今週の「ベスト・オヴ・クラシック」はウィーンフィルづくし。とくによかったと思うのは水曜オンエアのブラームスの「2番」。「レクイエム」で有名なオルガニスト/作曲家のデュルフレに師事したというジョルジュ・プレートル指揮による演奏でしたが、楽章ごとの音色の対比というか使い分けがみごとで、まるで音の魔術師のよう。それを実現しているウィーンフィルというオケもまたみごとと言うほかない。火曜のアーノンクール指揮シューベルトの「未完成」もまた、名演! そうそう、アーノンクールと言えばつい最近も「バロックの森」で、バッハのカンタータがかかってましたね…おそらくレオンハルトと取り組んでいた「カンタータ全集」時代の録音だと思うけれども…ソプラノソリストももちろん少年で、テルツの子がじつに伸びやかに歌ってました。話をもどしまして…シューマンの「ライン」もよかった。きのうはいまをときめくゲルギエフ指揮によるショスタコーヴィチの「4番」。「5番(「革命」)」はつい最近も別番組で聴いたばかりですが、こちらのほうはあんまり聴かないので楽しみにしたいたら不覚にも途中で寝入ってしまったorz…。今夜はリガ出身のマリス・ヤンソンス指揮によるストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」と、ドボルジャークの「8番」で、こちらも楽しく聴かせてもらいました。番組解説役の山尾敦史・満津岡信育両氏の解説もじつに明快かつ的確で、こちらも好感が持てました。
けさの「バロックの森」。「バッハが編曲した作品と編曲されたバッハの作品」と題してバッハ自身の編曲ものと編曲されたバッハ作品をいくつかオンエアしてました…のっけにかかったのがいわゆる「オルガン協奏曲」全6曲のうちのひとつ(BWV.596)。演奏者はかつてNHKホールでオルガンリサイタルを開いたこともある英国の名手プレストン。明快なレジストレーションによる生き生きとした演奏でした。松村洋一郎氏の解説にもあったように、バッハがヴァイマール宮廷に仕えていたころの編曲作品(c.1714)で、君主の音楽好きの甥ヨハン・エルンスト公がオランダはユトレヒトへ――当時の慣例として――「教養旅行」、いまふうに言えば留学した。ユトレヒト大学で勉学を修めたあとアムステルダムにも立ち寄り、そこの新教会にて同教会の盲目のオルガニスト、ヤン・ヤコプ・デ・グラーフが当時最新流行だったイタリア様式の協奏曲を暗譜、オルガンで弾くという「妙技」に接して、いたく感銘を受けた。アムステルダムで出版されていたヴィヴァルディの協奏曲集の楽譜も買い、それを手土産に帰国後、エルンスト公はさっそくバッハに自分が聴いた「すばらしいオルガン編曲」を再現するよう求めた…こうして生まれたのが6つの「オルガン協奏曲」、というわけ。ほかにもクラヴィーア用編曲が15曲あって、その中からも一曲(ニ長調 BWV.972)オンエアされました。もっとも番組ではデ・グラーフの、画期的とも言える「妙技」については触れずじまいだったが…ひとつ言えることは、バッハ時代から天才的な盲目の演奏家がいたということです。近現代ならフランスのヴィエルヌやドイツのヴァルヒャがそうですし、わが国にも梯剛之氏というすばらしいピアニストや、ヴァイオリニストの川畠成道氏がいますね。天才、ということではこの子も気になる存在ではあるが…つづいてバッハ作品の編曲、ということではおなじみの感ありのブゾーニ版によるオルガンコラールが3曲(BWV.639, 659, 645)、そしてアルノルト・シェーンベルクが管弦楽ヴァージョンに編曲した「前奏曲とフーガ 変ホ長調 BWV.552(「聖アンのフーガ」)」がかかってました。シェーンベルクは「十二音技法」dodecaphonismでつとに有名ですが、門下のヴェーベルンも「音楽の捧げ物 BWV.1079」から「6声のリチェルカーレ」などを管弦楽用に編曲しています(ついでにECMからヴェーベルンとバッハを組み合わせた盤が出ています)。なんでシェーンベルクが、このバッハ最後の自由オルガン曲BWV.552を管弦楽用に編曲したのかは寡聞にして知りませんが、たまにはオケによる演奏もいいものです。とくに3つの主題を持つフーガはオケ版のほうが各声部の旋律線がくっきりと明瞭に聴こえるので、オルガンの響きにはどうもなじめない…という向きにはとっつきやすくてよいかもしれません。自分はそれでもオルガン独奏による原曲が好きではあるけれども…。
2007年02月09日
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