2009年01月25日

インスブルックよ、さようなら

 先週の「ベスト・オヴ・クラシック」、火曜はチェリスト、ハインリヒ・シフ指揮による演奏会がかかりまして、モーツァルトの「交響曲 第36番 ハ長調 'リンツ' K.425」が流れました…聴いているうちにふと思ったのは、エコーの箇所。なんでも芸術というものはそうだとは思うけれど、先達のもちいた技法ないし音型みたいなものが垣間見えたりする。エコー部分を聴いているうちに、これはイタリア流派から受け継いだのか、それとも北ドイツオルガン楽派に代表されるエコー手法から借用したものなのか。ただたんにモーツァルトを知らないだけなので、すこし突っこんで調べてみれば疑問氷解、となるかも。

 「バロックの森」は、「ウィーン(ほんとはヴィーン)ゆかりの音楽」特集。まずウィーン少年合唱団(WSK)の歌う「インスブルックよ、さようなら」。作曲者イザークってもとはフランドルの人だったんですね。神聖ローマ皇帝マクシミリアン一世の宮廷に仕えた人ですが、このマクシミリアン一世こそ、ウィーン少の元祖となる宮廷礼拝堂付属少年聖歌隊を作った人(500年以上も前の話)。案内役の先生の解説によると、皇帝はことのほかボーイソプラノのみの聖歌隊にこだわったのだそうです。だから日本のファンは、まずもって陛下に感謝しなければならぬ、ということかな。少年合唱ではそのあと聖フローリアン少年合唱団による演奏もかかったけれども、これがまた珍しい作品で、作曲者はなんとときの皇帝、フェルディナント三世作曲の「イエスよ、人々の救いの種をまく人よ」。ウィーン少とくらべるとちょっと歌声がやさしすぎるというか、いまいち弱かったかも。この作品でいちばん目をじゃなくて、耳を惹いたのが、ソプラニスタの独唱。日本にもそういう歌い手さんがおられますが、失礼ながらイェルク・ヴァシンスキ氏のほうが一枚上手かもしれない。ひじょうに印象的な歌声でした。ヨハン・ヤーコプ・フローベルガーの「皇帝フェルディナンド三世の死に寄せる哀悼歌」というチェンバロ曲もはじめて聴きました。これは文字どおり崩御した主君の死を悼む作品で、人の感情というものは古今東西、変わることはないなぁとしんみり感じたしだい。木曜にかかったヨハン・カスパール・ケルルのオルガンのための「カンツォーナ 第5番」もよかった。演奏者は巨匠レオンハルト。1996年春に、東京芸劇大ホールの「回転オルガン」で実演に接したけれども、そのときのことも思い出しました。ここの楽器は「バロック/ルネッサンスオルガン」と「ロマンティックオルガン」と三つの顔をもっていますが、前者のほうは中世以来の中全音律で調律されていて、レオンハルトはそれが気に入ってここの楽器を使ったらしい。ちなみにバッハが長兄の書棚からこっそり楽譜を持ち出して月明かりのもとで写譜した…という話がありますが、その楽譜にはパッヘルベルとかに混じって、フローベルガーやケルルの作品もあったそうです。つまり少年バッハはこれら南ドイツとウィーン宮廷に仕えた先達たちの作品を吸収していったということです。こんどのLa Folle Journée au Japonのテーマは、「バッハとヨーロッパ」。なのでバッハが所蔵していたであろう作曲家の作品とかもけっこう演奏されるらしいので、こちらのほうも楽しみ。

 ところでヴィヴァルディも、晩年はウィーンの宮廷に仕えようと考えてはるばる北イタリアからウィーンまで旅したはいいが、なんと運の悪いことに当地に着いたら音楽好きの主君カール六世が崩御してしまったあとだった。伝記とかでは困窮のうちに亡くなった…と悲劇的に描かれているようですが、最近の研究ではかならずしもそうではないみたいですね(→参考スレッド)。また月曜はバッハ作品集でしたが、印象に残ったのは「前奏曲とフーガ 第8番 変ホ短調 BWV.853」。チェンバロを弾いていたのはグレン・ウィルソンという人。すぐ影響されてしまうほうなので、いきなり「平均律」の楽譜を引っ張り出したりして。当該ページを開くと、当たり前だけどフラット多すぎ(笑)。むつかしそうです…(汗)。

 …まるで関係ないことながら、いまさっき民放TV番組で西伊豆が映ってました。ソーラーカーでよく行ったなーと感心しきりですが、うちの親戚の子が通った幼稚園に「足湯」があったとは初耳。そして…岩地温泉のあのでかいペンギンは…??? こんど行ったら岩地まで足を伸ばして確かめてこようかしら(笑)。

posted by Curragh at 21:05| Comment(0) | TrackBack(0) | NHK-FM
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