2010年05月08日

まずいハマりそうだ(苦笑)

1). まずは最近買った買い物から。こちらの廉価盤(1575円!)なんですが、いやー、これがまたいいんだな。なにしろカベソン、ヴェックマン、クロフト、ヴァレンテ、パスクィーニなど、名前なら聞いたことはあるがどんな作品書いているのかについてはさっぱり、という作曲家ばかり集めた鍵盤作品集。でもただの鍵盤音楽集ではありません――パリ音楽院付属楽器博物館所蔵の歴史的に貴重なクラヴィコード、チェンバロ、フォルテピアノを作品の書かれた時代ごとに弾き分け、これら銘器の音色を聴きくらべてみよう! というこの手の音楽が好きな者にとってはまさに垂涎もののディスク。バッハも一曲(「平均律 第一巻」からBWV.853)収録されてまして、いやもう楽しいのひとことに尽きる。またこのアルバムのよいところは、オリジナルの詳細な解説を再録していること、楽器博物館提供による各楽器の詳細なデータまで転載していること(古いものでは400年近く前の古楽器が「演奏可能な状態」であることにもおどろく)。30年以上前の古い録音ながら、デジタルリマスターで経年劣化などみじんも感じさせない。こんなすごい音源が2千円以下で入手できるんだから、これは買わなきゃ損です(笑)。

 折しもいま、いつも行っている図書館から小学館の『バッハ全集 第11巻』を借りてまして、「インヴェンションとシンフォニア」なんかを聴いています。その解説本にはバッハの教育法、バッハはどんな楽器で練習していたのか、1巻から4巻までの「クラヴィーア練習曲集」についてどういう意図で編まれ、出版されたのか、クラヴィーア組曲の歴史とバッハについて、果てはシェーンベルクらに代表されるような「十二音技法」、「セリー書法」との関連で綴られた「フランス現代音楽とバッハ」、ワンダ・ランドフスカにはじまるチェンバロ復興に見る「19世紀のチェンバロ復興」などなど、すこぶる刺激的な読み物もぎっしり!! とくに興味をそそられたのは渡邊順生氏の「リューネブルクのバッハとクラヴィコード」という記事。で、当時の状況を考えるとドイツの家庭にもっとも普及していた鍵盤楽器、とくると当然クラヴィコードになるし、苦学生バッハが世話になっていた長兄ヨハン・クリストフからはじめて手ほどきを受けたのもこのクラヴィコードかもしれないと書いてます。たしかに次男坊のC.P.E.バッハもフォルケルに伝えた話として、「クラヴィコードが上手に弾ければチェンバロの演奏もうまくいくのであり、その逆ではない」とか言ってたっけ。クラヴィコード演奏に習熟することこそ、当時のドイツの鍵盤楽器奏者/作曲家にとってはごく当然な道だった、というわけ。そこで同氏が引き合いに出しているのが「旅立つ最愛の兄に思いを寄せる奇想曲 BWV.992」。これはクラヴィコードで演奏してこそ、真の価値が発揮されるという。でもなんといっても驚愕したのはライプツィッヒ楽器博物館にあるという、「三つに重なったクラヴィコード」の現物写真(p.86、リンク先の楽器はそれとはちがいます)! クラヴィオルガンをはじめて知ったときも驚愕したが、ある意味こっちのほうがインパクトが強烈(笑)。生前、バッハはヨハン・クリストフに'3 Claviere nebst Pedal'を与えたそうで、渡邊氏によるとこれこそ「3つのクラヴィコードが重なった」楽器だと推測している。バッハはこういう楽器で弟子たちに教えたり、自身も練習していたのかな? もっともクラヴィコードだけではなくて、自家用チェンバロだって数台もっていたから必要に応じて使い分けていたのかもしれない。でも弟子たちの教育という点では、クラヴィコードを重要視していたのはおそらくまちがいないところ。当時、ヨーロッパのほかの国ではすでに「廃れた」鍵盤楽器だったクラヴィコードがドイツではオルガニストの練習用として、また家庭での音楽用として愛用されつづけたという特殊な事情が結果としてバッハという天才を生んだのかもしれませんね。

2). でもそれ以上に喜ばしく、かつ驚愕したのはこちらのサイト。いったいなんのサイトなのか、いまだによくわからないけれども(オランダ語で書かれてあるため、よくわからない)、なんとなんと、ヴァルヒャのライヴ録音が聴けるではないか! もちろんこんな音源など発売されてはいないから、大多数の日本のリスナーにとって、これは未知の音源ということになる。オランダのどっかの教会の、マルクッセンオルガン(デンマークのオルガンビルダーで、福島市音楽堂の楽器浜松市福祉文化会館の楽器なんかがそう)を弾いたコンサートらしくて、1967年12月3日の収録らしい。たぶん演奏旅行先のリサイタルということなんだろう。時期的には、「バッハ・オルガン作品全集(2度目)」の録音作業の後半にかかりはじめたころですね。

 まさかこんなすごい録音ファイルにbump intoするとは思いもよらなかった。いやもうぶっとび、Man alive(また壊れた)! しかも音源はレオンハルト、ハイラー、コープマン、イゾワール、リテーズまである(ガストン・リテーズはヴァルヒャと同様、盲目のオルガニスト/作曲家で、奇しくもヴァルヒャとほぼおなじ時期[1991年8月5日、ヴァルヒャはその6日後]に亡くなっている)! まずい、しばらくハマりそうだ…(苦笑)。最近どこの音源サイトもそうだけれど、ここもFlash(AppleのCEOは嫌っているようですが)で動くプレーヤー。ということはiPhoneのブラウザでは再生さえできないのかな? HTC Desireではどうなのかな(最近、この手のAndroid端末に興味があったりする)?? 

 …おまけにこのヴァルヒャのライヴ音源、収録数こそ三曲しかないものの、これがまたすばらしい! 「音楽の捧げもの」から「6声のリチェルカーレ」、そして「フーガの技法」から最終の「未完フーガ」ですよ(あと一曲はBWV.529の「トリオ・ソナタ 第5番」)! それも演奏者ヴァルヒャ自身による「補筆完結版」で!!! もう感謝感激雨あられ状態(たとえが古すぎるか)。というしだいなので、しばらく耽溺してきます…(「トリオ・ソナタ」の曲を誤記していたので、訂正しました)。

posted by Curragh at 17:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽関連
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