2008年05月04日

「DJサミット三昧」

 「今日は一日 DJサミット三昧」を聴きながら書いてます。「バロックの森」からずっとかけっぱなし。ほんとはこの記事もリアルタイムで投稿すべきでしたが、あいにく――こういうときにかぎって――大家で深刻なトラブル発生。もらったメールには、しごくシンプルに「ディスク障害」とある。ヘタすると全データが飛びかねないなかなかスリリングな展開ではありますが、こちとらshrugして柳に風と受け流すほかなし(苦笑、たしか昨年のいまごろもトラブっていたような…)。

 メイン進行役はピーター・バラカン、児山紀芳の両氏。DJ総集合! みたいな特番なので、途中いろんな番組のそれこそいろんなナヴィゲーターの方と入れ替わり立ち代り、そのあいまに児山・バラカン両氏は休憩をとりつつも明けて午前1時までとは、なんともご苦労さまです(すでに17時ごろに再登場したときにはバラカンさん、ややお疲れのようでした)。「弾き語りフォーユー」の小原孝さんの生演奏もすばらしい。「こいのぼり」ってふたとおりあったんですねー。子どものころ『みんなのうた』とかで習ったはずだけど、あらためて知りました。「若葉の頃」も、「茶つみ」もよかった。いろんなDJ総集合、ということでは先月からはじまった新番組の案内役の方もちょこっと出て番組紹介がてら曲をかけてました。「ビバ! 合唱」の作曲家松本耕氏も出てましたね。かけてくれたのは、ハンガリー放送児童合唱団の歌声によるコダーイの「夕べの歌」でした。

 夕方前まで3時間ほど、クラシック枠がありました。モンテヴェルディ管弦楽団演奏による「アランフェス協奏曲」とか、音楽三昧によるバッハの「イタリア協奏曲」の中間楽章とか。ふだん、まず聴かないだろう、という曲がふんだんに聴けるのがこの手の特番のいいところですが、DJどうしがたがいにいろいろ意見を出し合う、という趣向もよかったと思う。とくにクラシック枠で、黒田恭一氏と奥田佳道氏が「FMのクラシック番組はいかにあるべきか」というテーマで対談していたのはなかなか興味深かった。リスナーからの要望も紹介されていて、SP時代の知られざる邦人演奏家の発掘を、という要望もなるほどなぁーと思いましたが、個人的には若い人向け、とくに子ども向けのクラシック音楽番組というのもあっていいのではないかと思う。NHK教育ではマペットを使った楽しい番組を放映してはいるけれど、もっと深く掘り下げた番組というのもあっていいのではないかな(「音楽のちから」はとてもいい番組だったとは思いますが)。そういうのはラジオという媒体がぴったりだと思うんだけれども。また、黒田氏が入院されていたとき、たいていNHK-FMを聴いて過ごしていたという話で、「こんな時間にこれはないだろう!」という「まずい選曲」のことを話してました。うーむ、たしかにあるよな、そういうの(笑)。もうすこしなんとかならんか、みたいな。でももし自分が病人だったら、FM放送のありがたさのほうが先にくるだろうな。もっとも黒田氏の言われた不満、ときおり感じもしますが。ラジオと言えば、バラカンさんがWebでストリーミング放送しているBBCラジオのことをしゃべってました。そうそう、BBCのラジオ放送って、すべてではないがたいていの番組は1週間Webサイトで聴けるんですよね。もちろんネット接続環境さえあれば、世界中どこにいても聴ける。そういう楽しみ方が日本のFMラジオ放送にももっとあっていいのではないか、というようなことをしゃべってました。それで思い出すのが、NYTimesはじめ、欧米の新聞社は生き残りをかけて従来の紙媒体は縮小するいっぽう、Webで閲覧する電子版にもっぱら力を入れている現状。紙媒体ももちろん大事だとは思うけれども、日本の新聞社・報道サイトはどうして数日で、あっという間に記事が消えてしまうんだろうか。このへん欧米の新聞社サイトを見習ってほしいところ(アーカイヴするという発想がいまだにない)。ラジオ放送ということでは、見たければ埼玉のNHKアーカイヴスまで来なさい、というのはどうかと…。それと、いまバラカンさんがこんなことも言っていた。「NHK-FMはもう一波あってもいいのではないか。そちらをクラシック専用チャンネルにして、残りでワールドミュージックなどすべてを網羅するようになったら…」。夢、ですねぇ。英国のClassicFMみたいなことがはたしてできるんだろうか。児山さんもこんなこと言ってました。「今日一日聴いただけで、NHK-FMってこんなに幅広い音楽を流しているんだーと驚いている人も多いのでは」。

