ただしこれ作曲者本人の自筆譜ではなくて、同時代人による筆写譜とのこと。スコットランドに渡った理由ははっきりしないけれども、第3代ロージアン侯爵の子息ロバート・カー卿の所有品だったものらしい。カー卿自身、すぐれた音楽家でフルート吹きでもあった。で、この人が1730年代、というから作曲者ヴィヴァルディもまだ生きていてバッハも大オルガニストとしての令名を馳せていたころ、大陸に教養旅行(Grand Tour、いまふうに言えば留学)に出向いたさいに手に入れた楽譜みたいです。本国に持ち帰ったあとは、何度か演奏していたんでしょうね。発見したのはサウサンプトン大学研究員のアンドリュー・ウーリー氏。発見者曰く、「現存しないと思われていたこの作品の存在を目のあたりにするとはまったく思いもよらなかったし、とにかく大興奮ですよ」。考古学者も似たようなこと言ったりしますが、今回のような楽しい発見もたまにはあるから、こういう仕事ってやめられませんよね。画像に写っているのは、フルートパートの冒頭部だろうか。ニ短調の楽曲みたいだ。「大ムガール」という曲名みたいだから、曲想はインド風?? いまだ見つかっていない残り3つについてもフランス・スペイン・イングランドを連想させる曲名がついているので、ひょっとしてこれヴィヴァルディ版「諸国の人々 協奏曲」だったんかな??? そのへんのことはよくわからないけれども(「諸国の人々 Les Nations」というのは、F. クープラン作曲の組曲名)…。
筆写譜は第二ヴァイオリンのパートが欠けているので、この作品をもとに改訂したと言われているべつのフルート協奏曲のパート譜をもとに発見者ウーリー氏が演奏可能な状態に復元したという。じっさいに聴いてみた人の感想では、
'Listening to a recording of it, I would say it is certainly an important addition to the Baroque flute repertoire.'
ますます全曲とおして聴いてみたくなりますね! もっともわりとちんまりした作品みたいですが…バッハもこんな発見、またないかな? ちなみにflautist というのは英国綴り。ついでにharbour, marvellous, manoeuvre, centre というのも英国綴り。「抱き字(æ, œ)」もけっこう好きだったりする。
…ヴィヴァルディついでに先週の「ベスト・オヴ・クラシック」は恒例の「欧州古楽週間」。バッハの「オルガン協奏曲(BWV.595)」とかもかかったけれども、月曜の放送ではヴィヴァルディの声楽・器楽もかかりましたね。また水曜日にかかったパーセルの「グラウンド上の3つのパート」って、まるでパッヘルベルの有名な「カノン」にバス旋律がそっくり(知っていたのかな…)! マウリツィオ・カッツァーティとかジョヴァンニ・フェリーチェ・サンチェスとか、まるで聞いたことすらない作曲家の作品も盛りだくさん! 木曜と金曜にはテレマン・大バッハの作品もかかりました。「ふたつのバイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV.1043」の緩徐楽章、あれ好きなんだよねー。
…っていまは帰ってきた「浜松アーカイヴス三昧!」、聴いてます(笑)。いまさっきかかってたウィーン少のシュトラウス「ウィーンの森の物語」って、いったいいつの時代の音源だろうか…そうとうな年代物みたいですね。そうそう、リスナーの方がいいことおっしゃってます! いまのデジタルオーディオプレイヤーって、数十時間分の楽曲がすっぽり収まってしまうから「ながら聴き」になり、真剣に聴くことがなくなってしまった、と。まったく同感! この前ここに書いた、NYTのコラムと基本的にはおんなじことを指摘していますね。不便だった時代のほうが音楽を真剣に聴いていたのかもしれない。
(内容とは関係のないおまけ):いましがたアクセス解析見たら、カウンターがぞろ目でした。今日も2010年10月10日で10が三つ並ぶ日ですね。
