2008年03月24日

理想的な図書館!

 米国東海岸沿いには、独立当時からの貴重な蔵書を多く保有する学術図書館(athenaeums、日本風に言えば「なんとか文庫」のたぐい?)が、南北にわたって帯状に点在しています。というわけで今回は、そんな文化財としても第一級の価値ある図書館めぐり歩きの記事。

 記者が取材に行ったのはプロヴィデンス・ボストン・レッドウッド・セイレム・ポーツマスの各学術図書館。これら図書館に共通しているのは、会員制だということ。いま調べてみたら、ボストンの図書館の場合、昔は上流階級の男性会員限定だったらしい。でもたとえば観光でかの地を訪れて、たまたま威容を誇る堂々たるファサードに目をとめ、なんだろうここは、というふうに飛び入り客でも入館はOK! しかも、非会員には一部制限つきながら、基本的に蔵書閲覧もOK!! そしてなんと、60万冊以上の蔵書を誇るボストン学術図書館では、犬を連れての入館までOKですと!!! '... those that behave, a staff member was quick to add.'とはなんて粋な返事、日本ではとても期待できそうにない(蛇足ながら、behave一語だけで「行儀がよい」という意味になる)。

 スライドショーを見ていただければわかるとおり、「これぞ図書館の理想像」とでも言うべき、いずれもすばらしい建物ぞろい。200年くらい前の古書も豊富に収蔵されているから、いわゆる稀覯本好きならたまらないと思う。セイレム学術図書館の場合、いっときあのホーソーン(『緋文字』の作家です)が会員だったというし、ボストン学術図書館の歴代会員にはエマーソンに大英語辞典の編纂で名高いウェブスター、6代目大統領のアダムズと、こちらも錚々たる顔ぶれ。

 これらの学術振興目的の図書館は、いまはやりの複合施設の先駆でもある、というのも共通した特徴です。ポーツマスの図書館には当地で建造された船舶の絵画が飾られていて、本よりそっちのほうが目的の入館者もよく来るとか。プロヴィデンスの図書館では、毎週金曜、会員・非会員問わず歴史・文化についての討論会が開かれ、そしてなんとシェリー酒の差し入れまであるという(飲みたい)! レッドウッド学術図書館には彫刻・絵画・調度品を展示するギャラリーがあり、昨年の来館者総数は1万8千人。その多くがやはり本よりもこちらの蒐集品目当てで訪れるそうです。ここには1ドル札の顔にもなっているジョージ・ワシントンの肖像で有名な画家ギルバート・ステュアートの署名入り作品が6点、あると言います。

 またこれらの図書館はたんに蔵書の閲覧にとどまらず、毎回テーマを決めた催し物もやっていて、ほんと至れり尽くせり、まさしく米国の知の殿堂、文字どおりのathenaeumです。ボストン学術図書館では150以上もの催し物があり、午後の紅茶会に講演会にそしてなんとコンサートも開かれるというからびっくり! ポーツマス学術図書館の目玉は、1万2千点にもおよぶ膨大な歴史的写真のコレクションだという(写真好きなので、おおいに興味あり。懐かしの「ステレオ写真」もいっぱいあるらしい。また公式サイト上で、4千点もの絵葉書や写真が検索できる!)。またレッドウッドの図書館は米国最古の公共図書館で、ニューポートの市民が、英国から共同購入した書籍を収めるために1748年(! バッハ最晩年だ)に設立したという。そこの女性館長がまた、気の効いたことを言っています。「本は壁紙じゃないわ。読んでもらうためにここに置いてあるのよ」。そうこなくっちゃね。

 見ているだけでなんとも楽しげな文化施設ではありませんか。日本にこんな図書館、はたしてあるのだろうか…。とくに地方の公共図書館の場合、真っ先に予算が削られるのが図書館とか、文化関係だったりする。運営も民間の管理者に丸投げするとかが一種の流行りのようになっている。司書の数も決定的に不足していますし。また最近では本を借りに来る人のマナーもひどい。自分は経験ないけれど、写真が切り抜かれていたり、ページが破られていたりといった事例が多いらしい。こちらの問題もほんと困ったもんです。利用者側がもうすこししっかりしていれば、こんな「知の殿堂」の運営は日本でもじゅうぶん採算が取れそうな気がするのだけれども(国会図書館ははっきり言って利用しずらい。複写代も高い。1枚40円也!!)…。

posted by Curragh at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | Articles from NYTimes
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/13083846
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック