2008年05月17日

四川大震災とイエッサー博士逝去

1). 月曜に中国内陸部を直撃した四川大地震の報はとても他人事には感じられず、ショックを覚えるとともに、じつに複雑な気持ちになってしまった。もっともこんな物言いをするのは被災され、犠牲になった何千何万という人にたいしてまことに申し訳ない、おこがましいことは百も承知なのだが…。米国では今回の震災がどんなふうに報じられているのかと思い、NYTimesの記事も見てみました。当初報じられていた地震の規模はM7.8でしたが、米国地質調査所観測ではM7.9。なのでTimesの記事ではM7.9となっている。けれども規模はもっと大きかったらしい。地震波はなんと地球を2周(!)もまわり、東海地震観測用の体積ひずみ計が今回の地震動を感知したらしい。それを解析した結果、M.8クラスの大地震だったのではないかという(→国内関連記事)。またすくなくとも地元紙では確認できなかったけれども、Times記事によると、本震の数分後、こんどは北京郊外の通県でも小規模な地震が発生、オフィスワーカーらが首都に避難したらしい(こちらの記事によると、M3.9の地震だったようです)。

 観光客が撮影したという地震発生時の生々しい映像をTVでも見ました。とくに岩雪崩…と言うのか、絶壁から一気に大岩が駆け下るさま、あるいは巨岩がもんどり打ちながら落下してくるさまには慄然とした。地質的には、あのへんは10億年前の花崗岩地帯と風化した石灰岩とが複雑に重なり合っているところらしい。激しい地殻変動のためか、花崗岩には細かな節理が発達して崩壊しやすいとも聞いた。現場は山また山の急峻な山岳地帯ゆえ崖崩れに巻き込まれた犠牲者もいたかもしれないが、むしろ屋内にいて崩れた建物の下敷きになり亡くなった人のほうがはるかに多かったように感じた。Times記事でもそれを物語るように、成都では建物内で被災した約4000人がいったん病棟内に運びこまれたものの極度に怖がり、しかたなく屋外で急ごしらえのテントを張って手当てに当たったという話も書いてありました。一連の報道写真を見たときすぐ感じたことですが、大地震発生とともに、多数の建物が文字どおり一瞬にして崩壊してしまったのでしょう。日常の、ごくごく当たり前の光景が一瞬のちに地獄と化す。ことばも出ない。また北京市内の高層ビルで地震動を感じたという人は、

'I suddenly felt very dizzy, as if I were heavily drunk,' said Zeng Hui, who works on the 22nd floor of an office tower in Beijing. 'I thought I was seriously ill, then I looked around and saw my colleagues felt the same way.'

というふうに言っているので、高層ビル特有のいわゆる「長周期震動」が発生したと思われます。

 またTimes記事も触れていたけれど、震源近くには有名なジャイアントパンダの臥竜保護区もあり、AFPBBサイトにもパンダとともに大地震に見舞われた人の話が掲載されています。

 また世界遺産にも指定されている、紀元前に造営された水利施設・都江堰にも被害が出ているらしい。おなじく世界遺産の、あの美しい九寨溝も気になると言えば気になる。もっともいまは――72時間はとうに過ぎてしまい、中国当局の初動体制のお粗末さが露呈したかっこうにはなったが――とにかくひとりでも多くの生き埋めになった人を助け出すことが最優先。日本のプロ救援隊も、遅きに失した感は否めないものの、とにかくいまは現地で必死に救助活動に当たっているから、まだ希望は捨ててはいけない(初動体制のまずさは、日本もよその国のことは言えない。阪神淡路震災のとき、当時の仙人然とした首相はスイスからの救援隊受け入れを断っている)。

 中国メディアはこぞって日本の防災対策を賞賛しているようですが、外側から見ればとなりの芝生は青く見えるもの。今回の震災でもっとも悲痛だったのは学校の建物の下敷きになってしまった子どもたち。では東海地震説から30年以上が経過した静岡県では、学び舎の耐震化は完了しているのか、とくるとこれがじつはそうではない。達成率はいまだ80%台にとどまっている。全国では、なんと4万棟以上もの学校の建物が耐震化されていないという。こういうところにこそ、真っ先にわれわれの税金を注ぎこむべきではないですか。そういえば「道路は生活そのもの」とかのたまわった議員がいたとか。一瞬、「道路は自分たちの生活そのもの」の聞きまちがいかと思いました(苦笑)。

 …それにしてもミャンマーのサイクロンに今回の大地震と甚大な自然災害がつづき、5月だというのにまたもや台風接近。今年の夏は、昨年以上に先が思いやられます。台風にかんしては、半分は人間の活動の原因とされる、温暖化にともなう地球規模の気象異変の一環かもしれませんが。また四川大震災については、テュークスベリー・アビイ聖歌隊員時代から広東省の山村に道路を整備する支援をつづけているアンドリュー・スウェイトくんも、おそらく心を痛めていることと思う。

2). そんななか、ウィーン少年合唱団(WSK)の理事だったオイゲン・イエッサー博士が亡くなられた、との報にも接しました。あわてて一昨年聴きに行ったときの公演プログラムを引っ張り出しました…癌だったそうです。享年62。まだまだ召される歳ではありません。WSKのシューベルト・コアが日本公演の只中での訃報でした。いまはただ、ご冥福をお祈りするほかなし。

posted by Curragh at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから
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