2016年01月31日

「SW EP 7:フォースの覚醒」&「シネマの天使」

1). 往年の「スターウォーズ」ファンを自認するひとりながら、今作「エピソード7 フォースの覚醒」 ―― ルーカスフィルムを買収したウォルト・ディズニー・カンパニーに制作権が移ってどうなんだろ、と訝しげに思っていたこともあり ―― ようやくいまごろになってのこのこ見に行ってきた、しかも静岡市まで。その理由は、またのちほど[ お断り:以下、ネタバレ注意です ]。

 率直な感想としては … déjà vu の連続、というのが第一印象、いい意味でもそうでない意味でも。いい意味では … やはりミレニアム・ファルコン号に「帰ってきた」ハン・ソロ船長 & チューバッカの往年の名コンビかな。'Chewie, we're home ! ' パンフ[ 1,000 円也 ]によると、このシークエンス撮影ではスタッフがなんと 150 名(!)も勢揃いして、固唾を呑んで見守っていたとか。たしかに 1978 年本邦初公開時[ 日本では1年遅れの公開だった ]以来、映画館でこの壮大なる宇宙サーガ作品見つづけてきた人間が見れば、感慨もひとしおというもの。というかキャリー・フィッシャーもハリソン・フォードも、30 数年前とほぼおんなじコスチューム着てなお現在もバシっと決まっている、という点に軽い衝撃を受けた[ もっとも、それなりに年はとってますが ]。

 そうでない意味での既視感 … もまたけっこうありました。「ルークを探せ」というオープニングロール( これは EP 5 でも出てきた )、そしてカンティーナ酒場、ジャワ族、ヨーダ … といった場面やキャラクターが「変奏」され変形されて再登場してきたかのような。雪だるま型(?)アストロメク・ドロイドの BB−8 が惑星ジャクーの砂漠に逃亡してきた場面なんか、そのまんま EP 4 の C−3PO と R2−D2 のタトゥイーン逃亡シーンとダブりますし。

 もっともこれは表面的なことで、脚本ないし筋書きはなかなか見応えありです( 脚本を書いたのはこのシリーズではおなじみのローレンス・カスダン ) … とはいえあいかわらず 3D ゲームよろしくドッカンドッカンいろんなものが吹っ飛びますし、宇宙空間の戦闘シーンは( こっちがトシとってきたから、というのもある )もうピカチュウ顔負けの激しい光の明滅の連続で、かなり目にこたえました orz ひとつ不満を言えば、ハン・ソロがちとかわいそうだったような気が … 。

 ところが … 旧帝国軍残党どもの立ち上げた「ファースト・オーダー」に共和国側レジスタンスがいちおうの勝利を収めたあと、フォースに「目覚めた」ヒロインがその憧れのジェダイマスター、スカイウォーカー師匠に「大切なもの」を届ける場面を目にしたとき、今作鑑賞の最大級の衝撃がワタシを襲った … ハイパースペースを抜けてやってきたファルコン号が海に覆われた惑星に近づく。そしてスクリーンいっぱいに映しだされたのが、茫漠たる大洋に忽然と突き出す荒々しい岩山の島、天空へと吸いこまれるかのようにえんえんとつづく石段、蜂の巣型の石組み … オイオイ、なんだこれ世界遺産のスケリグ・マイケルじゃないか !¿!? そしてあのジェダイマスターの後ろ姿 … 当方は中世初期アイルランドケルト教会の修道士にしか見えなかった! この時点でとたんにそれまでのストーリーはすべてどこかへトンで、アタマの中はかなりの混乱に陥ったのであった。いやもうほんとに、椅子からコロけ落ちそうになるくらい、もうぶっとびのラストでしたよ。

 だって考えてみてもください … 聖ブレンダンがかつていたであろう場所が、自分が小学生のときからずっと映画館で見つづけてきた「遠い昔、はるかかなたの銀河系で」のサーガの7番目のエピソードの最終場面で登場するのを目の当たりにしたのだから … 大袈裟な言い方ながら、ワタシはいままでこの場面を目撃するために生きてきたのかもって思いましたよ。こんな偶然、確率論的にそうはないだろう。

 ちなみにこのラストシーン、現地アイルランドの観客もビックリしたそうな … そりゃそうだろう、極東の島国にいるワタシだってそうだったんだから! スケリグ・マイケルのこのシーンは背景の海にちょちょっと架空の岩島を描き足し[ ただしすぐ後方の「山」の字型の岩島は実際の小スケリグ島 ]、アイルランド本土を消しただけで、ほぼそのまんまの風景で登場[ 山頂の「蜂の巣型」修道院僧坊や十字架の墓標までそのままの姿で登場した ]したのだから、驚かないほうが不思議というもの。

 余談ながら、この手の映画制作につきものの最新映像技術に関連して、こういうニュースも流れてこっちも負けずに衝撃だった。なんでもスポーツ実況記事や企業の決算報告記事なんかはいまや AI による「自動生成」に取って代わられつつある … らしいし、SF 映画の中の話だと思っていたものがいまや実用化されつつある、という昨今、BB−8 みたいなドロイドはとても役に立つだろうけど、使用法を誤ればそれこそ星系まるごと吹っ飛ばす最終兵器にもなりかねない、という危惧も同時に抱いたのであった( それにしても、みなさん BB−8 好きですね … BB−8 が R2−D2 と一緒に出てきたシーンもあったけれども、あれは兄弟的なものなのかな ?? 主人のマスター・ルークが行方不明になってからというもの、ずっと眠りこけてる R2−D2 をなんとか「覚醒」させようと躍起になってるとことかは笑えた )。

