2006年09月24日

YouTubeとWarnerMusicが提携

 ネットユーザー間でいまや知らない人はいない(?)感ありのYouTube。本屋にも「YouTube使い方読本」みたいなものまでいくつも置いてあるし、利用者に占める日本人の割合がけっこう高い…ようですが、先日NYTimesにびっくりするような記事が。なんとWarner MusicとYouTubeが業務提携を結んだ、というのです。

 内容をかいつまんで言うと、YouTubeはいままで一般ユーザーが「無断」で転送・公開していた音楽ビデオクリップなど、ワーナーミュージック(WM)社が版権を所有するコンテンツを自動識別して広告を表示させ、そのスポンサー収益をコンテンツ利用対価としてWM社側にも一定額支払う、またWarner所属アーティストが希望すればコンテンツを削除したりできる、というもの。当然、ユーザーの行為はWM社から「公認」された、合法的なものになります(→Yahoo! ニュースの記事)。

 …なんか「きのうの敵は今日の友」みたいな展開…WMほどの一大レーベルが、版権侵害もはなはだしいサイトを逆に味方につける…というのは、とてつもなく大きな音楽業界再編に発展しそうな予感が…。げんにiTMS隆盛の影で、米国ではとくに洋楽もののCDがさっぱり売れず、老舗タワーレコードが破産したりしていますし。音楽CDがなくなるのは困るけれども、一昔前のような、メジャーレーベル側が「仕掛け」て消費者を囲い込む、ないしは誘導するという戦術はもはや通用しない時代になった、ということを象徴する出来事のような気もします(若手アーティストの多くは売り込みのためにYouTubeを活用するのが当たり前、見たいになっています。ちなみにビリー・ギリマンくんも本人公認インタヴュー動画を公開しています)。

 記事にも引用されてましたが、ワーナー側代表の言い方がまた振るってます。「法廷闘争より技術革新を通して業界をリードするのが当社の基本方針。この手の『ユーザーの作ったコンテンツ』という現象は今後ますます増大し、それを食い止める手立てなどないだろう。われわれもその一員として手を組んで消費者に最高の体験を提供し、それによってわれわれと所属アーティストにも確実に見返りが期待できるようにしたい」。いかにも米国らしいpositiveな発言ではありますが、見方を変えれば版権をもつ側の既存音楽業界が、この手のユーザー主導型サイトとの戦いで、はっきり自分たちの「負け」を認めたようなものとも受け取れます。とはいえまだまだYouTubeが「第二のNapstar」になりかねないと危惧する向きも多いので、今後どうなるのかは「神のみぞ知る」ところでしょうか。

 …ポッドキャスティングもまだなくて、当然のことながらiPodなど携帯mp3プレーヤもなかったころ、MyPlayというサイトを利用していたことがあります…自分が利用者登録してほどなく、ドイツのベルテルスマンという大企業に買収されてサイトそのものが消滅してしまったけれども、いま考えてみるとある意味YouTubeの先駆け的存在だったのかなとも思う。YouTubeでユーザーがアップロードするのが動画…なのにたいして、MyPlayのほうはmp3ファイルのみで、ようするに「自分専用のWebジュークボックス」を作るサイトでした。容量も当時としてはずば抜けていてなんと3GB。ファイルがmp3のみだから、じゅうぶんすぎておつりがくるくらい。利用者間でたがいの「ジュークボックス」内の音楽を聴きあったりできる点もYouTubeとよく似ていますが、自分はさすがに版権侵害にあたると考え、「共有」ということまではしませんでした…あくまで自分専用の「ロッカー」にアクセスして、個人的にストリーミングして楽しむのみ。でもこれがけっこうおもしろかったのです。

 最近、たとえば日本でもこちらのような、無料で大容量のオンラインスペースを貸し出してくれるサービスがありますが、この手のサービスってかならず米国のほうが先ですね…。

 音楽にせよ動画にせよなんでもかんでもデジタル化が進むと、どうしても突き当たるのが古くて新しい著作権問題。ワーナーとYouTubeの場合、メジャーレーベル側もいままでのようにすぐ「訴訟!」と言ってユーザーを敵にまわす手法より、合法的にユーザーを抱き込んでしまったほうが得策と考えはじめた最初の大きな事例でしょう。'User-generated content' はもはや無視できない流れ、一部の著作権者の利益より大多数ユーザーの「知の欲求を満たす」ことのほうに世の中の流れがシフトしつつあるとも言えると思います。たしかにYouTubeには「絶版」ないしは「門外不出」、お蔵入りになってしまった過去の貴重な映像が――画質もよくないし10分までという制限つきとはいえ――垣間見られる、というのはなんともありがたいこと。いわば掘り出し物の宝庫です。なんとBACやアンソニー・ウェイなんかもいろいろ出てくる。なかにははじめてお目にかかるプロモーションビデオまであったりする。LiberaにいたってはそれこそAngelVoices時代のクリップから現役のマイケル世代までぞろぞろ出てきます。

 著作権がらみではフランスでもiTMSをめぐって昨年来ごたごたしていますが、先日こんな記事も見かけました…。

 書籍など、出版物では「ベルヌ条約」というのが「世界標準」なのですが、欧米諸国は「条約」のうたう、「原著者の死後最低50年」保護されるべき著作権を、軒並み「70年」にまで延長している国がほとんど、日本もそうしてほしいと各著作権団体が文化庁に直訴した、という…。なるほど『星の王子さま』は故国フランスではまだ著作権保護期間が切れていないのですね…日本だけが先に切れてしまっている。自分たちは20年分の「権利」を奪われている…という主張です。

 言っていることはわかるけれども、どうなんだろ…その結果、埋もれたままになって忘却のかなたへ、なんて作品もけっこう出てくるんじゃないでしょうか。すくなくとも「ベルヌ条約」は遵守しているわけだし、やみくもに期間延長、というのは疑問。もっともこのへんは欧米諸国とこちらとでは、版権にかんする考え方の違いも絡んでいるので、単純に片づけられない難しい問題ではあります。

 出版物もそうだけど、こと音楽について言えば日本は某JXSRACの権限があまりに強すぎる嫌いがある。CDの版権も、アーティスト本人の利益を守るというよりレーベル企業の利益優先だったり…一読者ないし一音楽愛好家から言わせると、「だれのための著作権(版権)なのか」というところから議論しないといけない気がするのです。年金問題とおんなじで。レーベル側も、即「訴えるぞ!」とユーザーを敵にまわす従来のやり方ではもはや支持は得られないでしょう。いままでほんとうに音楽愛好家のことを考えていたら、あのバカげたCCCDなんてふざけた代物を買わせるようなこともしなかったでしょうに。もっともWinnyなどのP2Pソフトで「明らかに違法に」交換している、という場合は例外。こういうのは困ります。ちゃんと買ってください。

 もしや、と思って検索したら…だれです、テュークスベリーのフランス公演アップしているのは? …いまごろアンドリューくんはウースターとか、ほかの近隣大聖堂の聖歌隊にでも入って活動しているんだろうか…と思いつつ動画に見入ってしまった。

posted by Curragh at 12:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから
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