2008年06月14日

ミツバチもつらい

 米国では2年ほど前から、受粉用ミツバチの「大量失踪」事件があいついでいます。先日も、そのことを報じるNHKの番組を見ました。

 自分がこの問題をはじめて知ったのはTimesこの記事でした。米国のミツバチ失踪事件、たしか民放でも取り上げられたし、NHKの「週間こどもニュース」でも取り上げていたので、ご存知の向きも多いかと思います。

 前に読んだマッキベンの本(Deep Economy)にも書いてあったように、米国の大規模農業というのは「広大な畑をたったひとりで」管理するという、農業というより効率最優先の無人工場みたいなところが多い(それがじっさいにはいかに非効率的かは、マッキベンが例証している)。そして大規模農業をほんとうに牛耳っているのはカーギルとかアーチャー・ダニエルズ・ミッドランドといった「食の大企業」で、契約農家には過酷なノルマが課せられ、収穫が目標に届かなければ即解約、「現代の農奴制度」という批判まであがっている、そんな「人にも環境にもちっとも優しくない」農業です。マッキベンの本にはミツバチの失踪は書いてないけれども、目先の利益・効率最優先の農業は人間のみならず、ミツバチたちにも過大な負荷をかけているのだ、という思いを強くしたしだい。無理が通れば道理が引っこむ。農家のみならず、ミツバチも共倒れです。自然の摂理を無視し、ひたすら効率最優先に走った米国型農業は、「持続不可能」な農業。ミツバチたちの起こした「叛乱」は、もうそんな農業は通用しない時代になったということを警告しているとしか思えません。もっともわれわれ日本人は、そんな米国の農産物に依存しているのですから、対岸の火事ではすまされない。残念ながらわたしたちの「食」も、米国の農場でせっせと働くミツバチの群れに頼っているのだ、ということを忘れてはいけません。

 …それにしても記事中のグラフを見ますと、大豆にリンゴ、オレンジにアーモンド、綿花に葡萄…とミツバチの受粉に頼っている作物は、ずいぶん多いですね。ミツバチの大量失踪事件は、つまるところ効率最優先の「単一種しかない畑」が招いた悲劇でもある。効率がよい=最善のことのように思われるけれども、歯車に「遊び」が必要不可欠なのとおんなじで、人間にもミツバチにも「遊び」というか無駄が必要。効率最優先の呪縛から逃れられないから、ミツバチにも人間にも過大なストレスがかかる。自然には「遊び」や無駄がきちんと備わっているけれども、経済効率最優先ではこれらがないがしろにされる、というか、悪とされる。「持続可能な社会」にするためにも、あまりに偏った価値観の根本的な転換を迫られている気がします。

 …けさ、Weekend Sunshineを半分寝ながら聴いていたら「緊急地震速報」が流れた。被災された方には心からお見舞い申し上げます。

posted by Curragh at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから
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