2020年04月27日

トム・ハンクスとタイプライター

 COVID-19 がこれほどまでに世界で猛威を振るう、いわゆるパンデミック禍になろうとは、そしてつぎつぎと著名な音楽家や芸能関係者が斃れるとは、ほんの数か月前までだれひとり予測した人なんていなかっただろう。

 そんななか、米国の名優、トム・ハンクス氏も奥さんとともにこの新型コロナに感染した、との一報を聞いたのは志村けんさんが急死するすこし前のこと。それから …… 日本国内でもこの 21 世紀型疫病のパニックとでも言える状態に陥り、あれほど「PCR の全員検査は必要ない!」と、国民のほうではなく医師会(?)のほうしか向いてないのではという不可解な発言をワイドショーで繰り返していた某医師(といっても、現場には立ってないのね)が、ここにきてヤバいとでも思ったか、「PCR 検査を増やすべき!」旨に宗旨替えしたりと「専門家の言」なるものがいかにアテにならないかの証左を 2011 年3月のときとおなじく見せつけられたりと、ホントしょーもなく暗い話ばかり、出るのはお足とため息ばかり、な今日このごろではあるが、ここにきてふたたびハンクス氏のお名前を見かけて? と思ったら、この窒息状態をつかのまスカっと吹き飛ばしてくれる、なんとも heartwarming なすばらしいお話をおみやげに持ってきてくれた。

 ハンクス氏が COVID-19 に罹患したのは映画の撮影で訪れていたオーストラリア。で、全快(?)したのかな、とにかくお元気になられたハンクス氏のもとに、地元の8歳の小学生から手紙が届いた。なんでもその子はコロナという名前を持つ少年で、ハンクス氏の体調を気遣ったあと、パンデミックを起こしている新型肺炎ウイルスとおなじ名前のために学校でいじめられて悲しい、とあった。そしたらハンクス氏直筆の返事が来まして、自身が吹き替えで出演した有名なアニメ映画の科白の「ぼくはきみの友だち('You got a friend in ME.'、ついでにここの in は「なかで」ではなく of とおなじ同格の in で、字義どおりには「わたしという友だち」になる)」まで引用して(ワタシは有名な歌のタイトルを引いたのかと思った、どっちでもよいが)、なんとなんと、マニアなら垂涎の的であろう、スミス・コロナ製の手動式タイプライターまでプレゼントしちゃったんである !!! 

 ご本人のインスタ投稿、見たんですけど、なにこれスゲー、グランドピアノよろしくピッカピカじゃん!、とガラにもなくコーフンしまして、「にわか」タイプライター好きになってしまったほど。たまたまいま手がけている仕事がまさにそんな話だったものだから、よけいにうれしくて、文字どおり快哉を叫んでましたね。

 知ってる人は知ってるが、じつはハンクス氏、超がつくほどのタイプライター好き。好きが高じて買い足し買い足ししたタイプライターのコレクションなんと 180 台、らしい(新潮クレスト・ブックス特別冊子『海外文学のない人生なんて』インタヴュー中の、ご本人の弁から。ちなみに作家デビューもしており、短編集『変わったタイプ[2018]』が同叢書から出てます。カッコイイ人ってのは、なにやってもサマになるんですなぁ)。

 ハンクス氏、ついでにコロナ少年もタイプライター沼に道連れ(?!)にしようというのか、「使い方をまわりの大人に教えてもらって、返事を送ってね ♪ 」と返信まで所望。このサプライズにもちろんコロナ少年は大喜び、公開されている動画クリップとか見ますとほんと瞳を輝かせ、嬉々として黒光りする名機で 'Dear Tom,' と打ってました。

 ちなみにスミス・コロナやレミントンランドはタイプライターの製造元として一世を風靡した事務機器メーカー。年代ものの手動式完動品は中古のノートPC なんかよりはるかに高くて、きっとこれもお高いんだろうなぁ、となんか下世話なことも思ってしまったしだい。ワタシだったら、仏語や独語などで使用される「アクセント記号」も打てる「デッドキー」を備えた欧文仕様タイプライターがほしいかも……インテリアどまりになりそうですがね。

posted by Curragh at 18:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから
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