2011年01月09日

ミクロ点描画法?! 

1). 2011年最初のお題は、こちらの番組から。途中から見たのですが、いやもうびっくり!! あの「モナ・リザ」、いったいどうやって描いたのか、については長いあいだほんとうのところはだれにもわからなかった。それをついに突き止めた人がいるという! その人はじっさいに自身が「解明した」技法を使って、まずは「聖アンナと聖母子」の聖アンナの顔のみを描いたものをルーヴルの学芸員に見せたら、相手は一瞬、絶句したという。それほどまでに「再現画」と「本物」はうりふたつだったということです。

 レオナルドのもちいた技法を「再発見」したと主張しているのは美術史家のジャック・フランク氏という人。この人のすごいところは、自説を裏づけるためにレオナルドの傑作を自分で描いてしまおうとしていること。番組では、リザ婦人(黒ヴェール黒装束の喪服姿というのも異様といえば異様ではあるけれど)の左眼部分の再現のようすを映し出していたが、もう文字どおりTVに釘付け。最近のTV番組はどれも内容が陳腐でつまらなくて、TV受像機(いまどきこんな言い方はしないか)のみならず内容までもが薄くなっていると思ってはいたけれども、すくなくともNHK教育は昔から好きだし、たまにはこういう「蒙を啓く」たぐいの番組だってまだある。いざとなればラジオだけでもいいかなとは思うけれども、美術ものとか自然もの、そして大好きな音楽の公演ものとかは、NHK教育のようなチャンネルで放映してもらったほうがいい。でもたいてい、自分が見たい番組って「地上波」ではないんですよね(苦笑)。

 フランク氏の発見したレオナルドの技法とは、「ミクロ点描画法」だという。おおざっぱに言うとまずポプラ板に不均一に下塗りを施したあと、カーボン紙を当てて左眼の輪郭を描く。転写された輪郭の上に薄い褐色系の色を下塗りし、指でにじませてから、細筆で細かく輪郭を描き入れたのち、1週間乾燥させる。乾燥したらこんどは極細の筆の穂先でさまざまな色合いの点々を入れて輪郭線をつぶしてゆく。虫眼鏡を覗きこみながらのじつにpainstaking, backbreaking なしんどい作業がえんえんとつづきます。… フランク氏はこの「ミクロ点描画法」を15年以上も前から教えてきたんだそうですが、生徒はみんなメゲてだれひとりとしてつづかなかったという。むりもない、と思う。あんな細かすぎる作業、なみの忍耐力しか持ちあわせていないふつうの人にはとてもできっこないです。できあがった左眼部分、本物とくらべてみても遜色ない出来栄え!! もっともまだまだ「未完成」だという。なるほどだからレオナルドはいつまでたっても「これは未完成です」と言っては最後まで手放さなかったんだな(もっとも手放さなかった理由はこれだけではなかったようですが)。

 それにしてもあの有名な肖像画、よく言われる「スフマート」技法だけではなかったんですね。指の跡さえ残らないようにするためには、さらにもうひと工夫があった、ということなのか。「受胎告知」を見に行ったとき、やはり同様の「最後の晩餐」再現シーンのモノクロ映像を見たことがあり、俳優ジョヴァンニ・ミコリ氏のこの試みもおもしろいとは思うけれども、衝撃度という点ではこっちのほうがはるかに上なのであった。

2). 途中から見た、というのは、こっちの裏番組を見ていたため。ウルトラマンねぇ … 45年だって。そういえば「ミラーマン」なんてのもあったような … 大晦日に親戚一家が訪ねてきてくれたとき、年中さんの男の子が某コンビニチェーンで配っているらしい仮面ライダーのスタンプラリーカードを握り締めていたっけ。仮面ライダー … も負けずに古いよな。自分が幼稚園児だった当時、ウルトラマンも仮面ライダーもすでに存在していたし(笑)。

3). 今年の「NHKナゴヤ ニューイヤーコンサート」、バッハの「組曲第3番 BWV.1068」とかも演奏されてましてとてもよかった。オルガンは今年も吉田文さんで、弾いていたのはカークエーレルトの「かわいいワルツ」というはじめて耳にする作品。題名どおり軽やかで肩のこらない感じの曲でした。演奏者が第1手鍵盤で弾いていたとき、鉄琴みたいな音も聴こえていたから、ここの楽器にはグロッケンシュピールのストップも備わっているんだろうか(おなじ製作者によるNHKホールの大オルガンにはそのストップがある)。

posted by Curragh at 19:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術・写真関連
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