2009年02月22日

バッハとフランク

 「ベスト・オヴ・クラシック」、火曜日の「セルゲイ・シェプキン ピアノ・リサイタル」が印象的でした。とくに「ゴルトベルク変奏曲(正式名は「二段鍵盤つきチェンバロのためのアリアと種々の変奏」) BWV.988」が秀逸。ピアノならではの繊細な音色変化とか、主題のアリア後半部分をちょっとスタッカート気味に弾くアーティキュレイションとか、チェンバロでは表現できない微妙な陰影をつけて、じつに美しい演奏でした。ときおり各変奏をつなげてひと息に弾いたりして、この切り換え方もじつに巧みです…各変奏がぶつ切りにならず、ひとつの連綿たる生命体というか、たえまなく流れる小川のように、聴いているほうはただ流れに身を任せていればいい…聴いているうちに心も体もリフレッシュされ、軽くなってくるようだ。第30変奏のおどけた「クォドリベット」のあと、舞い戻ってくるアリアが静かに終わると、ややあってブラボーの連呼。その気持ち、わかります。自分はやたらと叫ぶほうではないが、実演に接していたら、思わず快哉を叫んでいたかも。寡聞にしてこのすごいピアニストのことは知らなかったけれども、ロシア生まれの米国人らしい。そういえばこんどのLa Folle Journée au JAPON、公式スケジュールが公表されましたね。チェンバロではなくて、ピアノで生の「ゴルトベルク」を聴こうか、思案中(あいかわらずサイトの色使いが派手だ…)。「ゴルトベルク」はキース・ジャレットが20年前に来日した折チェンバロを弾いたライヴ録音盤をもっていますが、シェプキンさんのCDも探してみよう。ちなみにこの作品、不眠症に悩むカイザーリンク伯爵のために作曲されたというのはつとに有名な逸話ですが、たしかにバッハの弟子だったゴルトベルクくんは、当時13,4歳だったらしい…この大曲を弾きこなすとは、恐るべし少年チェンバロ弾き、ということか。英国の聖歌隊ではやはりおない歳の少年隊員がオルガンを習ったりするし、ゴルトベルク少年がこれを毎晩弾いては伯爵を慰めていた…というのはありえない話ではないかも(まったく関係ないことながら前の日16日は1923年、ツタンカーメン王墓玄室の封印が解かれた日だったとか)。

 つぎの日は「N響定演」。最後のセザール・フランクの「交響曲 ニ短調」がひさびさという感じでよかった。ゲストの音楽評論家、諸石幸生氏が言っていたけれども、なんでフランスもの交響曲、とくるといっつも「幻想交響曲」なのだ(苦笑)? ヴァンサン・ダンディの「フランスの山人の歌による交響曲」だってあるじゃない。ベルリオーズの「幻想〜」はこの半年だけで、すくなくとも5,6回は聴いている。傑作だとは思うが、いいかげん飽きてくる(笑)。おなじ何回も聴くなら、ベートーヴェンの「7番」は大好きだから、こっちなら飽きないとは思うけれども。時間があまったので、1990年4月に収録された「アンドレ・イゾワール オルガン演奏会」からフランクの「コラール第1番 ホ長調」もかかりました。…というかこれってCD化されていたんだ…古ーいビデオテープ漁ればたぶん録画したやつが出てくると思うけれども…再生できるのか?? とりあえず1999年だったかな、「プレストン&ハーデンベルガー デュオリサイタル」の録画テープはまだ見られるし、もっと前の「ギ・ボヴェ オルガンリサイタル」もまだまだ大丈夫(かな?)。

 きのうの「バロックの森/リクエスト」、バッハ編曲のBWV.587の原曲がかかるかと思ったら、ちがった組曲からでした。orz けさの「リクエスト」ではBWV.225のモテットがかかりました。演奏は名門ヒリヤード・アンサンブル。原盤はたぶんECMじゃないかしら。このモテットはMCの松田アナによると、1789年にモーツァルトが聴いて、いたく感動したらしい。バッハの7つのモテット(モテットは「ことば」を意味する古仏語mot、あるいは「動き」を意味するラテン語motusからきていると言われる)は2曲が偽作らしくて、前にもすこし書いたペルゴレージの「悲しみの聖母」の編曲版(BWV.1083)とかもあります。

 そのあとで聴いた「名曲リサイタル」では、チェンバリストの鈴木優人氏と長篠央子嬢のおふたかたが出てまして、鈴木邸では小型オルガン・チェンバロ・クラヴィコードとひしめいているらしい。さすがは音楽一家ではあります。でもメンテナンスとかたいへんそうだ…。チェンバロもオルガンも、かんたんにピッチが狂うことでは負けていないので。レオンハルト大人(「たいじん」と読む)なんか、休憩時間に聴衆を追い出してまでチェンバロの調律をするくらいですから(2004年のAOI公演にて追い出された人)。

 本題とは関係ないですが、火曜の朝、外に出たら雪が降っていて驚いた…といっても2時間くらいでやんでしまいましたが。このへんで雪というのはひじょうに珍しいものでして、幼稚園時代には富士の裾野の「日本ランド(当時)」に「雪見遠足」に行ったこととかいまだに覚えています(静岡県人には当たり前のことなんですが、めったに雪の降らないこの地域ではわざわざ雪を見に行く遠足という行事があります)。どうも伊豆半島一帯でも降ったようで、地元紙サイトにも記事が掲載されています。にっくき花粉症さえなければ、写真撮りに行きたいところですね〜。orz

posted by Curragh at 18:39| Comment(0) | TrackBack(0) | NHK-FM
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