2025年11月15日

生演奏で初の「オルガン付き」

 先日、オーケストラ・ゾルキーという団体の演奏を聴きにミューザ川崎シンフォニーホールへ行きました。コロナ禍以降、野外の演奏会(渋谷ストリーム稲荷橋広場で開催された NHK Classic Festival)を1回だけ聴いたのを例外として、コンサートホールに赴いての演奏会はほんとうに久びさのこと。ここのホールも初めてで、音響はホールに入ってすぐわかるほどバッチリながら、選んだ席がハズれ(?)だったせいか首が痛くてしかたなかった(苦笑)。ゾルキー(Зоркий)という名称は聞き慣れないけれども、カメラ好きの人は、旧ソ連製のライカ型 35 mm カメラから来ているのではと「鋭く」気づくかもしれない。

 プログラムはレスピーギの交響詩「ローマの祭」、G.V. スヴィリードフの組曲「吹雪〜プーシキンによる音楽的イラストレーション」、そしてサン=サーンスの「交響曲第3番 ハ短調 “オルガン付き”」。オルガン好きなので、もちろんお目当てはサン=サーンス。ここのコンサートオルガンは大阪のザ・シンフォニーホールと同じスイスのクーン社製で、実動ストップ 71 /4段手鍵盤と足鍵盤の大型楽器。演奏者は野田美香氏、指揮は長田雅人氏。

 レスピーギ作品はいわゆる「ローマ三部作」のひとつとして有名で、古代ローマ・中世・ルネサンス・20 世紀と時代を超えたローマの祭典の変遷を描いている。出だしの暴力的な(描写されているのが血なまぐさい殺戮の祭りだから当然と言えば当然ながら)ファンファーレを奏でる3人のトランペット奏者による「バンダ」は、ヴィンヤード形式のステージ後方、オルガン手前のひな壇席中央に陣取っていた。手回しオルガンや素っ頓狂なメロディーを奏でるクラリネットや金管が入り乱れ、混沌とした大音響で幕となる終曲は、オルガンも加わって文字どおりどんちゃん騒ぎ。腹の底に響く重低音、ホール空間を揺さぶるオケサウンドに圧倒されっぱなしだった。

 組曲「吹雪」の作曲者ゲオルギー・ヴァシリエヴィチ・スヴィリードフ(表記はプログラムのママ)という人は寡聞にして知らなかったけれども、ショスタコーヴィチ最初の弟子のひとりだった人らしい。そして驚くことに早世した息子さんが日本文学の研究者で、晩年は日本に滞在していたという(なんと『宇治拾遺物語』のロシア語訳まで手掛けている! アーサー・ウェイリーの旧ソ連版といったところか。松本清張作品も訳しているらしい)。

 作品を聴いての第一印象は、トロイカだったりワルツだったり、どことなく「懐かしさ」みたいなものを強く感じた。とくにワルツは師匠のショスタコーヴィチの「ジャズ組曲」を真っ先に思い出した。「ロマンス」と題された楽章では、コンサートミストレスによるソロがまるで演歌かエレジーのようにも感じられた。

 休憩後は待ってましたサン=サーンスで、楽曲構成はこちらに丸投げするとして、オルガンの音に関して言うと、サントリーホールのリーガーオルガンに似てるかな、という印象。木をふんだんに使用したホールの空間をすっぽり包み込むような、温かみのある(やたらキンキンしない、わざとらしい音の分離のない)サウンドで、個人的にたいへん好ましかった。レジストレーションのバランスも良く、オケと渾然一体となった堂々たるハ長調の終結部はここ数年、疎遠になっていたオケの生演奏≠フ高揚感を十二分に堪能させてくれた。

 … そしてコレは自分が知らないだけなのかもしれないが、ここのオケは全体的に女性奏者の割合が高くて、どちらかと言うと男性奏者が多いイメージのコントラバスセクションも女性奏者のほうが多かった。

posted by Curragh at 02:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽関連
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