2010年11月28日

世界最年少のオルガンビルダー!! 

 先日、なにげなく見た「カラフル!」という番組。EBU制作の国際共同企画ものらしくて、たしかいつだったかインラインスケートに打ちこむアイルランドの少年とか見た覚えがありますが、今回は心底、おどろいた。なんとなんと12歳にしてほぼひとりで楽器の王様、オルガンを造ってしまおうというのだから!! 

 主人公は、スロヴェニア共和国のスキーリゾート地としても有名らしいブレッドという美しい町に住むアンドラーシュ・リスティッチ(Andraž Ristič)という名前の12歳の少年。地元の音楽学校にてオルガンを習っているらしくて、なんでまたひとりでオルガンを組み立てようと思ったかというと、オルガン科の生徒が10人にならないと本物の楽器を買ってもらえないからという。いまのところは彼もいれてふたりだけで、練習用のオルガンは買ってもらえそうにない(ようするに人気がない。以前は学校の友だちにオルガンを熱く語っていたアンドラーシュ少年でしたが、ほとんどの生徒はクラシックよりもポップ系が好きなので、いまはもうオルガン話はしないとか。まァたしかにそうだろうねぇ…)。電子式の、いわゆるチャーチオルガンの音なんて本物にはとうていかなわない。ならば自分で造ってしまおう! というわけで、じつはこの番組に収録される以前にも自力でオルガンを製作しようとして失敗しているらしい。今回はなんとしても音楽学校に通うほかの生徒にもオルガンという楽器の魅力を伝えたいという強い思いがあり、4か月後のお披露目の期日までなんとか完成させたというからすごすぎる。きのうは奈良在住のアマチュアオルガン製作家のことをすこしばかし書いたけれども、「ほぼ独力で小型オルガンを完成させた」世界最年少記録なんではないかしら??? まじめな話、これGuinness World Records に記録申請したほうがいいですよ(→関連画像のページ)! 

 英国の多くの少年聖歌隊員がそうであるように、このアンドラーシュくんもまたオルガンという楽器の虜になってしまったらしい。とはいえ金属のパイプなんか、いったいどうやってこさえたんだろうか…いちおうプロのオルガンビルダーから作り方の指南を受けていたようだけど。アンドラーシュくんの「作品 1」の楽器の金属パイプはすべてオルガンのもっとも基本的なストップ列である「プリンシパル」管。いわゆる「リード管」はなし。そして本人も語っていたように、もっとも製作に手こずったのは金属管ではなくて木のパイプだったそうです。「最初、音が出なくてあせった」とか言っていたけれども、原因は「長すぎた」せい。そうそう、オルガンのパイプって、たとえば手で弾く鍵盤の最低音のド(C)の音を出す金属管は8フィートの長さがあり、よってこの「8フィート」を基準にしてオクターヴ上が半分の4フィート管に、そのまたオクターヴ上(つまり「基音」からは2オクターヴ上)のドは2フィート、というふうに自然倍音列にもとづいて決まってくる。ところが木製の音管はこうはいかなくて、8フィート管の出す最低音ドとおなじ音高を出すには半分の長さの4フィートでじゅうぶんなのです…彼は実践をもってそのことに気づいたというわけ。これだけでもすごいんですが、木工用ドリルの扱いとか定規を当てて線を引くさまとか、紙やすりをかけたり「歌口」を削り、整音作業をしたりとその手つきのまた手慣れたこと! なんて器用な子なんだろう(→たいへん不器用な大人 orz)!! しかもスロヴェニア最大級のコンサートオルガンを弾かせてもらった、なんてシーンもあったのですが、「トッカータとフーガ BWV.565」の前半部分をじつに達者に弾きこなしている(やっぱりみんなこの曲、好きなんだねぇ)。「天は二物を与えず」なんて言うけれど、この子には当てはまらないみたい。おまけに作曲までこなすし。ええっとなになに、「天上の歌」だって?! ほう、三連符のゼクエンツですか! 番組冒頭に出てきた古い教会のオルガンでじつに気持よさそうに弾いていたけれども、これいいなあ、自分も楽譜があったらぜひ練習してみたい(足で弾くパートはたぶんムリだが)。

 そして自家製オルガンはみごと完成!! Congratulations! 楽器の構造はいたってシンプルで、オクターヴのプリンシパル列に、後方には彼が苦心惨憺、組み立てた木のパイプ(おそらくゲダクト管)。それらが開閉弁を介してプラスチックチューブにつながり、送風機から送られた風がここを通って各パイプ列を鳴らす。鍵盤とはみごとなトラッカーアクションで連結されています。プリンシパルとゲダクトがあるということは、ストップで切り替えているはずで、おそらく風箱はスライダーチェスト構造になっているんではないかと思う。オルガンという楽器の基本構造を知るにはまさにうってつけ。Bravo! としか言いようがないです。でもひとつ注文をつけるとすれば、ガーガーやかましい送風機(?、なんのブロワーを流用したのかは不明)よりも、「ふいご」のほうがよかったように思う。この手の楽器なら子どもひとりでもじゅうぶん風を送ることはできるし、そのほうがもっと楽しいんじゃないかな。

 …ちなみに検索してみたらいろいろ出てきました。スロヴェニア語がさっぱりなんでよくわからないが(スロヴェニア語でオルガンはorgleって言うのか)、これはおそらく通学している音楽学校のサイトなのだろう。番組の収録はどうも昨年暮れのようなので、いまは13歳くらいなのかな。↓は、予告編。


 …個人的に気になっているのは、アンドラーシュ少年がブレッド湖に浮かぶ小島のちいさな教会に、オルガンが完成するように「願かけ」しに行く場面で流れていた静かなオルガン曲。これどっかで聴いたことがある…けれどもどうしても思い出せない。バッハのオルガンコラールのようにも聴こえるが…ちがうかも? 

posted by Curragh at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽関連
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