2010年12月18日

なんか「ハレルヤコーラス」に似ているな

 今週の「バロックの森」はロンドン時代のヘンデル特集。「ユトレヒト・テ・デウム」とかかかったいたけれども、どちらかというと歌劇中心。ヘンデルは1730年代まではさかんにイタリア歌劇やオラトリオを上演していたけれども、聴衆の熱が冷めたと見るや、すぐさま当地の自国語すなわち「英語」での歌劇やオラトリオを作曲するようになった…らしい。そのころバッハはライプツィッヒのトーマス教会のカントルの激務をこなしつつ、自作の出版もおこなっていた。でもたとえば「作品 1 」の「クラヴィーア練習曲集 第一巻」の「6つのパルティータ BWV.825-30 」なんかは素人音楽愛好家にはとてもじやないけど弾きこなせるような代物ではなかったから、けっきょく売れ残ってのちに原版は破棄されたんだとか。聴き手の需要というかニーズを的確につかむということでは、ロンドンで活躍していたヘンデルのほうがはるかに上を行っていたように思う…ようするにバッハには商才はあんまりなかった、ということです。もっとも同僚とか職業音楽家の受けはよかったんですけれども、それではとても商売にはならない … 。

 ところでけさ聴いたオラトリオ「マカベウスのユダ HWV.63 」前半でもっとも有名な曲、とくると、'See the conquering hero comes'、「見よ、勇者は帰る」でしょう。日本では表彰式につきものみたいな感ありですが、欧米では賛美歌の 'Thine is the glory' としてクリスマス時期に歌われたりする。で、そのあとの合唱曲を寝ながらしばし聴いていたら、あれれこれなにかに似ているぞ … 節まわしというかメロディーラインがどことなく「ハレルヤコーラス」と似ているではないですか。ま、おんなじ作曲者なので、似ている作品があったとしてもちっともおかしくはないんですが … 。

 また木曜夜の「ベスト・オヴ・クラシック」で聴いた「プラハの春音楽祭 2010 」は、マレイ・ペライヤの指揮とピアノという贅沢なプログラム(オケはアカデミー室内管弦楽団)。モーツァルトの「ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 K.491 」の弾き振りもすばらしかったけれども、バッハの「チェンバロ協奏曲 第7番 ト短調 BWV.1058 」がなんといっても印象的でした。原曲はヴァイオリン協奏曲だったようで、このへん弦楽器 → 鍵盤楽器への書法の転換とかも興味あるところ。ピアノで弾いてもすごくしっくりくるので、以前バッハ研究者の小林義武先生の著書にも書いてあったように、ひょっとしたらバッハははじめから「フォルテピアノ」を想定していたのかもしれない(可能性ゼロとは言い切れない)。弦楽器 → 鍵盤楽器ということについては、「トッカータとフーガ BWV.565 」ももとはヴァイオリン用に書かれていたとする説があり、バッハにとっては楽器の方向性なんかはどうでもよくて、そのつどの都合に応じてきわめて柔軟に編曲もしくは「転用 ( パロディ ) 」するのがごく当たり前の発想だったんだろうと思う。たとえばこの前武久先生のリサイタルで聴いた「ヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのためのソナタ 第6番 BWV.1019 」だって、チェンバロ主体・ヴァイオリン主体とふたとおりのヴァージョンが残っていて、当日演奏されたのはチェンバロ主体版のほう。なので「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ」と言いながら、じつはチェンバロが主役だったりする ( 長々としたチェンバロ独奏パートがある ) 。武久先生によれば、もうひとつの版はバッハ自身がヴァイオリンを演奏するための版だったろうという。

 …話はちがいますが、この前聴いた「気まクラ」の山梨県北杜市公開録音。ゲストの野平一郎氏 ( 静岡音楽館 AOI の芸術監督 ) に笑瓶さんが、「指の調子はどうですか? 」と訊いていた。野平先生は「指の調子は毎日ちがうけれども、今日はいいと思います! 」とこたえてました。…むむむカッコいい!! ワタシもそんなふうに一度でいいから言ってみたいものだ ( 笑 ) 。「指の調子はどうですか? 」。「いいと思いますッ! 」。

 …来週は「フランスのクリスマス音楽」、「ノートルダム楽派」のレオナン師にその後継者ペロタン師、シャルパンティエにダカンの「新ノエル集」ですか! これはおもしろそうだ。ひまなときはクリスマス音楽の CD を集中的に聴いているけれども、いまお気に入りなのは 2,3 年前に買った ( たぶん銀座の山野楽器で ) ハノーファー少年合唱団の歌う「ドイツのクリスマス」というアルバム ( 2000年12月、ハノーファーのマルクト教会にて収録。ちなみにハノーファー選帝侯ゲオルク1世が、のちの英国王ジョージ1世 ) 。これけっこう楽しいです! 独語だからよくわからいけれどもナレーションとかも入っている「クリスマス物語」みたいな作品 ( Alfred Koerppen という現代作曲家の作品らしい ) 。これを聴きながら寝るのが至福(?)のときかな。

posted by Curragh at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | NHK-FM
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