2010年08月29日

6年ぶりの堪水 & バロックフルート演奏会

1). 毎日残暑が厳しいですね…というか今年は典型的な「日照り」だという気がする。droughtというほどのことではないとは思うが…。

 先日、地元紙にて国の天然記念物および名勝にも指定されている三島の楽寿園にある「小浜池」が6年ぶりに堪水した、と報じていたので、いまごろになってのこのこ見に出かけた。自分は2003年9月の水位170cm超の文字どおり「満水」時に写真を撮りに行ったことがありますが、ひさしぶりの朗報とあっては、クソ暑いにもかかわらず、見に行かないわけにはいかない(笑)。ほんとはもうすこしはやく見に行きたかったのだけれども、あいにくひどい夏風邪をひいてしまって行けなかった。というわけで、やっと見に行ってきたしだい。

 ここは公式サイトにも説明が書いてあるけれども、もともと小松宮彰仁親王が1890年(明治23年)に別邸として造営したのがはじまり。ではそれ以前はなんだったのかというと、郷土史関係の資料に載っていた当時の「三島宿」の絵なんか見ると、どうも小浜池には神社が祀られていたらしい。いまはJR三島駅へと接続する道路で分断されているけれども、楽寿園と二股にわかれた道路の真ん中にある「愛染の滝」、そして反対側に位置する「白滝公園」とはもとはひとつにつながっていた。なにしろあのへんは1万年前に富士山から流れでた「三島溶岩流」の玄武岩地帯。あっちこっちに溶岩流の露頭が顔を出してます。で、「農兵(ノーエと読む)節」にも「富士の白雪 溶けて流れて 三島に注ぐ」と歌われるとおり、富士山に降り積もった雪は雪解け水となって玄武岩質溶岩の亀裂から地下深くに浸透し、長い年月をかけてふたたび広大な麓のそこここで「湧き水」となって噴出します。有名な「柿田川」も、三島溶岩流の末端からこんこんと湧き出す「湧き水からできた一級河川」。楽寿園内の「小浜池」もとなりの「白滝公園」同様、三島溶岩流から湧き出す自然湧水の池なんですが、あいにく1960年代以降、急激に枯れて、いまでは湧き水をたたえるほんらいの姿のほうが珍しくなってしまっているほど(某東×が操業停止すれば、小浜池湧水も復活する…かも)。1954年3月に国指定天然記念物および名勝に指定されてはいるものの、ふだんは見るも無残な「溶岩砂漠」状態をさらしている。

 今回は梅雨明けと同時に雨がぱったりと降らなくなってしまったせいなのか、公式サイトによるとお盆以降、池の水位は低下するいっぽう。見に行ったきのうの時点で水位は最高水位にははるかにおよばず、112cmほど。それでもひさしぶりの堪水なので、小浜池のほんらいの姿を見ることができて、大満足。周遊道をはさんで南側の「はやの瀬」・「なかの瀬」・「せりの瀬」の湧き水も元気に噴き出していまして、三島の街中はもわあとして暑いけれども、湧水が噴出している小浜池のあたりだけはほんと涼しい風が吹きぬけていてじつに気持ちいい。岩間からこんこんと湧き出すさまは、いつまでも見ていたいくらい。それとここにはちょっとした遊園地施設と動物園もありまして、昔はゾウやキリンがいたけれども、いまは小動物中心。それでもレッサーパンダとか、ワラビーとかがいます。今年あらたに仲間入りしたカピバラ(温泉好きの伊豆シャボテン公園からやってきたメスをふくめて計3頭)もいるのですが、この暑さ…では小屋に避難して動こうともしません(苦笑、↓は堪水した小浜池・はやの瀬の湧水・中の瀬のようす)。

楽寿園の小浜池

「はやの瀬」の湧水

「中の瀬」の水草


2). もうすこし湧き水をぼんやり眺めていたいのだけれども、「御殿場高原 時之栖」にて、無料のコンサートが開かれる、との情報をKenさんのブログで教えてもらったので、こんどはそちらへ移動。無料のシャトルバスが三島駅北口から出ているので便利。

