2006年08月17日

お盆――自然に癒される

 旧盆期間は親の実家のある西伊豆(安良里)へ行ってました。

 昨年、親戚の伯母さんが他界したので今年は新盆にあたり、その法事に参加するためでした。

 到着した日がたまたま安良里地区の花火大会・盆踊り当日。天気も快晴で、これは幸運でした…ここの花火は三方を小高い山々に囲まれているためか、対岸の砂嘴に建つ灯台付近から花火が打ちあげられるたびにものすごい轟音が轟きます…とにかく音響効果が抜群でして、平野部で上げる花火とは迫力が桁違いです。それに、典型的な「きんちゃく入江」越しに打ち上げられるので、夜空に大輪の花が咲くと、水面にも水中花よろしく鏡写しになって、花火のシンメトリー模様を形作ってほんとうに美しいのひと言…おまけに夜空には北斗七星までくっきり見える。満天の夏の星空、水面に反映する花火…こんな贅沢な光景、都会ではけっして見られるものじゃありません。ほんと、こんな美しい花火を堪能したのはひさしぶりです。

 ただ、予算の関係(?)か、せっかくの花火もわずか30分くらいでおしまい、里人はさっさと盆踊り会場へと移動してゆきました…。

 花火を楽しんだあと、いま一度親戚宅から外へ出ると、あいにく台風から飛んできたとおぼしき雲が全天にわかにかかりはじめましたが、それでもMilky Way、天の川を見ることができました…天の川を見るのもひさしぶり…しばし見とれていると、5分おきくらいの間隔で、オレンジ色に明滅する奇妙な飛行物体が、音もなく静かにほぼ真西から真東へすーっと飛んでいくのに気がつきました…しばらく見ていましたが、ジェット機にしては静かすぎるし、速度もやたらに速くて、いったいあれはなんだったんだろうか(いわゆるUFOのたぐいは信じてない人)??? …。

 翌朝早く行われた法事(「とぼしあげ」と言って、寺から供物をもって港の岸壁まで下り、送り火を燃やして亡くなった人を成仏させる)もぶじに終わって、軽く朝食をとったあと、帰るまで時間もまだあるしさてどうしようかと思っていたら、おなじく法事に参加するために横浜から来ていた、親戚の孫に当たる中1の男の子が捕虫網と虫かごを手に出かけようとしていたので、暇だし自分もいっしょに昆虫捕りにつきあうことにしました(この子の趣味は昆虫採集)。

 安良里の入江のもっとも奥にある造船所から対岸の通称「向山(むかいやま)」沿いに道路を歩いて行ったけれどもたいして虫もいなかったので、道路から「西伊豆歩道」ハイキングコースへ入ってみることに。セミの大合唱が林間のそこここから聞こえてはくるけれど、やっとつかまえたのはクマゼミ。ニイニイゼミとかも見かけたけれど、相棒いわく、「こんなのは都会にもいる」(夕方だったらヒグラシとかが捕れそうだけど)。自分もきちんと山登りの格好をしているわけではなくて、夏用スラックスに革靴(!)という、およそハイキング向きではない出で立ちだったので、「引き返す?」と水を向けてみたら、「めんどくさい。もっと先へ行こう」。というわけで、想定外の真夏のハイキングをさせられることになりました…。orz

 …かくいう相棒もビーチサンダル(!!)で山に入ってきたものだから、足は大丈夫かなと気にはなりました(くれぐれもこんなもの履いて山に入らないように)。

 …働き者(?)のクモのおかげで歩道にはやたらとクモの網が張り巡らされています。そのたびに彼から捕虫網を借りてはせっせと道を切り開く…途中、何箇所か倒木が道をふさいでいたりでもうさんざん。…ところが視界が開けて、黄金崎越しになんと富士(!!)が見えはじめるとがぜん元気が出てきて(自分でもイヤだな、この性格…)、このまま一気に対岸の砂嘴・網屋岬と田子方面への分岐点まで登りきってしまった。…このときにはもう汗だくで、ほうほうの体。分岐点から網屋岬方向にしばらく進むと丘のてっぺんにあずまやがあるので、そこでひと休み、というか、駿河湾越しに富士と黄金崎を写真に撮っていた(もちろん相棒も入れて)。ここまで道中、何度か昆虫を捕まえられそうなチャンスがあったけれども、けっきょく一匹も捕まえられず。それでもめったに見られない真夏の富士を目の当たりにして、相棒もすこしは満足げに見えました。この日は真夏としてはほんとうにめずらしく南アルプスや日本平、静岡方面もはっきり望めました(接近中の台風のせいで朝は雨、虫捕り後もスコールになったりと天候は目まぐるしく変わり、西伊豆というよりアイルランド西海岸みたいな天候でした。山を登っている最中にも一雨きましたが、すぐ雲は切れて晴れました)。

