1). Google関連で目に留まった記事ニ題。まずはせんだって、Google社の書籍検索サービス Google Book Searchをめぐって米国作家協会と米国出版社協会が起こしていた訴訟で、「甚大な著作権侵害」だと訴えられていたGoogle社と原告側双方が「歴史的合意」に達した、という内容の記事から(→国内関連記事1、関連記事2)。
和解に達したのは書籍をスキャンしてデジタルアーカイヴ化するサービスを訴えたふたつの訴訟で、Google社は1億250万ドルという巨額の著作権料を原告に支払うことで決着したという(合意にいたるまで二年かかっている)。最初、Google社がいくつかの大学と共同で大学図書館の蔵書をスキャン・データベース化してWeb上で検索できるサービスをはじめた、と知ったときには正直ひじょうに驚いた。もっともこの会社のやることはみんなとほうもないことばかりとはいえ(street viewサービスとか)、いくらなんでもこれは本を書いた当人ならびに版元からの反発がすごいだろうし、頓挫するのではないかと思っていました。図書館員や法律家のなかには、書籍のデジタルアーカイヴ化をGoogle一社に任せることは、Googleというひとつのフィルターを通ったものしか見えなくなるとして懸念を抱く向きもあります(現行の「ニュース検索」でもおなじことが指摘されている)。いっぽうGoogle社は、
Google has long said that the scanning project was part of its mission to provide access to all the world’s information.
と言い、またGoogleの共同設立者で技術部門担当社長セルゲイ・ブリン氏も、「自分たちがこの会社を設立したのはまさにこういう事業を行うためだ」とも言っている。全世界の知と情報をあまねくすべての人に「使いやすいかたちで」提供し、いっぽうで権利者側へも正当な対価を支払うシステム。今回の和解で、Google社は著作権管理のための第三者機関設立の資金も提供するという。これは画期的かもしれない。著作権料関係の煩雑な手続きが第三者機関に一元化されることになれば、このひじょうに大胆かつ野心的な試みに参入するもの書き版元が増えると思う。またこれとはべつに公立図書館などが購読料金と引き換えに全文閲覧できる、一種のポータルサイトも構築するという。一般読者にとっても、たしかにGoogleというひとつの視点でしか選択の余地はないとは言え、米国内で刊行された絶版本のほとんどが無料で、あるいは格安で読めるというのはたいへんうれしいことではある。うれしいことに変わりはないけれど、記事にもあるように、
The deal goes some way toward drawing a road map for a possible digital future for publishers and authors, who worried that they were losing control over how their works were used online, as the music industry has.
これがきっかけとなっていよいよ紙からデジタル媒体の本へと本格的な移行がはじまるのだろうか。近年日本でもかなり浸透してきた感ありの音楽配信サービスが幅を利かせて、このままでは音楽CDが消滅してしまうかもしれない。活字媒体もそうなってしまうのだろうか。そうなると、こんどは逆に困るな(苦笑)。ちなみにGoogle社がサービスをはじめた2005年からスキャンした書籍数の合計は、なんと700万冊(!)だそうです。
2). こんどはMail GogglesなるGmailの新機軸についての記事。酩酊状態(intoxicated)で意味不明、もしくは失礼なメールを書き、しかも宛て先までまるで見当ちがいの人へ送信して大失敗、という経験は…いまのところはないけれど、このMail GogglesなるプログラムをこさえたGoogleの技術者はみずからの失敗をもとに、「酩酊状態でわけわからん迷惑メールを出さずにすむ方法」としてこれを思いついたんだとか。記事見ますと、おんなじような失敗をして航海、じゃなくて後悔しているけっこう人がいるもんだ。お酒に強くない人ですので、何杯かワインが入るととたんに眠くなるから、たぶんこの「新機能」を導入する気遣いはないと思う。だいいちメールを書くのになんで計算問題を解かなくてはならないの、みたいな(笑)。どうでもいいけどこの記事のイラスト、なんかだれかに似ているような…気もしますが。とにかく「メールで失敗しないための」新機能、有効にすると週末の深夜、22時から4時までのあいだにメールを送信しようとすると、送信前にかんたんな計算問題5問を1分で解かなくてはならない。タイムアウトになるとメールが送信できない仕掛けです。
アルコールが入ると寝てしまうような人間から見ますと、米国人って「筆まめ」な人が多いんですね。日本で言うところの「ケータイメール」みたいな感覚なのかな。記事の最後のほうに携帯電話のテキストメッセージで失敗した話とか出てきますし。しらふ(sobriety)ならともかく、酒の入った頭でメールを書こうという気には――よほどのことでもないかぎり――ならないですね。筆まめな方には意外と使える機能かもしれませんが。でも↓の記述は、たしかにそういうところはありますね。見方を変えれば、それこそがメールという手段の利点でもあるように思う。対面方式ではない、時間をおいてから読み返すことのできるメールの利点を利用したカウンセリングというのもありますし。
Text-based communication and alcohol are a potent mix in part because people already tend to be more candid online than they are in person, even before they loosen their inhibitions with a drink, said Lee Rainie, the director of the Pew Internet & American Life Project.
2008年11月16日
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