2007年06月26日

オルガン伴奏のみの演奏もいい

 今宵の「ベスト・オヴ・クラシック」。昨年暮れにオペラシティで行われた、スウェーデン放送合唱団の来日公演から。ひさしぶりに声楽尽くし、しかも――折りよく? depressing というか気分がおおいにへこむ出来事に巻きこまれたばかりなので――フォーレとモーツァルトのいわゆる「二大レクイエム」というなんともうってつけな組み合わせ。それとアンコールの「アウェ・ヴェルム・コルプス K.618」。

 うちにも忘れたころになって――今日もそう――東京オペラシティ財団から主催公演のお知らせDMなんかが来たりしますが、このスウェーデン放送合唱団公演…は来たんだろうか? …しかも伴奏がオルガンのみ! …フォーレの作品ではそんな版をときおり聴いたりするけれど、モーツァルトではかなり珍しいかも。

 スウェーデン放送合唱団はだれもが認める世界最高水準の合唱団。それでもせいぜい30数人くらいで構成されているから、わりとちんまりしています。それゆえポリフォニックな作品ではひとつひとつの旋律線、歌詞がはっきりと聴き取れます。

 弦楽合奏とかとあわせる場合、たいていは舞台上に小型タンスみたいな箱の上に譜面台をのっけたポジティフオルガンを使いますが、録音を聴いたかぎりではどうもホールの大オルガンをそのまま使っているらしい。「アニュス・デイ」でははっきりと低音のリード管が朗々と響いていたし。移動式ポジティフオルガンではリード管というのはちょっと考えにくい。たいていが柔らかな響きのフルーパイプ構成なので(木管のゲダクト/ズプバスが箱の外に林立している場合もあります)。

 さすがに一流の合唱団だけあって安心して聴けます。感情表現も過剰に走らず、いい意味で中庸な演奏だったかな。オルガンのレジストレーションも音量・音色ともにさほど大胆な変化はなくて、わりと落ち着いたスタイルでした。

 後半の「モツレク」ですが、気持ち速めのテンポで淡々と進行。使用した版はジュスマイア版。それをフォッケという人の編曲による編成で演奏していました。フォーレのほうと劣らず、こちらも全編オルガンのみの伴奏というのもいいもんだ。死者を想う気持ち、厳かで静謐な祈りの感情を聴き手の心に訴えかけるという点ではやっぱりオルガン伴奏がふさわしい。もっとも自分が好きな楽器、というのはどうしてもbiased と言うか贔屓目で見てしまうのでかならずしもよいこととは言えないが…。

 先週の「バロックの森」。金曜日にはカール・リヒターのオルガン独奏によるバッハ「幻想曲とフーガ BWV.542」。たしかこれもっていた…ような気がするけれど(最近ちっとも聴いてない)…こっちもひさしぶりに耳にしたせいか、とくにフーガのテンポが異様に遅い! と感じました。逆にいまの「歴史的奏法」では少々せかせかと速すぎる嫌いがある。歯切れのいい、キビキビした演奏…もいいけれど、ときにはややロマン派風な、古風なリヒターのような演奏スタイルもいいかな…とも思ったしだい。

 オルガン…と言えば、土曜夜の「FMシアター」でも教会のオルガンが登場ししまて、シューベルトの「アヴェ・マリア」がオルガン独奏版で流れてました。お話じたいもとてもよくて、またしても涙腺が緩んでしまった。

posted by Curragh at 01:49| Comment(3) | TrackBack(0) | NHK-FM
この記事へのコメント
オルガン伴奏のみのモツレクですか!興味津々!!いいものを聴かれましたね・・・そういうのはぜひCDに残してほしいものですが、、、(Curraghさん、しっかりエアチェックなさったのでしょうね。)
ジェスマイヤ版というのは、もっとも一般的に流布しているものですよね。私はモーンダー版も1枚だけ持っていますが、「アーメンフーガ」がとてもいいです。

これなんですが。
http://72.14.253.104/search?q=cache:IaXm8BcjqQgJ:www.amazon.co.uk/Mozart-ed-Maunder-Wolfgang-Amadeus/dp/B000004CX8+maunder+mozart+requiem+kirkby&hl=ja&ct=clnk&cd=1&gl=jp

あの・・・下のVOAへの投稿は、Curraghさんご自身が書かれたものですか?ざっとしか読んでいないのですが・・・情けなくて悲しいことです。。
Posted by Keiko at 2007年06月28日 10:28
しばらくでした〜。
オルガンのみの伴奏は、教会音楽の原点?といった感じがして、味があって私も好きです。
二大レクイエム、いいですね〜。私はそのアンコール曲、モーツァルトの「Ave verum corpus」がとても好きなんです。大学に入って初めて歌ったラテン語の曲がそれだったのでとても印象に残っているし、曲自体もメロディーが好きなんですよね。今でも自分の世界に浸りながら歌ったりします(笑)。
そのスウェーデン放送合唱団の演奏はどうでしたか?
Posted by Satomi at 2007年06月29日 23:59
Keikoさん

ご紹介ありがとうございました。こちらもよさそうですね! ホグウッド指揮/AAMによる演奏ですか。相手に不足なし、ですね。

VoAから離れたことについて。記事はもちろん自分で書きました。稚拙ながらも横文字で書いたのは、扱っている問題がたいへんデリケートであるゆえうかつに書けなかったことと、VoA現行メンバーの方へ宛てて書いたものだからです。

Satomiさん

'Ave Verum...'、自分も大好きな作品です。たった40数小節しかない作品ですが、なんと深い感動を聴き手にあたえる力をもった曲なのかと思います。自分がはじめてこの作品を聴いたのは、たまたま聴きに行った「パリ木」公演のときでした。この曲を耳にするたびにそのとき受けた強い衝撃を思い出します。

演奏は全体を通して弱音、息の長いゆるやかなテンポで必要以上にクレッシェンドしたりせずに歌われ、深い祈りと内省に徹したスタイルだったように感じました。
Posted by Curragh at 2007年06月30日 10:48
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