 「時之栖」ってはじめて行くところだったけれども、ホテルなど宿泊施設にテニスコートにプールにサッカー場、そして地元では有名な(?)「御殿場高原ビール」などのレストランもいろいろある複合施設(神山小学校のすぐうしろにあったとは知らなかった。帰りのバスからは富士山の雄大なシルエットがくっきりと見えて美しかった↓)。そこにある「桜の礼拝堂」という場所で、バロックフルート、つまりフラウト・トラヴェルソの演奏会が開かれました。演奏者はドイツのオケでも活躍されているという小川隆氏(Sp)と、吉田哲雄氏、田澤尚方氏(ともにAlt)の三名。内容は無料のコンサートとは思えないくらい濃くて、テレマンのソナタやファンタジー、バッハの無伴奏フルートのためのパルティータ(BWV.1013)や、19世紀のヨハネス & フランソワ・ドンジョン(兄弟なのか父子なのか不明、オペラ座でフルートを吹いていた人らしい)という人の練習曲からの抜粋、福島和夫が1962年に作曲した「フルートソロのための 宴」といった現代曲まで、じつに幅広い選曲。

 フラウト・トラヴェルソ、「横吹きの(traverso)」笛とわざわざ断っているのは、もちろん当時は縦笛つまりリコーダーと区別するため。でもバロックフルートって演奏するのはむつかしいらしい。キーもなにもないから、音程維持がたいへんらしいです。でもその音色はいかにも侘び・寂び好きな日本人の気質と相性がいいみたい。ドンジョンと福島氏の独奏曲は現代のキンキンキラキラのフルートで演奏されたけれども、バロック時代の木でできたフルートはしっとりとしてやわらかく会場を包みこむような音色が特徴。会場は礼拝堂、と言いながらじつは多目的ホールみたいなところでしたが(飾りパイプのみ立っている電子式チャーチオルガンはあった)、残響がわりと長くて、フラウト・トラヴェルソの演奏にはまさにぴったりでした。あれくらいちんまりした会場ならば、クラヴィコードのリサイタルとかもいけるかも。テレマンの作品はどれもお初に聴くものばかりで新鮮でしたし、バッハのパルティータも力のはいったすばらしい演奏でした。ちなみに演奏者の方に訊いてみたら、フラウト・トラヴェルソのピッチはA=415hzでした。

 …精神的にはすばらしい演奏を聴いておなかいっぱい、といった感じでしたが、せっかく来たのだから「御殿場高原ビール」にて地ビール…ではなくて、薪窯で焼いた本格的ナポリピッツァをいただく。…顔よりでかいあつあつのピッツァは生地もトマトソースもモッツァレラもとても美味。ビールは缶入りのやつを買いまして、あとで飲もうと思います(笑)。とにかくフラウト・トラヴェルソによるコンサートというのははじめて聴きに行ってひじょうに新鮮でしたし、小浜池の湧水とともに、リフレッシュできてよかった。たまにはこういうのもありかな(そういえばちょうどおなじころ、大橋のぞみちゃんと北海道犬のカイくんが沼津市内で映画のロケの撮影をしていたんだそうな。御殿場は夕方、とても涼しかったが帰ってきて平地のムシ暑さにぐったり。映画の撮影も暑くてたいへんだなあ)。

御殿場・夏富士のシルエット


この記事へのコメント
ごぶさたなところへ、お運び頂きありがとうございます!

演奏者のかたは本場叩き上げで音楽をなさってこられたスペシャリストでいらっしゃるので、とても拝聴したかった演奏会でした。

・・・聴いて頂くにふさわしい方にお聴き頂けたので、幸いと致します。

重ねて御礼申し上げます。
Posted by ken at 2010年08月29日 20:58
Kenさん

クセナキスの情報とあわせて、コメントありがとうございます。あの高橋悠治氏も直弟子なんですね! 知りませんでした。

御殿場の演奏会ですが、会場が小さかった、というのもありますが、とにかくフラウト・トラヴェルソをこんなに間近で聴くことができまして、満足しております。行った甲斐がありました。みなさんいずれも熱演でしたよ! 共演者の田澤さんという方は、話し方とか仕草とかちょっとおもしろい方だと思いました。こんどはぜひチェンバロとかもいっしょに! 聴きたいものだと思いました。とにかくKenさんには感謝、感謝です。ありがとうございました(いま、日曜深夜恒例のBBC Radio3の'Choral Evensong' を聴いています)。
Posted by Curragh at 2010年08月30日 00:55
はじめまして、こんにちは^^
また覗かせていただきますね。
Posted by 心奏 at 2010年09月07日 15:44
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古楽器によるフルート演奏会 :御殿場にて、8月28日
Excerpt: 大宮光陵高等学校管弦楽団第24回定期演奏会は8月28日(土)です。横山幸雄さんと
Weblog: すなおにクラシック
Tracked: 2010-08-29 22:10