2015年09月22日

「繰り返し」の復権 ⇒ 「赤い扇風機」 ⇒ 「舞踏譜」

 ただいま、「今日は一日 “世界のオーケストラ” 三昧」聴取中。堀米ゆず子さんや、宮本文昭さんとかが出演されてしゃべってます( お昼すぎくらいには、指揮者の高関健さんもゲスト出演されてました )。

1). きのうの「クラシックの迷宮」。「妙技 エスファハニのチェンバロ」と題していたので、興味津々、聴いてました。このマハン・エスファハニというチェンバリスト、寡聞にしてまったく知らなかった。「ミニマル音楽」のスティーヴ・ライヒの「ピアノ・フェイズ」だったかな、多重録音した音源らしいですが、ピアノ以上に機械的(!)、無機質なチェンバロのキンキン音を聴いていると、発狂しそうになってきた( 苦笑 )。チェンバロは前にも書いたように、ピアノみたいな音量増減による表情をつけられない( 上と下の鍵盤の交替とか連結とかバフストップとかによるしかない )ので、この手の作品の演奏ではよけいその無機質な感じが強調されるのだと思う。またグレツキの「チェンバロ協奏曲 作品 40 」という作品も初耳だったが … なんという圧倒的な「繰り返し」!!! 畳みかけるような、とかそんなもんじゃない、これはもう暴力的とさえ感じられるいかんともしがたい音の絨毯爆撃、みたいなものすごい作品だった、少なくともワタシの耳では。なんというか、いかにも現代音楽だなあ、という感じ。バッハやクープランがこれ聴いたらどう思うかな。なんつー弾き方してんだコラ! って一喝するかも。ガルッピの「チェンバロの慰め」の正反対、これほどまでに聴く者に不安を掻き立てるチェンバロ音楽は聴いたことがない。ところでこの音源で使われていた楽器ってまさかバロックチェンバロのレプリカ楽器ではあるまい。オケだって大音量で攻撃してくるし、負けじとダンダンダンダンって叩きつけていたことから察すると、使用していたのはモダンチェンバロじゃないかな? いずれにしてもこのエスファハニという演奏家、チェンバロの鬼才って感じですね! 要チェックかな。

 それともうひとつ、案内役の片山さんの解説で印象的だったのが、「繰り返し」の復権、ということば。バロック時代までの変奏曲形式、たとえばシャコンヌ / パッサカリア、グラウンド( パーセルなど )には「固執低音主題」というのが付き物だったけれども、古典派以降は「ソナタ形式」が主流になって見向きもされなくなった( そして通奏低音も消滅した )… が、1980 年代くらいから、その「固執する主題」あるいは動機が復活してきた、とそんなふうにおっしゃっていた。そういえば basso ostinato を「執拗低音」なんて訳語で呼んだりするけれども、おんなじ動機 / 主題がえんえんと「しつこく」、コーダまで繰り返される。これのもっとも極端な例が「ミニマル音楽」なんだろうけれども、なるほど、そう言われてみればそうかも、と思ったのでした。音楽における「繰り返し」って、言わばもっとも原初的なものだから、かつて廃れた形式がこういうかたちでそれこそしつこく回帰してくるものなのかもしれない。

2). で、本日の「世界のオーケストラ」三昧なんですが … ボストン交響楽団は例外として、フィラデルフィア管弦楽団、NYフィル、シカゴ交響楽団など、米国の一流と言われているオケの「本拠地」ホールって、どういうわけか(?)音響が悪い場合が多かったりする。ようするに NHK ホールみたいに残響が短すぎる。そのせいなのか、やたら音を張り上げるようなスタイルの奏法が特徴になったりする。ホールの良し悪しがオケの音質、いや音楽性まで左右するという、なんともソラ恐ろしい話ではある。

 それはそうと、高関さんだったかな、ぽろっとついでみたいに話された内容がすごすぎて、思わず聞き耳を立ててしまった ―― ロシアの名指揮者、スヴェトラーノフ氏はなんとなんと、指揮台の譜面台の上に小さな「赤い扇風機」を演奏中ずっと回しっぱなしにしていた、という !!! 

 ホントかね、と思って聴きながらスマホで検索したら、たとえばこちらの検証ページとかが引っかかった。いやもう驚いた。そんなことしてたんだなあ[ と、口あんぐり ]。なくて七癖、ってとこかしら。

3). そういえば先週の「古楽の楽しみ」は太陽王ルイ 14 世時代のリュリとかカンベールとかのバレエ、オペラ作品を中心にかかっていたけれども、関根先生が、「 … これはステップの指示が記された舞踏譜で … 」と、そんなことを話していた。と、ここで天啓のごとくナゾが解けた。なんのナゾかって、いつぞや書いたこの拙記事で疑問に思った、あの「譜面のあるダンス」。ほんとのところを知るには原文に当たってみるほかないが、おそらくこれは関根先生の言う「舞踏譜」の意味にちがいないでしょうな、時代的にもどんぴしゃですし。「舞踏譜」って現物がどんなのか見たことないけど、「数字付き低音[ 通奏低音 ]」みたいな楽譜なんですかねぇ。

posted by Curragh at 22:25| Comment(2) | TrackBack(0) | NHK-FM
この記事へのコメント
Curraghさん、こんばんは。

「舞踏譜」でしたら、「舞踏譜」で画像検索すればいろいろ出てきます。また、下記URLのBaroque Danceについての英語ページにもいくつかあります。

http://memory.loc.gov/ammem/dihtml/diessay4.html

原典ですとフイエの『コレグラフ』が下記URLで閲覧できます。

http://publicdomainreview.org/collections/choregraphie-1701/
Posted by aeternitas at 2015年09月25日 19:27
aeternitas さん、ご無沙汰しております m( _ _ )m

そうですね、まずはぐぐらないと … ( ^ ^b) ともかく情報、ありがとうございます。

… それにしても、舞踏譜というものが、想像していたものとまるでちがうようで、驚いております。ダンスステップの指示書きに近いかもしれませんね。フイエの原典のほうもありがとうございます !! ああ、こんな貴重な史料がコーヒー飲みながら閲覧できるなんて … 書かれてる仏語はさっぱりですけども( 苦笑 )。
Posted by Curragh at 2015年09月26日 23:05
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