1). まずはこちらのひじょうにわかりやすい解説記事から。寄稿者はコロンビア大学で物理と数学を教えている教授先生で、書き手が書き手ならさぞ、と思って読んでみたら、今回の壮大な実験の目的というか内容がずぶずぶの素人でもそれなりにわかってきた('E=mc2'という有名な等式を交換可能な通貨にたとえているのはちょっと斬新な比喩だと思った)。関連記事は国内外問わずたくさんあるので、Firefoxのようなタブブラウザで複数のページを同時に開いて読みくらべてみるとけっこうおもしろいかも。
CERNの今回の実験ではやはり「極小ブラックホール」がらみの記事が多いとは思うけれども、かりにブラックホール生成に成功したとしても、それは「ほんの一瞬(「ビッグ・バン」生成時の1兆分の1秒後を再現するらしい)」での出来事で、それこそ発生したか思ったらあっという間に消えてしまうていどのもの。なので記事の最後に太字強調した見出しの部分で著者はこう自信たっぷりに書いています。
Why might one worry that this would be a problem? Because black holes have a reputation for rapacity. If a black hole is produced under Geneva, might it swallow Switzerland and continue on a ravenous rampage until the earth is devoured?
It’s a reasonable question with a definite answer: no.
Work that made Stephen Hawking famous establishes that tiny black holes would disintegrate in a minuscule fraction of a second, long enough for physicists to reap the benefits of having produced them, but short enough to avoid their wreacking any havoc.
ようするに「惑星を呑みこむほど成長する前に消滅する」から大丈夫ということか。でもこの件については同業者から訴訟まで起こされているから、ほんとうに安全なのかどうか――人間のやることに完全はないし――この記事読んで、まあそんなことはあるまいとは思ったが、安全性という点では「浜岡原発が東海地震にはたして耐えられるのかどうか」に近いかもしれない。
今回の実験、稼動にこぎつけるまでなんと20年はかかっているという。日本の企業体もこの真空管(!)の化け物みたいな巨大円形粒子加速器建設にかかわっているらしいけれども、もちろん目的は危険なブラックホールを作ろうということではなくて、解説記事にもあったように「宇宙というのはどのように生成されたか」、そしてまだだれも目にしたことのない素粒子、とくに「ヒッグズ粒子」とか「ヒッグズ場」の発見に期待が集まっている…といってもよくはわからないが、この「ヒッグズ粒子」がもし発見されれば、物質の「質量」がどこからきたのかが解明されるかもしれないし、いままでずっと仮説どまりだった「ヒッグズ理論」も証明されることになる…らしい。またいわゆる「4次元」という空間は存在するのかどうかも調べるらしい。「ひも理論(string theory)」では、これなしでは素粒子の質量も説明がつかないようです。計算上では、陽子どうしの衝突で生じたエネルギーの残骸の一部が質量を失ってべつの次元に閉じ込められる可能性があるようですが、スイス−フランス国境地帯の地下深くに建設されたLHC内で衝突させる陽子のエネルギーが、そのような別次元の空間を作り出せるのどうかはやってみなければわからない。また未知の素粒子が発見されるかもしれないし、宇宙空間を澎湃と満たす暗黒物質(dark matter)のもとになっている素粒子も発見できるかもしれない。とにかくなにかひとつでもあらたな発見があれば、われわれのこの世界にたいする見方もしくは自然観がひっくり返る可能性はあるみたいです。なので著者に言わせると、
Should any of the particles described above be produced at the Large Hadron Collider, from Higgs particles to black holes, corks will rightly pop in physics departments worldwide.
