2009年04月04日

火山観光地図

 先日の伊豆半島の成り立ち関連の記事でも紹介した「伊豆半島のおいたち」サイト。作成者の静岡大学の小山真人教授がこのほど、『火山が作った伊東の風景』というあたらしいタイプの地質図を出版されたとの記事が地元紙に掲載されていました。このユニークな地質図を発行した小山先生の意図は、「(従来の観光情報については)ただ『きれい』という印象だけで終わっていた。成り立ちを知れば、その景観の深みが増すのに、一歩踏み込んだ部分が欠落している」。まさにわが意を得たり、という感じ。「気軽に楽しめる地質図」というのは、新旧の火山が林立し、豊富な湯量を誇る温泉など、この半島の成り立ちと切っても切れない自然の恵みを受けながら、なぜかいままでこの手の「観光地質図」みたいなものはなかった。今回は伊東市周辺の「東伊豆単成火山群」が中心になっていますが、各火山の噴火年代と熔岩流・火山灰の分布を色分けして示し、またトイレや駐車場の場所、観光スポットの写真なども組み合わせ、散策モデルコースも併記した今回の地質図は、たんなる無味乾燥な地質図ではなくて、りっぱな観光ガイドでもあり、また防災ガイドでもある。これの「西伊豆版」がもしあったら…ぜひとも続編を作っていただきたいところです。とにかくひじょうにおもしろい試みだと思います。また小山先生はべつの日に地元紙に書いたコラムで、「伊豆東部火山群の噴火は、陸上に限ればここ三万年ほどの間にたったの十回、つまり平均三千年に一度しか起きていない」から、この火山群をむやみに恐れたり、嫌ったりすることはまちがいだ、とも述べています。この火山群がなかったらおそらく熱川などの自噴泉などもなかったし、伊豆高原や城ケ崎海岸も存在せず、場所によっては海岸線が2km以上も後退していた。伊豆半島の造形美も湯ヶ島層や白浜層、その上に乗る鮮新世−更新世の火山群の活動のおかげだし、そういう自然の恵みを認識してもらうためにも、今回の地質図発行はすばらしい試みだと思う。ときたま、買い物のついでに富士山の湧水で有名な柿田川源流部に行くこともあるけれど、観光で来ている方が、「きれいだねー」と歓声をあげている光景を見かける。最近ではヴォランティアの方々がこうしたお客さんを案内する試みも盛んになってきていますが、やはりただ「きれいだねー」と言い、温泉に入って終わり、という従来型観光からの転換を真剣に考えないといけないような気がする。ことばを変えると、観光で遊びに来る方も、伊豆半島に住んでいる住民も、いまや「自然環境」というものに無関心ではいられない時代ですし。今回の地質図発行は、あらたな観光産業のあり方についても一石を投じるものだと思います。

 造りは手を抜いていないけれど、価格は500円とお手ごろなので、近いうちに買ってみます。

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