2011年05月16日

Brendan Voyage ふたたび

 本日は『聖ブレンダンの航海』管理人としては、一年でかなり重要な日、「聖ブレンダンの祝日」。本家サイトの更新を見ていただければ察しがつくかと思いますが、よもや自分が間接的とはいえ、かのアイルランドの聖人にかかわる大がかりなプロジェクトを目撃することになるとは、ほんと夢にも思っていなかった。

 3月17日の「聖パトリックの祝日」からしばらく経ったころ、アイルランドゲール語の古地名学の権威にして拙サイト顧問(とこちらが勝手に考えている)Breandán Ó Cíobháin 博士からメールをいただきまして、読んでみたら、なんとなんと博士じきじきに提案したというIonramh Bréanainn 、「ブレンダンの航海」なる調査航海をこのたびおこなう運びとなったこと、一路アイスランドめざしてブレンダンの祝日当日にスケリグ・マイケル島から出航する、とにわかには信じられない内容が書かれていたのでこちとらもうびっくり仰天。なんでも知り合いの考古学者先生がアイスランドにて、ヴァイキング入植前のアイスランドに一足先にアイルランドから北大西洋を越えて渡ってきたアイルランド人船乗り修道士が生活していたらしい「洞穴」を発見したという、こっちもまたびっくり仰天な大発見(かも)があり、こちらもふくめて6世紀以降、ブレンダンやコルンバなどの船乗り修道士・船乗り聖人たちが縦横にカラフを駆って寄港した島々にゆかりの史跡・遺構を訪ね、彼らが歴史に刻んだ航跡(功績でもある)をあらためてたどり、正当に評価しよう、というのが目的のれっきとした学術研究調査航海なんでそうです。いやー、これはじめて聞いたときは気落ちしていたときだけに、同行するわけでもないのに妙にわくわくしてしまって勝手にヒートアップ(笑)! 航海に使用するのはAr Seachrán という名前の全長45 フィートの帆船、スキッパーは同艇船長のPaddy Barry 氏で、今回の航海計画をÓ Cíobháin 博士といっしょに立案した人。各分野の専門家の人数名(詩人もいるとか)も乗船するらしい。

 検索してみたら、こちらの地元紙サイトくらいしか報じてなかったけれども、先週、Ó Cíobháin 先生からWord 文書ファイルをもらいまして、寄港地の詳細がわかりました。それによるとスケリグ・マイケル出港後、イニッシュグローラなどブレンダンがかつて創立したとされる修道院があったアイルランド北西岸沖の小島に寄りながら北上し、アイオナ島、そしてブレンダンとコルンバ会見の地ヒンバ島(Hinba)ではないかと推測されるEileach an Naoimh(別名 Holy Isle)島、オークニー諸島(有名なスカラ・ブラエ遺跡も訪問予定)、シェットランド諸島に寄港したあと、いっきに「羊の島」、「鳥の楽園」のフェロー諸島へ。主要都市トアスハウンのある本島ストレーモイ南西端に位置する「ブレンダンの入江(Brandansvik 、なおここは1976年にティム・セヴェリンが復元カラフのブレンダン号による大西洋横断航海を敢行したさいに寄港したところでもある)」とも呼ばれている当地の文化遺産地キルケビュー(Kirkjubøur)に立ち寄り、絶海の孤島にしてラテン語版『航海』に出てくる「鳥の楽園」のモデルではないかとされるミーチネスを経てアイスランド南岸へ。南岸沿いにあるPapafjordur, Papafjardaro などアイルランド人聖職者をにおわせる名前の島々や入江を通過して昔、火山噴火で有名になったヘイマエイ島や、アイルランド人奴隷に由来するヴェストマンナエイヤル諸島(Vestmannaeyjar)を経由して軽飛行機にて本土のSeljaland へ飛び、そこで上述した新発見の洞穴を調査するとのことです。帰路はセント・キルダ島などに立ち寄り、順調にいけば7月8日にゴールウェイ州のCorr na Rón という港に帰港する予定とのことです。またこの航海日程は細部も凝ってまして、たとえば夏至の来月21日には9世紀、カール大帝の宮廷に仕えていたアイルランド人修道士ディクイルが『地球の計測 (De Mensura Orbis Terrae)』で記録した光景 ―― 真夜中でもシラミがとれるくらいの陽光がとどく最果ての島テューレ ―― もしっかり体験するとか。

 アイルランドからアイスランドの往復で、寄港地立ち寄りもふくめた合計距離はなんと2,300 マイル(海里、1海里は1,852m)にものぼる大航海。とにかく航海の無事を祈るのみ。どうか実り多きexpedition になるように、と地球の反対側からエールを送ります。Ó Cíobháin 先生からまたなにか連絡がありましたら、本家サイトにて逐次告知します。

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