2008年02月29日

Leap dayにバッハ複顔

 今日は4年に一度の「調整日」である2月29日。この日生まれの音楽家は食通でも知られるロッシーニだそうです(1792年2月29日生まれ)。地球の自転はじつは一日と5時間ほどで、このズレを埋め合わせるために現行のグレゴリオ暦では4年に一度のうるう日(leap day)を作って調整しています。ともあれ、今日がお誕生日の方、おめでとうございます。

 2月最終週の「バロックの森」、月曜のテーマは「音楽と数学」でした。で、以前にもNHK-FMで聴いておおいに気に入ったヴィオール合奏団「フレットワーク」による「フーガの技法」抜粋がかかりました。その前に、オケヘムの「ミサ・プロラツィオヌム」という作品がかかりましたが、「さまざまな拍子によるミサ」というタイトルどおり、拍子の異なる各パートが重なり合うというひじょうに手のこんだ作品で、当時のポリフォニー作曲技法というのはすごいものだということをあらためて感じました。ルネッサンス音楽はこのような複雑に絡み合うポリフォニーが高度に発達した時代でしたが、残響の豊かな聖堂内でわんわん響くと「なに歌ってんのかわからない」ということで、トリエント公会議以降、もっと簡素で明瞭に歌詞が聞き取れる音楽が求められるようになった…というのは前にも書きましたね。なにごとも極端に走ると揺りもどしが来るものです。そうはいっても「フレットワーク」の演奏はフーガの4つの声部がくっきり明瞭に浮かび上がってほんとうに聴きやすい。ヴィオールという楽器との組み合わせの妙、というのもあるかもしれない。相性がいいというか。

 中世からバロックまで、音楽は一種の数学と考えられてきました。中世ヨーロッパの大学では、音楽も天文・幾何・算術とともに数学系の科目として教えられていました。哲学者のライプニッツも、「音楽とは魂が知らず知らずのうちに数を数えること」と言っているくらいです。たとえば協和音も、2:3というようなかんたんな数比例に置き換えることができます。オルガンパイプのフィート(フット)律のほうが視覚的にひじょうにわかりやすいかもしれません。2本のパイプを用意して、1オクターヴ高い音を出すパイプの長さはもとのパイプの長さの半分になる、ということを示せば一目瞭然です。長さ8フィートのパイプの出す音は記譜上のC2で、記譜上の音とじっさいの音高はおんなじです。これのオクターヴ上の音を出すパイプは半分の長さの4フィート管になり、さらに上の音は2フィート管になる、というぐあい。逆に8フィート管のオクターヴ下の音を出すのは倍の16フィート管になります(てっぺんが蓋で閉じられたパイプ、「閉管族」のパイプは4フィート管でオクターヴ下の音が出る)。またカノンやフーガの楽譜って、楽譜というよりなにか幾何学的にデザインされた庭園でも見ているような趣がありますね。たとえばパッヘルベルの「カノン」の楽譜。整然と並び、つぎつぎとおなじ旋律を模倣する四分音符、八分音符進行を見ると、数学的秩序の支配というのを強く感じます。バッハでは、たとえば「フーガの技法」の有名な「未完の三重フーガ」第二主題の音符数は41で、これはJohann Sebastian Bachを数で置き換えた41とおなじ。また「フーガ 変ホ長調 BWV.552」では「変ホ長調」の調号はフラット三つ、全体も三つの主題によるフーガで三つに分かれていて、これは「三位一体」を象徴している、とか。当時の音楽家にとって「数による象徴」というのはごく当たり前の発想でした。またケプラーは『宇宙の調和』という著作で、なんと惑星に音階を当てはめてもいる(→参考サイト)! 

 とそんな折りも折り、なんとバッハ生前の顔が復元された、という記事が地元紙に載ってました。どうもこれ、以前「復元して」製作したライプツィッヒ・聖トーマス教会脇に立つバッハ像建立が今年で100周年にあたるので、あらためて最新技術を駆使してバッハのほんとうの顔を復元しようという企画だったらしい。個人的な感想としては、むむむ、なんだか「おばさん」顔に見えてしまう(失礼)…例のかつらに正装、というよりは、頬かむりして割烹着着てハタキをもって、オルガンに積もったホコリをパタパタ払っている感じ…がしないでもない

posted by Curragh at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽関連
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