2007年04月01日

Treble Violと奴隷貿易廃止200年

1). 先週と今週の「バロックの森」からいくつか。先週金曜日オンエアの「小型のヴィオール」特集。英名Treble Violという楽器のえも言えぬ美しい調べを聴いて驚きました…ヴィオール族、とくると、2月末に「マタイ」で聴いた、「股のあいだに挟む」ヴィオラ・ダ・ガンバの低音をつい連想してしまうのですが、こんなに繊細かつ美しい楽の音を響かせる愛らしいヴィオール(英語読みではヴァイオル)があったのですね。ジョン・プレイフォードの出版譜のひとつ「ディヴィジョン・ヴァイオリン」という曲集から一曲、紹介されてましたが一回聴いただけでトレブル・ヴァイオルの響きにすっかり魅せられてしまいました。

 今週の金曜日。これもめったに聴けないであろう、デマンティウスという人の書いた「ヨハネ受難曲」を聴きました…シュッツの「マタイ」を連想させる、簡素な構成による20分たらずの受難曲。歌手の役割分担もなくて、ひたすら「ヨハネ伝」テキストを歌うというような感じで淡々と進行していました…結びの祈りのことばでは、もうすでに「涙の谷」であるこの世を捨て、天上での永遠の生を切望しているかのようで、暗黒時代(30年戦争)を生きた人の渾身の絶唱のようにも聴こえました。デマンティウスはゴットフリート・ジルバーマン製作の名オルガンで有名なフライベルク大聖堂の楽長もつとめた人らしい。多作なのに現在では散逸してしまっている作品が多いのは残念ですね。

 あとシャイデマンの「第6旋法によるマニフィカト」(月曜日オンエア)とか、フランスバロックのクレランボー作曲「第1旋法による組曲」がよかった。フランスのオルガン作品、とくると、19世紀の作曲家ボエルマンの「ゴシック組曲」の終曲がけっこう好きでした。だいぶ前にアラン女史がサントリーホールの大オルガンでこの作品を弾いたもようをTVで見たことがあります。終曲はフルストップで、しかも両脚でオクターブ離れた主題を演奏する「二重ペダル」が圧巻でした。古楽ではいまさっきやっていた「日曜喫茶室」。いつぞや「バムックの森」でも聴いた、「アウ、アウ、アウ、俺は飲むぞ」。とにかく楽しい曲でして、ヨーロッパの古楽を敬遠している方にはまさにうってつけかも。そういえば「カルミナ・ブラーナ」も音楽学的に復元した演奏盤とオルフによる現代アレンジものとふたつオンエアしてました(金曜、「ミュージック・プラザ」)。

2). ラジオついでにBBC Radio3 Choral Evensong 。先月(ブリストル大聖堂/11日、ポーツマス大聖堂/25日)放送分のストリーミング配信を聴いていたら、主任司祭(dean)のお説教で「奴隷貿易廃止200年」ということばが耳に入ってきました。そうか、ちょうど今年が節目の年なんだ、と思っていたら、地元紙にもカンタベリー大主教らが「過去の過ち」を忘れないためのデモ行進をおこなったというちいさな記事が掲載されてました。ウェストミンスター・アビイでも女王みずから出席して式典が開催されたみたいですね。奴隷貿易は過去の話になったかもしれないが、slaveryは形を変え、いまだに世界各地ではびこっている悪弊であることには変わりありません。今回の式典については「白人の自己満足に終始している」との批判も上がっているようですが、けっして無意味ではないと思う。

 あ、それとそうそう、きのうの「バロックの森」。番組最後で重大発表が。なんと公式サイトができたという!! さっそくアクセスしてみたら、おお、いつも作品を紹介してくださる先生方のプロフィールまで掲載されている! もちろんリクエストもできる! ファンとしては願ったりかなったりですな。

 …もう4月。おかしな天候つづきですが、さくらをはじめ「山笑う」季節の到来です。TVで見るかぎり、西伊豆よりも東京のソメイヨシノのほうがいち早く満開になっているみたいですね。

posted by Curragh at 16:35| Comment(0) | TrackBack(0) | NHK-FM
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