2010年07月18日

ラウテンヴェルクに「トリオ・ソナタ」

 先週の「バロックの森」。月曜日は…楽しみにしていたのにサッカーのW杯中継がタコのパウルくんの足よろしく延びて(?)「お休みします」!!! こういうの、緊急地震速報以外でははじめてだ(怒ってます)。そういうのは「ラジオ第一」とかでやってもらいたい。というか、TVだけでもいいのでは? スポーツ中継なんて、じっさいに映像が見えたほうがいいですし。

 …というわけで火曜からスタートしたわけですが、ブクステフーデの「われらがイエスの四肢」もいいけれど、なによりおもしろかったのは復元されたラウテンヴェルクという鍵盤楽器で演奏されたバッハの「前奏曲、フーガとアレグロ 変ホ長調 BWV.998」。鍵盤楽器以外ではとくにリュートに興味があったと言われる大バッハは、なんと「チェンバロみたいに鍵盤で弾くリュート」という楽器を自身の仕様で作らせ、それを2台、持っていた(遺産目録に記述あり)! その「ラウテンヴェルク(リュート・チェンバロ)」という楽器、現存しているものはないので当時の資料をもとに推測して演奏者自身が復元した楽器で録音したんだとか。発音機構はリュートそのものなので、張られているのもガット弦。で、音なんですが、まんまリュート(笑)。でもこれで「フーガの技法」とか、「音楽の捧げもの」の「3声のリチェルカーレ」とか弾いたらどんな感じに聴こえるのかな?? そういう録音も出してほしいところ。

 木曜の放送では、やっぱりハラルト・フォーゲルのオルガン独奏によるブクステフーデの「前奏曲、フーガとシャコンヌ ハ長調 BuxWV.137」が楽しかった。コープマンほどには「突っ走って」なくて、テンポもそうはげしく変わったりということのない、いい意味で安定した演奏という感じ。

 金曜の朝は、好きな「トリオ・ソナタ ハ短調 BWV.526」がかかりました。演奏者はバンジャマン・アラールという人。第二楽章の「ラルゴ(変ホ長調)」がとくに好き。レジストレーションも弱すぎず強すぎず、ほんわかと包みこむような暖かい音色の組み合わせで、これも自分の好みとぴったり。全体的にじっくり噛みしめるかのような演奏で、たまにはこういう「ゆっくり目」もいいですね。昨今の演奏はやたらと速すぎるのが多いから。

 土曜朝はのっけから、エイクの「“笛の楽園"から 涙のパヴァーヌ」。ソプラニーノ・リコーダーの甲高く、澄んだ響きは朝にふさわしい。バロックハープによるフレスコバルディの「第3旋法のトッカータ」もよかったけれども、はじめて聴くメールラの「そう信じてしまうおバカさん」という変わったタイトルの作品もおもしろかった(え? ワタシのことか?? 参院選は、某agenda党首の政党に投票しちゃいましたけれども!)。タイトルのわりにはまじめな(?)曲想に聴こえました(第3旋法=フリギア旋法)。

 けさの「リクエスト」にもバッハの「トリオ・ソナタ ト長調  BWV.530」がかかりました(リクエストは静岡在住のリスナーの方)。「6つのトリオ・ソナタ」については以前書いたことと重複するかもしれないが、バッハはこの「ひとりトリオ・ソナタ(通常、ふたりの通奏低音奏者と、その上でかけあいをする上声旋律ふたりの奏者で演奏される)」6曲を長男ヴィルヘルム・フリーデマンの教育用として書いたけれども、曲集として出版することも考えていたらしい。全6曲中、もっとも演奏するのがむつかしいのは5番目の「ハ長調 BWV.529」で、いまでもオルガニストの試験課題として出題されたりしますが、これにかぎらずバッハの「教育目的の作品集(「インヴェンションとシンフォニア」とか二巻の「平均律」とか)」というのは、つねに「いかに作曲するか」という作曲の実践技法をも教えるという役割も兼ねていた。「トリオ・ソナタ」の場合、厳格で転回可能な3声対位法を身につけさせるという目的もあったようです。最終稿の成立は1730年ごろと言われているけれど、じっさいの作曲期間は既作からの転用とかもあるので1727から32年にかけてであったらしい。「4番」以外はすべて急-緩-急の3楽章構成。これはヴァイマール時代に習得したイタリア協奏曲様式を独自に発展させた様式と言ってもいいと思う。とくに緩徐楽章は、いかにもイタリア風のメランコリックな旋律が際立っています。そういえば近年、べつに原曲が存在したと想定される曲については「幻の原曲版」を復元演奏する試みというのもけっこうおこなわれるようになりましたね。

