2009年12月30日

今年も残りあとわずか

1). きのう29日は、「カンタベリー大司教トマス・ア・ベケットが暗殺された日」でもありますが、アレッド・ジョーンズの誕生日でもある。39歳ですかー、まずはおめでとうございます。と、BBC Musicの取材記事とか見ながら書いてます。「100年にひとりのボーイソプラノ」と騒がれた少年時代ですが、本人はいっこうにそんな意識はなくて、当時を顧みてこんなこと言ってます。

'... At the time, I never really thought there was anything that amazing about my voice. I was just a member of the choir at Bangor Cathedral abd was proud of that, though I did notice that a lot of solos started to come my way.(下線強調は引用者)'

アレッド自身はソリストとしてよりも、「みんなといっしょに」歌いたいタイプだったようです。なのでソロ活動と聖歌隊員としての活動が両立できなくなったとき、聖歌隊長の判断でソロ活動にのみ集中することになるのですが、本人としては「ひじょうに残念な思いだったけれども、バンゴア大聖堂を去るしかなかった。いまでも、大聖堂聖歌隊という環境のなかで育まれるあの特有の仲間意識を懐かしく思い出すよ」と語ってました(原文の'camaraderie'は、和風の言い方にすれば「おなじ釜の飯をくった仲間」という感じ。前にも触れたけれども聖歌隊のOBの仲間意識はそうとう強い。おんなじような仲間意識ないしアットホームな感覚は、OBが手伝いに駆けつけるTFMのクリスマスコンサートや定演でも感じますね)。

 そういえば数年前にここに書いたアレッドの自伝に、ちょっとおもしろいエピソードが出てきます。ロイヤル・アルバート・ホールで舞台を終えたアレッド少年。当時、彼の両親は舞台袖ではなくて、一般の聴衆と混じって客席から見守っていた。アレッドは客席で待つ両親のもとへ、迷路のような舞台裏通路を急いで向かっていたら、いきなりひとりのでかいおっさんが泣きはらした目をして汗だくになって現れ、アレッドの手に紙切れみたいなものをねじこんだ。「きみの歌にすっかり心を奪われた。ありがとう。きみの歌にどれほど助けられたことか」と口ごもりながらしゃべった。手許を見たら、5ポンド札らしかった。「ありがとう。でも困ります。こんなにしていただいてうれしいのですが、歌うことはぼくの仕事なんで」と男に紙幣を返そうとしたものの、けっきょく手の中に押しもどされてその男は廊下を走り去ってしまった。手を開いてよくよく見たら、5ポンド札かと思いきやなんと50ポンド札が二枚も!! 当時の英国ポンドがどれくらいの価値なのかはちょっとわからないけれども、すくなくとも子どもが一度に手にする金額をはるかに超えていたであろうことは想像に難くない。で、けっきょくその翌朝、リージェント・ストリートにある世界最大級のおもちゃ屋ハムリーズに開店早々、買い物に行ったとか(p.56)。貯金はしなかったんだね(笑)。宵越しの金は持たないほうかしら(↓は、現在発売されているボーイソプラノ時代のアレッドのアルバム)? 

アレッドのCD2枚


2). 「バロックの森」、今年最後の一週間は…バッハによる年末年始のカンタータを中心に。「クリスマス・オラトリオ」は本来、クリスマス以降の礼拝用に作曲された6つのカンタータの集合体。なので27日は、その日の礼拝用として作られた「第三部」を、そして――もうすぐだけど――来たる元日、「イエス命名日」の礼拝用として作られた「第四部」を流すという、なんとも親切なプログラム。月曜の朝はしょっぱなから朗々と「幻想曲 ト長調 BWV.572」がかかりましたね。朝からオルガノプレーノ、朝から大音量(笑)。アンドレア・マルコンって女流奏者なのかな、端正な演奏でよかったです。火曜日の「ゴルトベルク」のアリア主題、ピエール・アンタイの独奏もすばらしかった。で、そのゴルトベルク本人が作曲したという「チェンバロ協奏曲 変ホ長調」というのは初耳で、おもしろかった。あとで音源を調べてみよう。けさは、バッハへと至る北ドイツオルガン楽派の作品がかかりました。アンドレーアス・クネラーなる人の「前奏曲 ニ短調」という作品も聴いたことがなかったのでひじょうに興味深かった。…構造としてはブクステフーデばりの、短い前奏曲→小フーガ→前奏曲という定石パターンでしたが。で、おや、元旦はなぜか(?)ジェレマイヤ・クラークの「トランペット・ヴォランタリー」がかかるんですね…。ふたたび寒波襲来で、冷たい「オオニシ」が吹きまくりそうですが…。

 …先日、こちらのサイトにてクリスマスにまつわるオルガン作品をいろいろと聴きましたが、ひさしぶりにレーガーの「クリスマスの夜」なんて作品も耳にした。いかにもレーガーらしい(?)暗い出だしなんですが、後半、グルーバーの「きよしこの夜」の旋律が出てきます。ちなみにレーガーという人はオルガンはまるで弾けなかったらしい。それでいて「難曲」ばかり書いているのだから、すごいと言えばすごい人かも(いやヘンな人?)。声楽好きの方には、「マリアの子守歌」の作曲者、と言ったほうがピンとくるかもしれない(TFMのクリスマスコンサートでもこの愛らしい作品を歌ってくれますね)。

posted by Curragh at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽関連
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