2007年03月24日

ヘフリガー氏逝く

 17日、奇しくも聖パトリックの祝日にスイス出身の名テノール、エルンスト・ヘフリガー氏が故郷ダボスで亡くなった。享年87歳。急性心不全だったらしい。先月だったか、NHK教育の「思い出の名演奏」で、1992年に来日したときのもようを放映してました。歌っていたのは、すべて日本歌曲。そのときはじめて知ったのですが、ヘフリガー氏は本場欧州の超一流歌手としてはひじょうに希なことですが、日本歌曲をなんと日本語で歌う、ということを晩年のレパートリーとしてまじめに取り上げていたようです。当然のことながら当時、ヘフリガー氏のこの野心的ともいえる試みは日本の聴衆に深い感銘をあたえたらしい。じっさいにヘフリガー氏の熱演を見ていると、ドイツ人歌手が日本語で歌う、ということがまったく新奇に聴こえない。ヘフリガーと言えば、かつてカール・リヒター指揮「マタイ受難曲」での福音史家の名演ぶりがすぐに思い出されるのですが、日本歌曲を歌うその姿もじつに説得力があり、日本歌曲の普遍性、すばらしさを再認識させてくれました。あのとつとつと優しく語りかけるような歌い方が、聴く者の心を深く揺さぶります。涙が出るほど感動しました。

 昨今のテノール歌手はたいていがオペラ畑の歌手。ヘフリガー氏はオペラにも出演したけれど、どちらかと言えばドイツリートの大家という印象が強いですね。まちがいなく20世紀を代表するドイツリート歌手のひとり、と言えるでしょう。合掌。

posted by Curragh at 23:12| Comment(0) | TrackBack(0) | おくやみ
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