしているこの少女が、「日本では戦争もないのに毎年3万人以上もの人が自殺している」ということを知って、たいへん驚いた…そして、内戦で心身ともに深く傷ついたこの少女がなんと言ったか。「日本の人たちがしあわせになれるように、毎晩祈っています」。

 …呆然として、しばらくはことばが出ませんでした。

 人の命をあやめるのも人ならば、人の命を救うのも人。悪魔のせいではけっしてない。「他人を殺すところで自分を殺す(J. キャンベル)」人にならなければ、人は人になれず、「餓鬼畜生」、獣にひとしい存在でしょう(いやそれ以下かも…昨今の陰惨な事件の報道を見るにつけ)。
posted by Curragh at 21:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから
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