2010年04月12日

プラスティキ号航海記

1). いま、プラスティキ(Plastiki)という名前のリサイクルボート(カタマラン)が南太平洋を航海中です(→公式サイト)。日本では例によってあんまり(?)扱いが大きくないですが、NYTブログにも取り上げられておりました。

 公式サイトは全面Flashではっきり言って重いorz…とりあえず挺の構造と帆走性能を調べてみたら、'She is a down-wind vessel.'とある。マストは灌漑用パイプ、船体には浮力材としてなんと12,500本もの(!)空きペットボトルを連結して使用(波は双胴に組みこまれたペットボトルの隙間をすり抜けるようになっている)。非常用としてバイオデイーゼル燃料で動くエンジンは搭載しているけれど、船上で使う電気には太陽光および風力発電、そして人力で(足こぎ式発電機)。また水も海水を真水に変えて使い、飲料水は集めた雨水を使用。徹底的に環境に配慮している…ように思う。この点30年以上前のブレンダン号航海とはえらいちがいでして、記録映画なんか見ると、最初の時化でダメージを被って使い物にならなくなった乾燥食材の入ったポリ袋とかをポイポイ捨てちゃっている。時代を感じさせるシーンではあります。プラスティキ号の平均帆走速度は5ノット。ブレンダン号や焼津の伝統漁船八丁櫓と同様、センターボードのたぐいはなし。なのでleeway、つまり風下側へ流される。風に押されて進むわけなので、当然、現代セイリングボートのような風上側へ「間切る(tacking)」とかはできない。できるのはジャイブのみ。セイルもリサイクルされたペットボトルから再生して作られたもの。ただ縦帆船だから、たぶんセンターボードがなくてもブロードリーチ(進行方向から90度の角度で風を受けて進む)くらいはできると思います。でもほとんど風まかせ、海流まかせの航海ですね。それでも現在位置とか見ると、前にも書いた「太平洋ごみベルト海域」南側を進んでいるので、ここの調査結果とかもどこかに書いてあるかもしれない。また船上の照明をすべて点灯しても、消費電力はほぼ家庭用の白熱電球一個分くらい。また「お小水」まで有効利用、これで船上水耕栽培までしているんだとか。どこまでもエコな帆船ですね。挺の全長は60フィートだから、だいたい18mですか。先月20日にサンフランシスコを出航して、最終目的地は豪州シドニーだそうです(→出港のようす)。

 ネーミングはたぶん「コンティキ」からだろうと思いますが、航海の目的はもちろん環境調査。「ごみたまり海域」はじめ、温暖化による影響で水没のおそれのある南太平洋のツバルやマーシャル諸島へも寄港する予定みたいです。リーダーの冒険家デイヴィッド・デ・ロスチャイルド氏にとって今回の航海の目的は、「プラスチックごみ」そのものと、その有効利用について人々の関心を集めること、この二点にあるようです。

He hopes to draw awareness to plastic waste worldwide and its possibilities for creative reuse.

 もちろんいまどきの航海たがら、衛星回線経由でインターネットに接続して航海日誌みたいに更新しています…それも――個人的にはあんまり好きではないが――Twitterで。140字以内という字数制限があるので、たしかにこれならかんたんに世界中のフォロワーたちと連絡ないし報告はできますね(8日付の投稿では、航海を記録しているカメラマンの誕生日がつぎの日、9日だとかありました)。このへんの通信事情の激変ぶりはたしかに昔とは大ちがいだ。位置決定はGPSでやってるのかな? 昔だったらロラン航法とかを使ったかもしれないが(いや、いざとなったら六分儀もあるから大丈夫かな)。とにかくぶじにシドニーに到着するといいですね。なにか情報が入ったらふたたびここでも取り上げるかも。

2). 話変わって、こんどはこちらの記事。すでにいろんなところで取り上げられているので、ここではメモていどにかんたんにしておきます。へぇ、NYTって全国紙の発行部数ではもっとも少ない「産経新聞」より発行部数が少ないのか(100万部もない。もっともNYTは一地方紙にすぎないから、日本の全国紙とくらべるのもどうかとは思うが)。トップページも直リン禁止云々…という言明は、おそらく欧米の新聞社からすればおよそ信じられない感覚なんじゃないかと思う。それよりも、NYTの有料化のほうが気になったりする(笑)。またあとでリンク先を読んでみますか(従量制で、ページヴューがある分量を超過すると月5ドルを払うことになるとか聞いてはいるけれども)。

 でも個人的には前々から感じていたことがあらためて記事に書かれている点に注目したい。

Instead of going all out on the Web like many American papers, Japan’s top papers have limited online fare, so that readers must buy print editions for full articles. On Daily Yomiuri Online, the Web site of another Japanese daily, many articles are short versions, or “stubs,” with no photographs. The same is true for Asahi.com, run by the Asahi Shimbun.

発行元の方針のちがいと言ってしまえばそれまでだし、日本の新聞社の場合は米国ほど広告収入頼みというわけでもないから、たとえ印刷版の「要約」みたいな記事でもしかたないかもしれない(でもそれでは意味がない)。なにがなんでも向こうの商売の流儀に巻きこまれる必要はないけれども、やはり新聞のような定期刊行物にかぎって言えばもはやWeb版なしには考えられなくなってきているような気がする(雑誌も)。折よく(?)米国ではiPadが発売になり、NYTはじめ、米国の主要新聞社はみんなこの新端末に特化したあらたなビジネスモデルを構築しようと必死になっている。いずれにせよどっちを取るか、選ぶのは購読者であって発行元ではない。

posted by Curragh at 22:39| Comment(0) | TrackBack(0) | Articles from NYTimes
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