 …梅雨明けしたけれど、この暑さ…暑中お見舞い申しあげます。あ、子どもたちはもう夏休みか。早いもんだな…。夏休みの課題は、朝の涼しいうちにこなしましょう(苦笑)。

posted by Curragh at 11:41| Comment(5) | TrackBack(0) | NHK-FM
この記事へのコメント
Curraghさん、ご無沙汰しています。
以下、ご存知だと思いますが、ラウテンヴェルク(専門ではないですが)の製作者のサイトです。製作者によって、外形もずいぶんちがっておもしろいですね。
http://www.instrumentgallery.keithhillharpsichords.com/index.html
http://www.romanektihamer.hu/index.html
Posted by aeternitas at 2010年07月19日 11:28
aeternitasさん

ラウテンヴェルク製作者サイトのリンク、ありがとうございます。m(_ _)m

自分が見たサイトの画像では琵琶みたいにふくらんだ形状の楽器でしたが、かならずしもそういうわけではないのですね。最初のリンク先は、まるでふつうのクラヴィチェンバロなので、音を出さないかぎり見分けがつかないですね。

…そういえばこの前、aeternitasさんの記事にBWV.1074から1087までの一連の短いカノンについて書かれていましたが、小学館の『バッハ全集』にはムジカ・アンティクァ・ケルン盤が収録されていて、一部多重録音とのことでしたが、はじめて聴いたときはちょっとびっくりしました…まるで現代音楽のように聴こえてきたからです! 「三和音のカノン」や「ファとミにもとづく7声のカノン」なんかはとくに…BWV.1075も気に入りまして、どこかにダウンロードできる楽譜とかないかと思い「探した(ricercare)」のですが、この手のマイナー作品はなかなか見つかりませんね…。
Posted by Curragh at 2010年07月19日 19:47
MAKによるカノンは、とりわけシャープで現代音楽のように響きますね。BWV1079なども、とてもおもしろくきけます。
それから、BWV1075の楽譜(GIF画像)でしたら下記にあります。
http://www2.nau.edu/tas3/honorific.html
Posted by aeternitas at 2010年07月20日 22:57
aeternitasさん

遅れましたが、リンクのご教示、ありがとうございます! 

そうでした、ここのサイトがありましたね。以前、「フーガの技法」のフーガとカノンについて、リンク先サイトで調べたことがあったのに、すっかり失念しておりました…。これら一連の「献呈用小カノン」も掲載されていたのですね! …「不協和の協和のカノン BWV.1086」もおもしろそうです。拙いながらもじっさいに自分で弾いてみたい人なので。とにかくご教示、ありがとうございます。リンク先サイトはまだ全文に目を通していないので、折にふれてじっくり読んでみたいと思います。

ところで…いましがたYouTubeにて、「未完のフーガ」の「復元例」なる演奏を発見しました。変形主題とその展開形まで出てくる壮大な「補筆完成版」でして、いままで聴いたことのない規模の完成版だったので、驚愕しています。

http://www.youtube.com/watch?v=1DPqVVfm9JU&NR=1
Posted by Curragh at 2010年07月24日 18:51
ゾルタン・ゲンツの補完(4重フーガ)は、発表当時ずいぶん話題になりましたね。サットマリーもこれを録音していました(aeternitasさんへ:さきほど誤ってほかのスパムコメントとともに消去してしまいました。コメント内容をコピーしてもう一度掲載しておきます。申し訳ありませんでした。m(_ _)m)。
Posted by aeternitas at 2010年07月31日 08:11
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