だそうです。みんなでシャンパンでもかけあってお祝いでもするのかな。きわめて楽観的ですね。ついでにAFPBBのこちらの記事には笑った。100ドルですか。どうせならもっと賭けましょうよ、ホーキング博士。
2). つぎはこちらの記事。こちらの国内関連記事でも報じられているとおりの内容なんですが、いまや超がつく巨大企業になったGoogleの野心はとどまるところ知らずという感じです。そしてこれは知らなかったが、Googleってすでに2年前からNYT、The Washington PostとかTimeなどの過去記事をWebアーカイヴ化していたのですね。それをこんどはさらに拡大して、発行された当時のままの体裁、つまり印刷紙面まで再現するというからさらに驚き。いまのところこの計画に参加しているのは北米の新聞社数社ですが、究極的には地球上に数十億存在するという新聞過去記事のマイクロフィルムをスキャンしてデジタル化、オンライン上で検索できるようにしたいとか。いやはや頭が下がるというか、これで国会図書館でマイクロフィルムを見に行く手間が省けるのかどうか、よくわかりませんが、でもこんなことしたらただでさえ発行部数が伸び悩み、経営危機に陥っている新聞社が多いというのに、定期購読者をまたぞろGoogleに横取りされてしまうのではないかしらという気もするのですが、記事にも出てくるカナダのThe Quebec Chronicle-Telegraph社のように、この壮大な企画を歓迎する新聞社もあります。見方を変えれば、自分たちに代わってすべてGoogle側の負担で過去紙面のデジタル化・Webアーカイブ化してくれるし、収入の一部は記事提供元の新聞社にも入るから、これも時代の流れなのかなとも思う。Googleでニュース検索しているほうとしては、閲覧可能な記事は多いほうがいいと思うし、世界各国の新聞紙面の過去記事がWeb上で閲覧できるなんて夢みたいな話。当面はGoogle News Archive Searchサイトで利用可能で、いずれは各新聞社サイトでも閲覧できるようにするという。Googleの開発したブラウザについては個人情報の扱いという点でちょっと考えさせられるしまだまだバグも多い――beta版だからしかたないとはいえ、サービス開始から4年も経ったGmailがいまだにbeta版なのはどういうこと? ――のであんまり興味はないけれど、分野横断的に学術論文が読めるサービス(Google Scholar)とか版権の切れた本とか図書館の本が検索できるサービス(Google books)とか、ネット上の百科事典Wikipedia同様、もはやGoogleの展開するオンラインサービスなしの生活が考えにくくなってしまっているのもまた事実。まだ携帯電話サイトを運営しているジョン・ゲール氏ほどどっぷりと「依存」しているわけではないけれども…自分のメールがスキャンされるのはイヤだけど、強力な検索機能を持つGmailはスペルチェッカーがひじょうに充実していて、すこぶる使い勝手がいいのも認めざるを得ない。たとえばいま「ブック検索」でBrendan Voyageと入力したら、Visitors to Ancient Americaなる本の、ティム・セヴェリンの復元カラフ航海のことが書いてあるページが瞬時に出てきた。世界中のいろんな書籍が一部とはいえこうして「立ち読み」できるようになるとは、数年前までは考えられなかったこと。Googleには利用者を強制的に巻きこむ仕掛けでうまいこと取りこんでいるようにも見えますが、使い勝手のよさというのもきちんと考えて設計しているところがやはりひろく支持されているようにも思う。新聞過去紙面検索・オンラインアーカイヴ化のプロジェクトも今後の展開が楽しみではあります。
3). 最後にこちらを。買い物にもそれぞれ「お国柄」が出ているというもの。たとえばイタリア・ギリシャ・エジプトでは技術製品より衣料品のほうにお金をかける傾向があるとか。とくにギリシャ人は衣服を買うさい、家電製品を買うときの13倍近い金をつぎこんでいるんだとか(Greeks spend almost 13 times more money on clothing as they do on electronics.)。また逆にアジアではノートブックPCの新製品とか薄型TVに、服を買うときの1.5倍の金をかけているという。身なりには安く、その分浮いた金を家電製品に回しているということか。Flashアニメーションを使った世界地図グラフも見ていておもしろい。こうして見てみると、日本人は意外にも(?)、「娯楽」に費やす金額がなによりも増して多いことがわかりますね(米国に次いで多い)。つぎに多いと感じたのは「アルコールと煙草」。その金額、なんとフランスよりも倍近く多い! ですね。
"Some areas in the Pacific Basin are technologically savvy, and clothing is very casual," Mr. Slater said. "In Australia, what else do you need besides a bathing suit and a pair of Uggs?"
なんかずいぶんと失礼な発言のような気が…Uggというのはサンダルの名前らしい。
2008年09月13日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/19318580
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック
http://blog.sakura.ne.jp/tb/19318580
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック
