2010年12月12日

「この日こそ喜びあふれ BWV. 605 」

1). 待降節第三日曜日のお題は、NHK-FM の「 N響定演ライヴ」で時たまかかる、バッハのオルガン曲について[ 注:ネタがないわけではありません。考えがまとまってないだけです ]。その前に先週の「バロックの森」は、バッハの「クリスマス・オラトリオ BWV. 248 」を中心に、プレトリウスとかリューベック、ベームらのあまり聴くことはない声楽作品やコラール パルティータがかかりましてよかったです! バッハの「天から下って( 高き天よりわれは来たりぬ ) BWV. 769 」のカノン風変奏曲もレオンハルトのオルガンでかかってましたね。

 先日紹介したスロヴェニアの少年オルガンビルダーの美しい物語でかかっていたオルガン曲についてはいまだ思い出せず … ではありますが、N響定演の公演終了後、過去の録音とかがかかるほんの数十秒間にバッハのオルガン曲がかかったりします。あれはバッハがヴァイマール宮廷に勤めていた 1713 年ごろに作曲がはじまったとされている有名な「オルガン小曲集」からの一曲で、「この日こそ喜びあふれ BWV. 605 」。この曲集、かつてシュヴァイツァー博士をして「音楽史上、最大の出来事のひとつ」とまで言わしめたことでも知られていますが、作曲者自身による「序文」のとおり、「オルガンコラールの作曲および演奏技法の要諦を、初歩のオルガニストに伝授する」みたいな方針で編まれた一連のオルガンコラール前奏曲集です。聴いてみればわかるように収録されたオルガンコラールはいずれも小粒で、せいぜい「おお人よ、汝の大いなる罪を嘆け BWV. 622 」の 4分弱が最長の作品。でも山椒は小粒でも…じゃないけれど、これがまたすごいんですね。コラールの原歌詞をどう音楽化すべきか、というさまざまなお手本集みたいなおもむきがある。とくにベースライン。これはもちろん「初歩のオルガン弾き」にたいして足鍵盤技巧を収得させるという考慮も働いてはいるものの、原歌詞という丸太からバッハが音楽をどう彫琢したかがはっきりと示されたりしています(とくに「アダムの堕落によりすべては朽ち果てぬ BWV. 637 」における下降減7度の跳躍音程とか)。内声の動きも、コラールの内容から直接、紡がれたりする。ようするにすべての音型は簡素なコラールの定旋律もしくは原歌詞由来のものがほとんどといっていい。一曲一曲はささやかながら、コラール歌詞をとことん掘り下げ、原歌詞のもつ深い精神性がそのまま音楽化されたような曲集です。おんなじことの繰り返しになるけれど、ヴァルヒャの LPレコード (!) で「おお人よ、汝の…」をはじめて聴いたときの、ことばでは言い表せないほどの深い感動はいまも忘れられない。当初バッハは教会暦で歌われるすべてのコラールに曲をつけるつもりだったようですが、どういうわけか 45 曲まで書いたところで放棄してしまった ( 92葉の楽譜帳に書きつけられている )。

 話もどりまして、おあつらえ向きに (?)、「この日こそ喜びあふれ」はちょうどいま時期、クリスマス用のコラール編曲です。「この日こそ喜びあふれ / すべての被造物に / 神の御子は天より / 超自然の法によりて / 乙女より生まれ給う。/ マリア、汝は選ばれし給う / 母となるべく。/ いかなる不思議が起こりしか ? / 神の御子は天より/人として生まれ給う」( 原歌詞は 1529年のラテン語賛歌の独語訳から )。ソプラノに提示されるコラール定旋律のすぐ下で小気味よくスイングしている内声部の音型は、「揺りかご」の動きを描写している … らしい。幼子イエスは、ここではあやされているですな。この曲を耳にするたびに、伝統的な créche を思い出します。

2). 先日7日はジョン・レノンの命日…でしたが、いまさっきオノ・ヨーコさんが NYT に寄稿したこんな回想を見て、おどろきました … 。それは夫妻にとって最後の年になってしまったある夜、ティーバッグの紅茶を注いだときの思い出を綴った文章。当時、夫妻は 3匹の猫を飼っていたんだそうですが、そのうちの雑種の一匹の名前にほんとうにびっくりした。↓

Sasha is all white, Micha is all black. They are both gorgeous, classy Persian cats. Charo, on the other hand, is a mutt. John used to have a special love for Charo. “You’ve got a funny face, Charo!” he would say, and pat her.

えッなんですと、Charoだって ?! 作者のわかぎゑふさんは、まさかチャロの名前をここから採ったのか … ??? 

posted by Curragh at 20:45| Comment(0) | TrackBack(0) | バッハのオルガン作品
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