 帰り。行きは虫捕りにたいして乗り気でなかった自分も、ひらひらと舞うチョウだけは捕まえたいなー…と思うようになり、気がつくと相棒以上に虫捕りならぬチョウ捕りに夢中になってしまった。いいトシして捕虫網を振り回すことになるとはこれまた思ってもみない展開でしたが、これが意外とおもしろい! でもむずかしい。…チョウの種類についてはなんにもわからないのですが、黒っぽい大型のチョウで、ジャコウアゲハと思われるチョウが、目の前の茂みに静かに止まりました…息を殺してそっと近づき、捕虫網を構えました。

 「チャ〜ンス!!」うしろから甲高い声。うっ、緊張…とそのせつな、黒チョウはひらひらひら…時すでに遅し、でした。網を振りたくってももうだめ。

 「あ〜あ…」。でもこの子、ご両親譲りなのか、育て方がよいのか、いずれでもあると思いますが、けっして他人の失敗をなじったりしません…いまどきの子としては珍しくとてもおっとりしていて、とても横浜育ちの少年とは思えない。むしろ西伊豆の子以上に「すれていない」。体つきも13歳になったばかりとは思えないほど小柄なせいもあるかも知れないけれど、そこにいたのは純真無垢の塊みたいな少年でした。それにしても、チョウの採集家ってすごいと思います。チョウって捕まえるのはかんたんじゃないですよ、ほんとに。…ただたんに下手くそなだけでしょうけれども…。

 このかわいい道連れと虫捕りに興じているあいだ、疲労困憊しているにもかかわらず、身も心もウソみたいに軽くなるのを実感していました…。やっぱり自然の力はすごいですね。ちなみに伊豆半島の海岸部はエアコンがいらないくらい快適で(場所にもよるけど最高気温が30度以上になることはまずない)、山の中に入ると梢を吹き渡る風がほんとうに涼しくて、気持ちいい。樹々からはフィトンチッドか、なんともいえないいい香りが漂ってきて心底リフレッシュされます(けれどもこの時期はマムシがいるので、ほんとは山に入るのは避けたほうがいいかも…)。

 …けっきょく成果は帰りがけに相棒が運良く捕まえたバッタ2匹と名前のわからない小ぶりな白っぽいチョウ1羽。さすが手馴れている彼、ちゃんとエサの葉っぱも虫かごに詰めています(catch & release 派らしく、親戚の家に着くと虫たちを庭に放していました。それをデジカメで撮影するあたりはいまどきの子らしいところ)。

 帰りは土肥から船に乗ることにしていたので、横浜から来ていた一家より一足早くおいとましました。帰りしな、おそらくもう会うことなどそんなにないだろうと予感しながらも、虫捕りにつきあった中1の甥っ子に元気でね、と声をかけると、

 「うん。また遊ぼうね!」

 …そう、遊んでもらっていたのはじつはこっちのほうでした。orz

 …よけいなお節介だけれども、もっと食べないと大きくなりませんぞ > かわいい甥っ子どの。

 …できの悪い花火の写真を追加しました。三脚を持って行かなかったので岸壁に固定して撮ったのですが、さすがに30秒露光はブレますね…でもこのブレ加減がよかったりして(ウソです)。

fireworks2.jpg


追記。

 安良里に向かうバスの車窓から、伊豆市土肥の八木沢・小下田付近に差しかかったときに海を見ると、一部の海面が得体の知れないコーヒー色に変色しているのに気づきました。

 赤潮??? お盆時期に赤潮って珍しいな…と思いながら見てましたが、後日地元TVニュースを見ますと、どうも清水港あたりでちょっとした騒動になった、茶色の浮遊物質とおんなじものだったらしい…正体は珪藻類プランクトンの死骸に微生物やらなにやらが合体したものらしい。このプランクトンはゼラチン質なので、死ぬとゼラチン質だけが抜け殻みたいに残って、そいつにいろんなものがくっついてヘドロ状の塊になったもの、とのことでした(赤潮は「生きた」プランクトンの仕業なので、赤潮ではありません)。

この記事へのコメント
この度は記事の御記載ありがとうございました。
何かありましたら是非ともご連絡ください。
高野昭夫
Posted by 高野昭夫Akio Takano at 2006年09月05日 21:49
高野先生、

このたびはコメント寄稿、ありがとうございました。m(_ _)m

当方からの返信と質問は、「バッハ最古の自筆楽譜発見!(9月2日投稿分)」の記事の下に書きましたのでご了承ください。
Posted by Curragh at 2006年09月07日 09:24
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