今月中旬になって、『ラブライブ!』や『バンドリ!』シリーズものの動画のおススメ一覧の中に、ふと気になるクリップがいきなり出現した。??? と思ってクリックしたら、トン・コープマンがバッハゆかりのライプツィヒ・聖トーマス教会の通称「バッハオルガン」で未知の楽曲を2曲、つづけて演奏する動画だった。
その後、海外配信記事の邦訳などで、この2作品がじつはアルンシュタット時代のハイティーンの若き教会オルガン奏者だったバッハその人の「真作」だとつい最近、認定されたばかりだと知って、文字どおり驚愕した。
とりあえず BWV 1178 のほうのスコアを眺めると、古楽ではよくあるダ・カーポを多用した繰り返しの多いシャコンヌなのだけれども、なぜか? 真ん中にフーガが挟み込まれた A−B−A❜ 形式になっているのが変わっているところ。校訂楽譜はブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から入手可能。
ともに3拍子の変奏曲(その起源は中南米だと言われる)シャコンヌ/パッサカリアは、バッハの場合、超有名な2曲しか例がない(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ短調 BWV 1004/オルガンのためのパッサカリアとフーガ ハ短調 BWV 582)。今回、バッハアルヒーフ所長ペーター・ヴォルニー氏が学生時代から追い続けてじつに 35 年(!)越しにバッハの真作と特定したこの2曲を聴くと、どことなくゲオルク・ベーム(リューネブルク)やラインケン(ハンブルク)といった当時の北ドイツオルガン楽派の老巨匠の作品にも似ているように思わなくなくないのではあるが、正直よくわからない。バッハの真作の決め手≠ニなったのは、使用されている用紙の「透かし」と、筆写譜作者がバッハの弟子筋ザロモン・ギュンター・ヨハンだと特定されたため、ということみたいです(⇒こちらの記事によると、出所はパッヘルベルの「シャコンヌ ヘ短調」と同じ、ベルギー王立図書館所蔵の写本に収められた筆写譜らしい)。
だいぶ前にもここで書いたけれども、この手の研究には二通りあり、ひとつは「透かし」模様や用紙の判定といった科学的検証、いまひとつは作品の様式面からバッハの真作かどうかを検討する様式研究がある。透かしや用紙に関してはクリアしているように見えるけれども、様式研究的にバッハ作品だと断言できるかどうかは、これだけではちょっと弱いのではないか、というのが、はるか極東の島国にいる一バッハ好きとしての偽らざる感想。もっとも当のヴォルニー先生自身、「つい2、3年前までバッハの作品の可能性があると真剣に考えたこともなかった」と言っているくらいだから、その後は予想もしない展開だったのだろう…。バッハ直筆を連想させる根拠としては、たとえば「バッハに特徴的なハ音記号」がスコア冒頭で確認できる、とのこと。私たちバッハ好き、音楽好きにとっては、たまさかこうしてバッハ関連で盛り上がってくれればとくに言うこともないので、2025 年も待降節を迎えようとしている時期になってこの手のサプライズが飛び込んでくるのはむしろありがたい、と言うべきか。
参照先:バッハアルヒーフの当該ページ
英ガーディアン報道記事その❶
同 その❷
2025年11月30日
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