2007年05月21日

AmazonがDRMなし楽曲ストアを開設

 先週、目にとまったNYTimes 記事三題。

1). こちらの記事を見てちょっとびっくり。Amazonが、iTunesのような楽曲ダウンロード販売ストアを年内にはじめるというニュース。ここで重要な点は、デジタル著作権管理機能(DRM)、ようするに「コピー防止保護機能」なしで提供するという点です。

 せんだって音楽ダウンロード販売サイトの火付け役Apple社のスティーヴ・ジョブズが「音楽ファイルのDRM撤廃論(→'Thoughts on music')」を公開書簡というかたちで突きつけて音楽業界を騒然とさせたばかり(とはいえ最初にこのような「規制」にたいして懐疑的だったのは、Apple のFairPlay 解除コードを自社製品に搭載したことでAppleとごたごたになったReal Networks 社長のジョブズ宛てメールだったと思うが、ジョブズはこのやり方では煩雑になるとしてライセンス制についてはいまだ拒否。合法的に買った音楽に規制をかけていることが脱法にあたるかどうかについては欧州各国で問題になり、ノルウェイ議会はApple にたいして10月まで改善するよう求めてもいる)。

 アルバムの売り手であるレコード産業側からすれば、「自分たちに責任転嫁しているだけ」と言えなくはないけれど、ここは勢いに乗っている感ありのジョブズの主張のほうが一枚上手のような気がします。たしかにわれわれ一般の音楽ファンにとってみれば、DRMとかないほうがいいに決まっていますし。

 そんななか、ジョブズと手を組むということなのか、EMI が先月2日にiTunes Store で販売する楽曲からDRMを撤廃すると発表。またUniversal Music も「DRMフリー」楽曲販売についてGoogle と協議したとか(Universal側は公式には認めてはいないけれども)。こうなるとほかのメジャーレーベルはやはり旗色が悪くなるでしょうね。

 そうは言っても自分はたぶんこの手のアルバム単位ではない、「一曲一曲、せんべいよろしく切り売り」というダウンロード販売スタイルはなじめないし、買う曲じたいもクラシック系はどうしても長くなるので、いままでどおりCDというかたちになるとは思う。でも――Apple のほうが計算高いことは見え見えだが――ジョブズの言っていることはいちおう納得いくものだし、すくなくともここにきてようやく、CCCD 以来つづいてきた流れは音楽愛好家に利する方向へと風向きが変わってきた、ということは言えるでしょう。

 EMIがDRMを撤廃…なんだか数年前まで、おなじ会社(国内盤の旧東芝EMI)がウィーン少のアルバムまでCCCD で売っていたことを思うとなんかキツネにつままれたような気もしないではない。CCCD と言えば、BAC のベスト盤もそうだった。自分はこのような妙ちきりんな「規格外CD」、いや「CDもどき」を平然と売りつけるレーベル側の傲慢さに腹が立っていたし、げんに某S社のように、悪質なrootkitまで(!)混入させて売り、なにも知らずにWindows マシンに入れてしまったエンドユーザーが大迷惑をこうむった一件も記憶に新しいところです。そこまで一般の音楽愛好家を敵に回せば、売り上げが過去最大規模の低迷…というのもうなづけるお話。そんなときに出現したのがiPod であり、格安で楽曲を提供するiTunes のダウンロード販売サイトでした。いまや空前の大成功をおさめたおかげで、Apple社の業績や株価を好転させたばかりか、音楽業界に発想の転換を迫るまでに力を増しています(いま問題になっているrootkitについてはまた後日)。

 いずれにせよAmazonの試みは、「DRMフリー楽曲」が本格的に定着するかどうかの試金石になることだけは確か。NYTimes 記事の末尾は、音楽業界は生き残りの道として楽曲は無料、広告収入のみで運営できるようなサービスのあり方も考えるべきだとする業界ウォッチャーの大胆な主張を紹介して結んでいます。

2). SNSの元祖みたいに言われるMySpace。こちらの記事によると、なんでも性犯罪者がごまんとlurk しているようで…前科のある利用者をあぶりだすシステムをニューヨークの企業に委託して構築したとか。もともと弁護士から情報提供を求められていたMySpace側が、11年前に制定された「電子通信プライバシー法」に抵触しない範囲で提供に協力すると発表したものですが、弁護士団体ともめているのは「召喚状のあるなし」について。弁護士団体代表は「自分たちの求めているのはサイトに何人、有罪判決を受けた性犯罪者がいるのか」といった召喚状などハナから不要な情報なので、失望したと言っています。日本でも某サイトについていろいろ問題が噴出してきているようですが、SNSもメーリングリストも、この手のサイトにはどんなオオカミがいるかわかりません(自分も以前、たいしてことではなかったが少々痛い目に遭ったことがある)。最近のコンピュータウィルスも悪質で、カード番号が盗まれたりと実害が出てひじょうに困るけれども、常識とよくよくの注意が肝要、ということしかないですね。自衛するしかありません。

3). 最後にこちら。来月、環境問題についてはおそらく世界一やかましいドイツでサミットが開かれるそうですが、へぇ、Web上で動く「炭酸ガス排出量計算機」ですか。いったいどんな仕掛けなのかさっぱりですが、Web発祥の地らしく、「双方向性」とか「瞬時に情報を共有」といったメリットを最大限に活用していますね。

 極論を言えば、日曜の夜に見た某TV番組のように、洞穴住居に住み、電気もガスもない、完全な自給自足生活が理想なんだろうが…'Kyoto Protocol' を批准し、削減目標の実行が来年に迫っている手前、各自できることからはじめるしかないのでしょう。とはいえせめてこういうアイディア、批准さえしていない米国ではなくて日本から出してほしかったとも思います。すくなくともわれわれは欧州の人たちより炭酸ガス排出抑制については――国際会議を開催し、その結果作った議定書を批准しておきながら――あんまり真剣には考えていないですし。もし個人も産業界も真剣に取り組んでいるのなら、風力や太陽といった自然エネルギー発電がもっと増えていいはずですし、むりな場合はべつにして「車はひとり一台」ということもやめるべきだと思いますし。こういう記事を見ますと彼我の意識の差をどうしても感じてしまいますね(環境ついでに自分は某環境保護ロビイスト団体が大嫌い。日本の捕鯨にたいする抗議行動はいつものことだが、すくなくともヨウスコウカワイルカについてはなにもしてはこなかった。鯨類の絶滅は有史以来はじめてだという)。

posted by Curragh at 04:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースから
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