2009年08月10日

帆船「海星」が「太平洋のごみだまり」調査へ

 以前ここでもすこし取り上げた、ハワイ諸島北東沖にある「太平洋のごみだまり(ごみの墓場、またはごみの渦巻きとも)」水域(Great Pacific Garbage Patch)。1993年8月5日、ティム・セヴェリンほか4人が乗り組む古代の竹筏のレプリカ「徐福」号が米国西海岸めざして伊豆半島・下田港から出航して約2か月が経過した10月はじめごろ、一行はこのごみため海域のへりにさしかかった。海洋学者から航路上のごみ調査も依頼されていたから、セヴェリンたちは漂流ごみのことも記録しています(The China Voyage, pp. 242-44)。で、このたび日本の帆船「海星」が参加しての国際的な「太平洋ごみだまり海域」の本格的調査が行われる運びとなったと、先日の地元紙朝刊にて知りました(→CNN関連記事)。

 帆船の名前にちなんで'Project Kaisei'と名づけられた今回の調査では、この海域に流れ着くごみの種類と量、動きなどを調べて「ごみマップ」を作成、海洋生物におよぼす影響を調べ、また海中を漂うあいだにぼろぼろになったプラスチックごみの破片をいかに効率的に回収するかも調査するという。

 あらためてその箇所のセヴェリンの記述を読んでみると、意外なことに(?)このごみため水域では浮遊する大きめのごみ、たとえば魚網の浮きの周囲には小魚やその他海生生物が群がっているらしくて、「皮肉なことに、汚い浮遊ごみと海洋生物の増加には関係がある」。これら海生生物を狙ってか、ウミツバメ4種類とアジサシ、アホウドリを2種目撃したそうです。また自分たちも20kgはあろうかという、まるまる太ったビンナガマグロ(!)を釣り上げてもいます。この航海で釣り上げた魚では一番の大物だったそうです(でも漂流ごみから染み出す汚染物質は魚の体内で蓄積されているだろうから、たとえ釣りたてのビンナガは美味だったとしても、体にはあんまりよくないのかも)。そんなセヴェリンたちの竹筏も、「ごみため海域」にさしかかったころから籐紐の腐食によりつぎつぎと船体の竹が流出、セヴェリン船長はこれ以上の航海続行は無理と判断。11月16日の夕刻、要請を受けて駆けつけた日本の大型コンテナ船にクルー5人は救助された。そのときセヴェリン船長は、竹筏の三枚のセイルを揚げ、左舷開きで舵を中央に固定した状態で、「徐福」号に米国西海岸への航海をつづけさせて別れを告げた。「五人全員ぶじて、怪我ひとつなかった。竹筏を棄てたことは正しい判断だったことはわかっているが、あまりにも悲しい瞬間だった。なにしろ竹筏はわれわれをここまで、5500マイルの浪路を乗り切って運んでくれたのだから。これから竹筏は単独で帆走をつづけることになる。…どのくらい航海をつづけられるのか? 古代中国人が信じていた、東の大洋にあるという大渦巻きに巻きこまれて永遠にぐるぐると回りつづけるのだろうか? 『太平洋のごみため』水域でほかのごみの仲間入りをするのだろうか? フナムシに食い荒らされてバラバラに分解されてしまうのだろうか? それとも海流に乗って、いつの日かアメリカの海岸に打ち上げられるのだろうか?」(ibid., p.308)。

 …ひょっとしたら今回の調査で、セヴェリンたちの放棄した「徐福」号の竹の破片とかも見つかるのかもしれないなぁ、と思いつつ。→Project Kaisei公式サイト。→BBCの関連記事

posted by Curragh at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから
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