2010年04月11日

「主にむかって新しき歌を歌え」

1). 「ビバ! 合唱」ってまだやっていたんですね(汗、ちなみにvivaはイタリア語でもとになったラテン語ではvivatと書く)…てっきり3月いっぱいでもうおしまいなの?? なんて思いこんでいたもので…案内役の先生が松下耕先生から大谷研二先生へと選手交代しただけだったみたいです。で、いまさっき聴いてみたら、バッハのわりと有名な8声二重合唱によるモテット、「主にむかって新しき歌を歌え BWV.225」がかかりました(「歌え、主のみ前に新しい歌を」というほうがたぶん原語のワードオーダーに忠実な訳)! 

 前にも書いたかもしれなくて蒸し返しになるかもしれないけれども、大谷先生のおっしゃっていたごとく、職業音楽家バッハはだれそれの葬式用の作品だの、結婚式用だのといった注文もこなさなくてはならなかった。バッハほどの偉大な作曲家も人の子、ときとして「この仕事、やる気がしねぇ〜」なんとこともあったかもしれませんが、それでもやっつけ仕事とは無縁な勤勉な職人だったので、たとえそうであってもつねに全力投球! そうすることで神の栄光をたたえることになる、とかたく信じていた(と思う)人なので、もちろんあきらかに「手抜き」なんてことはない。このモテットはのっけから気分ノリノリの輝かしい、晴れ晴れとした二重合唱ではじまる。1726-7年ごろに作曲されたらしいけれども、具体的には不明。1727年5月にライプツィッヒで祝われたザクセン選帝侯アウグストの誕生日祝賀会用ではないか、と考える人もいる。おかしかったのは、大谷先生が、これを朝の通勤・通学時間に聴くとよいですよ、と言っていたこと。…朝からこれですか! うーむ、たしかに元気はモリモリ湧いてくる…気はします。

2). 教育TVでもこんなおもしろい番組がはじまりましたね。はじめて見たときはいきなりあの坂本龍一さんが「ゴルトベルク」の25変奏(9番目の「3度のカノン」についで好きなところ)をNHK所有の歴史チェンバロのレプリカで弾いているではないですか!? え、なにこれ?! と思って気になっていたら、日曜午後に再放送が。これさいわいと飛びついた(笑)。で、あらためて見てみますと…なかなかおもしろいではないですか。なんかいつぞや聴いた、「真夏の夜の偉人たち」みたいに、みんなでバッハをサカナに「鼎談」しているところなんかいいね。坂本さんは左利きなのか。「バッハ好きって左利きに多いのかな」。いやいや、そんなことはありませんぞ(笑)! 

 すごくおもしろかったのは、音楽を勉強している若い人たちとともにバッハの作曲技法を実地で体験する、という場面。有名な「平均律 第一巻」の最初のハ長調前奏曲(BWV.846)。これのコードに乗せて、みんなで即興演奏しよう、というのが見ていてひじょーに楽しかった! 英国には音楽を勉強している子どもたちを対象としたワークショップなりコンペなりが盛んのようですが、寡聞にして日本でそのようなコンペがおこなわれている、という話は聞いたことがない。もっとやったらどうですかね。隠れた才能をもった子どもたちがそれこそわんさか出てくるような気がしますけど。また音楽教育ついでに、小学校でかならず習わされるリコーダー。一回でいいから、本格的な木製のリコーダー(S-A-T-Bの4本)をじっさいに体験する機会も作るべきだと思う。プラスチックでできた安物とはまるで音がちがいますよ。「耳からうろこ」、a sense of wonderまちがいなし。子どもたちにはなるべく本物と触れあう機会をもっともっとあたえるべきだと思う(もちろんオルガンもね。せめてチェンバーオルガンくらいは本物に触れさせるべきだと思う)。生徒さんたち、けっこうやりますね! 感心しました。かくいうワタシも「ニ、三声のフーガもどきにしたい」旋律をひとつもっているのだけれど、あいにくそんな才能もなし、考えている時間もなし(笑)。目の前の動機から、即興で三声くらいのフーガが紡ぎ出せたら、どんなにかすばらしいことだろう、と思う(できもしないくせに、楽譜になにやら書きつけている夢は見たことがある)。それにしても、あの単純素朴なコラール旋律って、「マタイ」に出てきたり有名なカンタータ「147番」にも出てきたり、また出だしの三連音符までもあの定旋律から導き出されているとは、ひさしぶりにアタマを刺激されましたね(岡田先生はそのことにいま気がついた、みたいなことを言っていたけれども、たとえば「オルガン小曲集」なんかはコラール定旋律(とその歌詞内容)からすべての動機が生み出されていたりする。冒頭のBWV.599などはその好例)。

 ところで「ドミソ」和音における「ミ」の発見について、あたかもバッハ時代に見出されたみたいな感じで話していたけれども、おそらくそれはモンテヴェルディとかカリッシミ、カッチーニあたりまで遡るのではなかったかしら、と門外漢は思っていたのだけれど、確信はない。そうだ、西洋音楽史の生き字引、Kenさんに訊いてみよう…(こんなとこでお名前を出してしまって、失礼しました)。

 …バッハは4回シリーズで、次回は通奏低音! 気合を入れて見るぞ。

3). 先週の「バロックの森」は、ヴェネツィア楽派てんこ盛りでした。モンテヴェルディやアンドレア・ガブリエーリに甥っ子のジョヴァンニ・ガブリエーリ(「ピアノとフォルテのソナタ」、音楽史上最初の強弱記号のついた作品)、アルビノーニにベネデット・マルチェッロ(政治家だったんですね。兄は「オーボエ協奏曲」で有名なアレッサンドロ・マルチェッロ)、そして最終日は白眉、ヴィヴァルディでした。「四季(Le Quattro Stagioni)」って、ほんとうは1725年刊行の「和声と創意への試み」の1番目から4番目の作品だったんですね(手許のCDのライナーにもおんなじことが書いてあるだろうけれども、すっかり忘れていた人。なおリンク先Wikipedia記事の「ハ短調」はたぶん「ニ短調」のまちがい)。ヴェネツィア楽派は上述したバッハのモテットでも用いられている「多重合唱(polychoral)」の元祖でもある。また通奏低音の先駆け、'basso seguente(つづく低音の意)'について、1575年にPlacido Falconioなるヴェネツィアの作曲家が出版した「入祭唱」と「アレルヤ」集で用いられたのが出版楽譜に出てくる最古の例だと英語版Wikipediaにありました。'basso seguente'は多重合唱と、それを支えるオルガンなどの器楽伴奏から生まれたものらしい。バロック音楽の代名詞とも言える通奏低音の起源はこのへんからなのかな? 

posted by Curragh at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | NHK-FM
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