 「今日は一日…」、あさっては「ラ・フォル・ジュルネ」三昧。こちらもおおいに楽しみ。それと、来週の「バロックの森」は「バッハの生涯をたどって」。おお、金曜日は「ベルリン自筆譜」にもとづく復元版による「フーガの技法」ですか。またバッハがフリードリッヒ大王の御前で即興演奏したという「6声のフーガ」主題は、すでに大部分が完成していた「フーガの技法」の主題からとったのではないかと思います。案内役の先生も書いているとおり、文字どおりバッハの絶筆は「ロ短調ミサ BWV.232」だったでしょう。この前読んだ小林先生の本では、スコアの途中から急激に足元のおぼつかない、弱々しい筆致に変化しているというようなことが書いてありました。あんまりこういう言い方は好きではないけれど、手っ取り早くバッハの生涯と作品を知りたい向きは、すべてエアチェックすべし。

 …関係ない話ながら、この前こちらでも紹介したローランド社の電子チェンバロ初回販売分はなんと売り切れた! そうで、そんなに需要があるのかとこれまたびっくり。まぁ、たしかにこの手の楽器としては破格とも言える価格だし、売り切れてもべつだん驚くには当たらないけれども…。え、なに、試奏もできるって?? お店は茅ヶ崎か…。

追記。いま、「弾き語りフォーユー」を聴いたら、「こいのぼり」という歌はもっとあって、最新版も入れると4つほどあるらしい。うちひとつは戦時中の短期間のみ歌われていた「幻の歌」。どうりで知らないわけだ。

 …それと、こちらは関係ない枝葉末節の事柄ですが、大家が倒れる前のアクセス状況はどうだったんだろうとちらと見てみたら、某民放番組の影響だろうか、以前「地球ドラマチック」で放映された「ダ・ヴィンチ捜査官」がらみの記事へのアクセスが集中、一日当たりの訪問者数もふだんの2倍以上という盛況ぶりで、こちらがたまげた。

 ヴァザーリの描いた大壁画には'Cerca Trova'なるイタリア語のキーワードが隠されていたけれど、じつはバッハもおんなじような仕掛けを残している。「音楽の捧げもの」に収められた「2声の謎カノン」自筆譜には余白に、ラテン語で'Quaerendo invenietis'と但し書きが付されている。カノンやフーガ形式の発達したフランドル楽派では楽師間でこの手の「音楽クイズ」もどきの作品をたがいに演奏しては腕を競い合っていたらしい。また「音楽の捧げもの」には演奏者自身で解釈して「カノンの解決」を組み立てなければならない「4声の謎カノン」もあり、いろんな「解決譜」が提案されていてこたえはひとつではありません。長い伝統をもつ対位法の技法が急激にすたれ、ギャラントで明快な音楽の台頭する時代にたいする強烈なアンチテーゼというか、「フェルマーの最終定理」ではないけれど、「きみたちにできるものなら解いてごらん」とバッハがほくそ笑んでいる姿がどうしても浮かんできてしまう。

posted by Curragh at 12:23| Comment(2) | TrackBack(1) | NHK-FM
この記事へのコメント
おひさしぶりです。
音楽に限った話ではないのですが、自分の世界は広くて深い方が楽しいですよね。公共的な機関(NHKとか学校とか)は、もっともっと市民の世界を豊かにする努力をするべきだと思います。
Posted by イワン at 2008年05月19日 12:34
イワンさま、コメントありがとうございますm(_ _)m。

公共放送は、最後の砦みたいな印象があります。もしこれが消滅したら、それこそ音楽のみならず、日本の文化そのものの危機だと感じます。いやもうすでに危機的状況なのかも…。

blogのほう、これからも楽しみにしています! 
Posted by Curragh at 2008年05月20日 02:49
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今日は一日“DJサミット”三昧(ざんまい)
Excerpt: 本日のNHK-FMの超長時間特集を引っ張っているのはピーター・バラカンさん。 誰
Weblog: 音感:「音」楽の「感」動をお伝えします
Tracked: 2008-05-19 12:33