 最後にハン・ソロの名台詞をひとつ。ゆさしいから試訳不要でしょう。ヒロインのレイが、敵陣のどまんなかで脱走兵フィンやソロ船長、チューイと再開した場面で、フィンとしっかと抱きあう光景を見て ―― 'Escape now, hug later ! '

評価:るんるんるんるんるんるん

2). 「フォースの覚醒」をわざわざ静岡市くんだりまで出かけて見に行ったのも、「シネマの天使」が見たくてのことでして … 近隣の劇場では公開される予定がないようだったので、ならついでに「フォースの覚醒」も見てくるか、というしだい。スケリグ・マイケルの衝撃冷めやまぬなか、前日から降りつづいていた雨のあがった静岡市街を突っ切って静岡シネ・ギャラリーという劇場へと移動。ここは変わった映画館でして、なんと目の前が臨済宗の禅寺。それもそのはず、ここは本来はここの寺院の檀家さんのための「信徒会館」なのであった。映画館はここの建物の3階にありました[ シネ・ギャラリーでの上映予定作品では、「サグラダ・ファミリア」の記録映画に興味あります ]。

 「シネマの天使」を見に行った理由、それはひとつには静岡県民にも親しまれていた俳優の阿藤快さんの遺作となった作品だから、というのがある。「旅人、あいまに役者の … 」という前口上でおなじみの阿藤さん。その阿藤さんみずから「映写技師役」を志願して演じたというのがこの作品だったと聞いてます。

 このお話の舞台になった広島県福山市の「シネフク大黒座」さんは、なんと日本最古級の 122 年もの長い歴史を持つ老舗映画館で、監督さんが映画館の人と会食していたときにその思い入れの深さに打たれて長編作品として制作し、「大黒座の記録を後世に残す」ことを決めたそうです。なので舞台は実在の大黒座さん、地元市民の方も多数出演しています。ストーリー的には、和製「ニュー・シネマ・パラダイス」といったところでしょうか。ミッキー・カーチスさん扮する飄々とした「映画館に棲みつく天使」という発想がとてもおもしろかったし、「映画の中ではなんでも可能である」、「自分の知っていることを映画にすべし」とか、映画作りの疑似体験までさせてくれるよくできた「古きよき映画館へのオマージュ」的ファンタジー、という作品でした。阿藤さんの映写技師もすばらしかった。こういう作品が遺作になって、きっとご本人も満足に感じていることだと思う。

 「フォースの覚醒」の主演デイジー・リドリーと同様、この作品の主演もまた藤原令子さんという撮影当時まだはたちになるかならないかぐらいの若い女優さんが演じてました。相手役(?)の本郷奏多さんは、神木隆之介さんとならんで若いながらもベテランの役者さんですね。とはいえあんな色の白くて華奢な「バーテンダー」というのは、ある意味希少価値ある存在かも。そしてあのボトルキープしてあるとおぼしき赤ワインを客のグラスにどぼどぼ注ぐ場面、てっきり「日本酒」かなんかの瓶を注いでいるのかと思いました( 苦笑 )。

 … エンドクレジットでは、姿を消していった全国各地の老舗映画館の「勇姿」をとらえた写真も流れてました。静岡からは静岡市にあった「静岡ピカデリー」と「静岡オリオン座 / 有楽座」の姿も … そういえばワタシがはじめて「スター・ウォーズ」を見たころ、まだ ABBA は活動していたしトラボルタは痩せててカッコよかった(「サタデー・ナイト・フィーバー」のことです)。「映倫」マークはあったけどいまじゃ考えられないくらいユルくて、とても子ども向けじゃないだろコレっていう作品と「2本立て / 3本立て」なんていうのもあったし、オールナイト(!)なんていうのもあった( いまのレイトショーじゃなくて、ほんとに朝まで一晩中やっていた )。さらに言えば「入れ替え制」でもなかった。EP 4 の「あらたなる希望」のときなんか、たしかデススターの「ごみ処理区画」にクジラの腹に閉じこめられた預言者ヨナのごとく若きルーク、ハン・ソロ、レイア姫が閉じこめられて「R2、はやくこの処理施設を止めろッ !! 」とかなんとか絶叫している場面で平然と入館していたし … ワタシの住んでる街もこういう老舗映画館が次々となくなっていきましたよ。いまや映画作品は ―― Netflix だったかな ―― 高速回線につないでいればネット経由で見られたりするし。ホームシアターという家にいながら 5.1 ch サラウンドなんたら … という贅沢を楽しめちゃう、そんなご時世ですし。そんなときに、「金払って、見知らぬ者どうしがまっ暗な空間を共有して」映画を鑑賞する、というスタイルじたいがもう時代遅れになったんだ、と訥々と語る映写技師の阿藤さんの台詞(「映画館の天使」もまたおんなじこと繰り返していたけど )が、たいへん印象に残った、いい作品でした。

評価:るんるんるんるんるんるんるんるん

posted by Curragh at 17:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画関連
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