2010年05月10日

勝手版「Chrome OS」??

 最近、なにかとよく耳にすることば、クラウドコンピューティング。この前見た「IT ホワイトボックス」でもこの話題のクラウドについて取り上げていたけれども、たしかに一からシステムを組み上げて立ち上げていた昔とくらべればコストは安上がりですし、セキュリティ的にも強いのかもしれない (イントラネットにぶら下がっている子機がみんな 'thin' クライアントの場合、データもアプリもすべてクラウドサーバーの中に用意されているから、子機のどれか一台がヘンなものに感染しても、被害は軽微にとどまると思う。もっともこんな調査結果もあるし、どんなシステムにも欠点というのはあるもの) 。

 最近なんだか鼻息の荒い (?) Google 社は「Chrome OS」なる「基本ソフト (OS) 」をひっさげてこの分野にも進出していますが、Windows とか Mac とかとは大きく異なる点がふたつある。ひとつはLinuxとおんなじ「オープンソース」、つまり OS の設計図はだれでもただで入手可能で、自由に手を加えることができるということ。いまひとつは「クラウドベースの OS 」であるということ (→参考記事。だからなのか、開発中のスクリーンショットを見るとブラウザの Chrome みたいな画面だ。というか Web ブラウザをそのまま OS にした、という発想みたいです。この OS には「デスクトップ」という概念がないんですね) 。

 自分もこの「オープンソース運動」には大賛成で、たとえば OpenOffice とか Firefox とか使ってるし、クラウドベースのサービスなんかも使いはじめたりしている。でもこの記事には正直、おどろいた。いまやOSさえも、「勝手版」ないしは「私家版」とも言うべきオリジナル・エディションが作れてしまう時代になったらしい。とはいえにわかに「私家版 Chrome OS 」があっちこっちでも公開されるという事態は、ソースコードを公開した当の Google 社も 'unintended consequence' だったようで、「本家」の開発者と共同で開発に参画してほしいというのが本音みたい。そうは言っても Google 側は、いまの動きはあくまでもかぎられた人向けで、ただちに一般のユーザーにも広がるとは考えにくいと傍観しているもよう。でもたとえば記事に登場するワシントン州や英国マンチェスター在住の高校生とか、十代の「学生プログラマー」がGoogle提供のソースコードから「実用版 OS 」を組み上げてしまうというのはなんともすごい時代になったもんだと思わざるをえない。OS というのはハードウェア ( I/Oに外部接続機器の認識、CPU やチップセットへの対応、メモリ割り当て管理や電源管理とか) 、利用者の目に見えない部分の役割がたいへん重要で、ここでコケるといくら見てくれがよくてもとてもじゃないけどまともに使えない。だからといってあまりにも使いにくいユーザーインターフェイス (UI) でも困るし。数あるプログラミングのなかでもOS開発というのはもっとも汎用性が高く、もっともむつかしいものだと思いこんでいる自分としては、いくら昔にくらべればプログラミングの難易度というか敷居が低くなったとはいえ、やっぱりおどろくほかなし。もっとも iPhone 用のアプリとかは SDK というひとつのパッケージとして提供される公式の共通プラットフォームがあらかじめ用意されているから、各種プログラミング言語を専攻している学生さんならわりと短時間で専用アプリが作れちゃうもんらしい。いま話題の「黒船 (個人的には iPhone ではなくてこちらのほうが「本命」だとにらんでいる。もちろん、電子書籍がらみで) 」端末、iPad 向けのアプリなんかも、米国での本体発売開始と同時に700本くらいがすでに同時リリースされているくらいです。

 英国のリアム少年のこさえた「私家版 ( home-brewed という言い方を使ってますが、もとの意味は自家醸造、いまはやりの地ビールですな) Chrome OS 」はたいへん評判らしくて、USB メモリ起動可能 ( Linux ディストリビューションではすでにおなじみの感ありだが、すこしはWindowsも見習ってほしいところ)とか、Java 対応とかかなりの本格派とみた (彼のサイトから落としてテストしてみようかしら ? ) 。

He explained that his work on Chromium began partly as a way to demonstrate his computing skills and possibly open doors in the technology industry. It also sprang from an interest and belief in Google’s computing vision. “Many people don’t care about how PCs work and all the security software that comes with today’s computers. They just want to use the Internet,” he said.

 「Chrome OS」最大の特徴は 100% クラウド仕様、ということは即、インターネットに接続できなくては意味がない。ということで、OS 起動即ネット接続という作りになっているし、またソフトウェアもごてごてとローカルマシン側にはいっさい入ってないみたいだから、おそらく体感としてはネットブック以上に立ち上がりが速く、サクサクと動作も軽快、だと思われます(これ重要。MS も日本の PC ヴェンダーも、こういう時代の趨勢に逆らうかのようなOS/ハードウェアを作ってきたと思う)。つい先日見た「IT ホワイトボックス」でも、いまや「Web ブラウザ」ひとつあればたいていのことはできちゃったりする。番組では Google がおなじくオープンソースとして開発した「Android OS」のこともちらっと紹介していたけれども、HTML5 も策定中だし、W3C のエンジニアだという人がいみじくも言っていたように、「10 年後にブラウザの歴史を振り返ってみて、いまがいちばん exciting な時代だったときっと言われるにちがいない」。たしかにそうかもしれない。

 …ちなみにこの「Chrome OS」、では「公式版」はいったいいつごろリリースされるのかしら、と思っていたら、

Google is not expected to unveil the highly anticipated Chrome OS until the end of the year, and the software is expected to run, at first, only on the class of low-cost PCs called netbooks. But Mr. Wing, along with a growing number of other Google fans, did not want to wait.

だって。公式版が出たらそれも試してみようかな(WebブラウザのChromeのほうはいまのところはとくに導入する予定はないけれども)。

追記:いまさっきGoogle Mobileの公式ブログ見たら、こんな記事が目についた。なんかいっとき出回った、スキャナでさっと読み取って瞬時に翻訳する電子辞書みたいな仕掛けだと思った。さまざまなアプリを追加できる、というスマートフォンの自由度の高さはこういうところにも発揮されていると言えるけれども、これってやっぱり翻訳精度は Web 版の「Google 翻訳」ていどかな? ためしに仏語で書かれた原本とか読ませたらどんな英訳を提示するのか、ちょっと興味はあります ( →ときおりのぞかせてもらっている、柳瀬先生のブログにも「Chrome OS」について興味深い記事があったのでご参考までに) 。

 もうひとつ追記。五嶋龍さんが名門、オルフェウス室内管弦楽団との共演というかたちでカーネギーホールデビューを果たしたという記事も見つけた。

posted by Curragh at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | Articles from NYTimes
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