2018年04月15日

大学入学共通テスト「英語」に民間試験導入

 お題にもあるとおり、「大学入学共通テスト英語試験に民間試験導入」というニュースがありました。もうだいぶ前になりますけど( もっと早く書こうかと思っていたけど、書くヒマがなかった )。で、地元紙にもその試行問題というのが掲載されてたんで、どんなものかとちょっとやってみました。センター試験の英語も掲載されたときに解いていたから、個人的感想ながら感じたこととか相違点なんかをすこしだけ。

 今年のセンター試験「英語」は、まず発音記号のちがいとアクセントの位置のちがいとかをみる問題から始まって動詞フレーズなどの穴埋めに適語選択、長文読解と毎度おなじみな感ありのパターン。とエラソーなこと言っておきながら当方予備校の先生でもなんでもないので満点なんてありえず、とくに発音問題でポカが多かった。それはそれで反省するとしまして、では「試行試験」のほうの英語の筆記問題をやってみたら、なるほどこれはまるで別物。はっきり言ってこれ TOEIC とかの民間試験業者の出すタイプの問題にそっくり入れ替わってました。

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 ネイティヴスピーカーにいまのセンター試験の英語の問題を解かせたら果たして満点とれるんだろうか … かつてそんなことを実験した民放の TV 番組とか見たことがあったけれども、結果はこちらの想像以上(?)に悲惨な結果だったのをいまでも憶えてます(「ナニコレ、百年前の英語?」みたいな失望とも嘆息ともつかないボヤきが英米人の回答者先生たちから漏れていた)。

 内容は現行センター試験「英語」よりはたしかに実用的で、長文を読ませて理解度を図る、という趣旨の問題は基本的に賛成ながら、はっきり言って似たような趣旨の問題ばっかで少々退屈だったのも事実。列挙される選択肢も本文をしっかり読んでいればありえないものとか相変わらず出てくるし、こんな似たかよったかの長文読解問題をえんえん6つも( !! )用意する必要性はないんじゃないかと思いますね。これなら時事ニュース記事の手ごろな長さのものまるまる一本転載して、それに関していろいろな角度から質問する、そして終わりにあなたはどう考えるか、を英語で書かせる、みたいなほうがいいように感じます。紙上に掲載された試行問題は冗長にすぎると思う。

 英語の試験問題ついでに静大と県立大の「英語」もいちおうやってみたけれども、静大って児童文学から出題するのが好きなのかしら? 今年はなんとあの『くまのパディントン』!!! でした。前にも書いたことだが英国の児童文学の原文ってけっこうむつかしかったりする。パディントンに関しては、たとえばイディオムの多用とか、hands を paws と言い換えたりする書き方が頻出するので、あるていどの慣れが必要かも。でも逆に考えるとパディントンシリーズを原文で曲がりなりにも読んで親しんでいるような生徒さんたちの場合、あるいは松岡享子訳でもいい、とにかく話を読んで知っていればかなり有利な問題だったかもしれないな、というふうにも感じた。

 TOEFL は国内では有名どころですが、IELTS のほうはそれほど知名度は高くない印象がある。いずれにせよ検定料がネックになるから、そのへんの配慮は必要だと思う( するとは思いますけど )。2021 年度はまだマークシート方式と民間試験の併用みたいですが、受験生の負担がむやみに増えなければよいがとも思う。

 ちなみに米国ではセンター試験のような共通試験の SAT は存在するが、各大学ごとに行う筆記試験はなし。もっとスリム化したほうがいいと思う。そうすればそのぶん浮いたお金が出るはずだから、公立大学はすべて無料というアイルランド並みにとは言わないまでも、それに近づけることはできるはず。

 全世界に大学は約2万校あるんだそうな。全講義をインターネット上で完結させる大学もあるし、名門大学でも一部の講義をオンラインで全世界に公開していたりする。日本の現行の大学入試制度はもはや時代遅れもいいところで、その最たるものが英語かもしれない(「世界史B」とかの設問のしかたもなんとかならんか、とも思うが。たとえば「ルーヴル美術館の地下には中世の城塞遺構がある」という話について、「ピサ大聖堂の斜塔で、パスカルによる物体落下の実験[ 重力実験 ]が行われた」なんてなんで訊くかなあ。いくら「歴史的建造物について述べた文として正しいものを選べ」って言ったって、こんな前後の脈略おかまいなしの問題を解かされる身にもなってくれよ、と気の毒になってしまう。こんな訊き方するんなら最初から時系列か地理順に選択肢をずらっと並べてマークシート記入したほうがよほどいい )。海外ではいちど社会に出た人が大学にまたもどる、なんてザラですし、18 歳のときに「みんないっせいに」おんなじ筆記試験受けてパスしなくちゃいけない「一発勝負型科挙的大学入試」スタイルにいつまでもしがみつく理由はどこにもないと思う。ぼやっとしていたら日本の大学はどんどん世界のほかの国と地域の優秀な大学の後塵を拝すことになると思うが、これはたんなる門外漢のいらんお世話にすぎないだろうか。

posted by Curragh at 20:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 語学関連
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