2010年09月27日

Saito Kinen Festivalと…

…いつも切羽詰って記事のごった煮状態になってしまいますね…。

 ひとつ目は「サイトウ・キネン・フェスティバル 松本」を聴いた記者の演奏会評…なんですが、ところどころに指揮者小澤征爾氏に代表される日本のクラシック音楽の将来についても――ややおせっかいな気もするが――言及した記事。これとはべつに小澤氏本人に取材した記事もあります。最近ではたとえば郎朗(ラン・ラン)など、中国勢の活躍著しいものがありますが、日本ではそれよりずっと前から西洋音楽教育が実践されており、記事にもあるとおり西洋音楽にたいする傾倒という点ではかの国よりは長い歴史があります(恥ずかしながら、「スズキメソード」が米国ではひじょうに普及しているということを記事見るまで知らなかった)。半世紀以上もの長きにわたって米国で活躍してきた小澤氏は、米国人にとっては日本人音楽家のいわば代表格と言っていいでしょう(おなじ音楽といっても畑がちがえばまた連想される人もちがってきますが)。欧米の基準からすると松本のこの世界的にも有名な音楽祭はややちんまりしていて、記者氏が音楽祭のはじまった週に聴けたのは急遽代役として登場した下野竜也氏によるいくつかのオケ公演と、「ヘンゼルとグレーテル」からの抜粋公演のみだったらしいですが、総じて高評価。とりわけ「小澤征爾音楽塾」の若い演奏家たちがすばらしかったといいます。とはいえ音楽祭から委嘱されたという権代敦彦氏のDecathexisというのは、また難解な曲名ですね(汗)…。「カテクシス」っていう清新状態とは反対の状態を言う精神分析用語らしいですが、いったいどんな作品なんでしょうかね…。将来を嘱望される若い演奏家については、

And the uniform excellence of the youth orchestra gave further promise of a brighter future for Japanese orchestral excellence across the board.

と書いてはいますが、小澤氏ほどの大物の出現についてはメジャーレーベルの上級副社長氏の意見を引き合いに出し、

“There’s nobody that has his profile yet,” said Costa Pilavachi, the senior vice president for classical artists and repertory of Universal Classics and an artistic adviser to Mr. Ozawa. “But a lot have a following in Japan who are just not known outside Japan.”
Certainly Mr. Shimono made great strides last week in his most significant engagement to date, though so far he lacks the dynamism and charisma that Mr. Ozawa had even as a raw youth.

とか書いてあります。もっとも小澤氏のような人物は、例外的ではないかとも思うが…。みんながみんなun-Japanese relish な持ち主というわけにはいかないしね。ひるがえって当の西洋では自分たちの音楽を、とは言わないまでも音楽教育をないがしろにしている現状では、中国や日本といった東アジアの音楽家の存在なしでは西洋音楽そのものが危ういのではないか、という危機感(?)をもって結んでいますが…そんなに向こうってお寒い現状なのかな? お寒いのはこちらでもおんなじような気がしますけれどもね。ちなみに記事中、「チャロ 2」の今月のテキストにも載っていた、'in more ways than one' というフレーズも出てきます、あんまり関係ないですが(Yet the heart of the festival, in more ways than one, is the Saito Kinen Orchestra.)。

 …ここからまた雑談。先日、地元紙に論評記事を連載している経済学者先生がいるのですが、この先生はことあるごとにNYT記事を引用して、たまにはForeign Affairs Report とかも引いてくれればいいのにとか思ったりする。それはそうと、もうひとりの有名な小沢氏について書かれた12日付けの記事というのを紹介してました。以下引用すると、

 9月12日付NYタイムズ紙は「小沢氏の政治力こそ日本が必要とするものか」の署名入りの論評を出した。…然しながらネット上の人気投票では小沢氏が逆に4対1でリードしている。つまり代表選は接戦でその勝敗は最後まで見通しがつかない。「だが人気だけで首相を選んできた日本の政治に剛腕で未知の力をとり入れる必要があるのではないか」、と結んでいる。

というのは、この記事のことなんだろうか…。で、当の記事の結びを見ますと

Ultimately, political experts say, the biggest concern about Mr. Ozawa is that he keeps his cards so close to his chest that it is not clear what he really stands for, beyond broad pledges of political change. This leads some to worry that if he does become prime minister, he will just end up remaking the Democrats in the image of a traditional, Liberal Democrat-style political machine.

“He will go down in history as the hero who destroyed the L.D.P.,” said Jiro Yamaguchi, a professor of politics at Hokkaido University who has worked with Mr. Ozawa. “But will he just try to replace it with new one-party rule by the Democratic Party?”

??? …いったいどこにそんな文言が書かれてあるのだろうか…「ネット上の人気投票」の箇所は、

Public opinion appears split, perhaps along generational lines. Recent polls in major newspapers show that voters support Mr. Kan by a ratio of four to one, but online questionnaires at news sites, which may reach younger people, show Mr. Ozawa ahead by the same ratio.

ちなみにNY大学名誉教授を務めるこの先生、昨年暮れに亡くなったポール・サミュエルソン教授の親しい友人でもあったらしい(そう書いていた)。そしてquestionnaires も人気投票というより、ふつうにネット上のアンケート調査だと思う。大新聞の世論調査とネット上の調査で差が出たのは、世代間のミゾによるところがあるのではないか、と言っている。個人的には、一般市民と赤絨毯の住人とのあいだとの意識のズレのほうがよっぽどmatter of concern, something grave だと思うぞ。国内ではむしろこっちの社説のほうが有名になった感ありですが、結びの'Revolving-door leaders with constantly shifting agendas are not in Japan’s interest ― or the rest of the world’s.' というのは、まったくそのとおりですな。

 脱線ついでに、いまさっき地元紙夕刊にて見つけたこちらの話題も。なに、マニ教の絵図がなんとなんと日本国内にあったって?! 記事によると、あのマルコ・ポーロも『東方見聞録』で「少し変わったキリスト教徒」の存在を確認しているですって! 福建省にはマニ教の寺院跡まで残っているんだそうな。ということはこの古代宗教、太平洋近くまで東進していたことになる。かの地ではこの「変わった」宗教が細々とではあるけれども14世紀くらいまで生き延びていたことになりますね。とにかく二重三重にびっくりしたニュースでした。

posted by Curragh at 21:58| Comment(0) | TrackBack(0) | Articles from NYTimes
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