2014年12月31日

想像力という名の翼に乗って

 2014 年、いざ過ぎてみればあっという間だったような、なかったような … 言いたいことはいろいろあれど、とにもかくにもぶじでなにより、この一語に尽きます。

 脱線ばっかのワタシなんかがここであれやこれや言うより、やっぱり今年の店じまいに際しては、個人的に心に残った「ことばの花束」として、兼好法師のごとく、つれづれなるままに書き連ねるのがいちばんよいかと思い、引用集として再録しておしまいにしたいと思います( 否、手抜きではけっしてない。以下、太字強調は引用者 )。

 ―― プロでないわたしが言うんだから、あてになるのかならないのかわかりませんけど、政治の役割はふたつあります。ひとつは、国民を飢えさせないこと、安全な食べ物を食べさせること。もうひとつは、これがもっとも大事です。ぜったいに戦争をしないこと! … アメリカにも、良心厚い人々はいます。中国にもいる。韓国にもいる。その良心ある人々は、国はちがえても、おなじ人間だ。みな、手を結びあおうよ。―― 故菅原文太氏、11 月1日の「1万人うまんちゅ大集会」ゲストあいさつにて。周知のとおり、これが最後のメッセージになった。合掌。

 ―― 世界には多くの種類の壁があります。民族、宗教、不寛容、原理主義、強欲、そして不安といった壁です。私たちは壁というシステムなしには生きられないのでしょうか。小説家にとって壁は突き破らなければならない障害です。… ジョン・レノンがかつて歌ったように、わたしたちだれもが想像する力を持っています。暴力的でシニカルな現実を前に、それはか弱く、はかない希望に見えるかもしれません。でもくじけずに、より良い、より自由な世界についての物語を語りつづける静かで息の長い努力をすること。ひとりひとりの想像する力は、そこから見いだされるのです。―― 村上春樹氏、11 月7日、ベルリンにて、ウェルト文学賞受賞記念スピーチで

 ―― Dear sisters and brothers, the so-called world of adults may understand it, but we children don't. Why is it that countries which we call strong are so powerful in creating wars but are so weak in bringing peace? Why is it that giving guns is so easy but giving books is so hard? Why is it, why is it that making tanks is so easy, but building schools is so hard?
    We are living in the modern age and we believe that nothing is impossible. We have reached the moon 45 years ago and maybe will soon land on Mars. Then, in this 21st century, we must be able to give every child quality education.
    Dear sisters and brothers, dear fellow children, we must work… not wait. Not just the politicians and the world leaders, we all need to contribute. Me. You. We. It is our duty.

[ 邦訳文 ]:親愛なる兄弟姉妹のみなさん。いわゆる大人の世界であれば理解されているのかもしれませんが、わたしたち子どもにはわかりません。なぜ「強い」といわれる国々は、戦争を生み出す力がとてもあるのに、平和をもたらすことにかけては弱いのでしょうか。なぜ、銃を与えることはとてもかんたんなのに、本を与えることはとてもむずかしいのでしょうか。なぜ戦車をつくることはとてもかんたんで、学校を建てることはとてもむずかしいのでしょうか。
 … 現代に暮らす中で、わたしたちはみな、不可能なことはないと信じています。45 年前に人類は月に到達し、おそらく火星にもまもなく降り立つでしょう。それならば、この 21 世紀には、すべての子どもたちに質の高い教育を与えられなければなりません。
 … 親愛なる姉妹兄弟のみなさん、わたしたちは動くべきです。待っていてはいけない。動くべきなんです。政治家や世界の指導者だけでなく、わたしたちすべての人が、貢献しなくてはなりません。わたしも、あなたたちも、わたしたちも。それがわたしたちの務めなのです。

―― マララ・ユスフザイ氏、12 月 10 日、オスロ、ノーベル平和賞受賞演説にて。子どもたちに本とペン、教育を !! という胸打たれるマララさんの主張を聞いていると、なぜか「希望は、戦争」なんてこと言った人を思い出した。「想像力」があるかないか、その差が、とどのつまり人を作るんじゃないだろうか。

 ―― ここ二、三十年来、次々と書店が姿を消して、生き残った書店の本棚を占めるのは、興味本位の娯楽書や実用書ばかりである。とりわけ古書店の衰退は顕著で、古本屋めぐりの楽しみも奪われてしまった。それと機( ママ )を一にするかのように、多くの大学から教養部が消え、伝統的な文学部が消えた。国際化・情報化の名の下に、教養教育が軽視され、古典はおろか近代作家の作品すら読めない、さらには読書すらしない学生が、目立つようになった。人は文字遺産によって先人の叡智を学び、豊かな感性を養う。教育機関の存在意義は、新に自律的な教養人を育てることにある。このことをおろそかにした実学偏重は、基礎工事抜きで高層建築を建てるに等しい。―― 元静岡大学教授 上杉省和氏、1月 13 日付 「静岡新聞」掲載の「教養教育の意義」から

 最後に、やっぱりいま一度、名優・高倉健さんの名言を引いておきたい。これはたぶん、ジョイスの言う「エピファニー」とおんなじことを言っているのだと思ってます。

 ―― 人生は切ない。切ないからこそ、なにかに「うわっ」と感じる瞬間がある

posted by Curragh at 20:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々の雑感など
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