この日のプログラムは今年が記念イヤーのフランツ・リストに関連した構成でして、まずリストの「交響詩 レ・プレリュード」、ついでリストとも仲よしだったシューマンの「ピアノ協奏曲 イ短調 作品 54」、おしまいが個人的にも好きな作曲家セザール・フランクの「交響曲 ニ短調」。
バッハのオルガン作品好きにとって、ブルックナー同様、フランクとくるとまずオルガン弾きというイメージ。この唯一の交響曲も、おなじくオルガン弾きにして大作曲家のサン-サーンスの有名な「オルガンつき(交響曲 第3番 ハ短調)」におおいに触発されて作曲したとか。で、もちろんオケの実演で聴けるとあってこの作品とても楽しみだったんですが、いちばんの楽しみ、というか公開収録を聴きに行こうと思い立った動機が、シューマンのピアノ協奏曲を弾く若き俊英、北村朋幹さんの演奏を聴きたかったから(笑)。2009年のLFJ のとき、この人のバッハを聴きそびれていたので、ぜひに、と思ったもので。
冒頭、裾野市長さんの眠い(?)挨拶がありまして(裾野市制施行40 周年記念事業なので。それゆえ聴きに来ていた人も地元市民がほとんどだった)それからようやくオケのめんめんが出てきました … 名門・東京フィルハーモニー交響楽団! ですよ(ここも今年めでたく創立100周年!)。この前フル・オーケストラの公演なんていったいいつ聴いたかなあ … と思い起こすと、1997年のパリ木と東京シティ・フィルとの合同演奏会(サントリーホール)以来かな。ドレスデン聖十字架教会聖歌隊公演のときはバッハの「マタイ」なので、ピリオド楽器による弦楽アンサンブルに毛が生えたような構成だったし、鎌倉の「グロリア少年合唱団」公演のときもそんな感じ。だからオケそのものを聴くのもほんとひさしぶり。指揮は「名曲スケッチ」とかでもおなじみの円光寺雅彦氏でした。意外と小柄な方でしたが、指揮ぶりはとてもわかりやすいという印象。人によってはただ手先のみでちょこちょこ指示を出すだけの人もいるけれど、全身をたっぷり使ったじつに情熱あふれる指揮ぶりに見えました。配置ですが、下手から第1・第2 ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラで、ヴァイオリンセクションの奥にハープとティンパニなど打楽器、そのとなりにホルンとトランペット、木管をはさんで右端にトロンボーンとテューバといった並び方でした。ちょっと変則的な感じもしたけれど、舞台の広さとピアノを引っ張り出す都合上のことかと思われます。
で、お待ちかねのシューマンですが、なんというか、これがまだはたちそこそこの若い人の演奏なんだろうか … という印象。すでに円熟の域に入っているのではないかと … 音の粒もきめ細やかでじつに繊細、かと思えば火花散らすような力強さでオケと対等に渡りあっているというか、演奏という介雑物を感じさせない、シューマンの音楽世界そのものみたいなすばらしい演奏だったように思います。こういうときだけに、ピアノとオケの奏でる音空間にいつまでも浸っていたい、そんなじつにぜいたくな、心満たされるひとときだった。
最後のフランク、いやー、すばらしい!! 最終楽章、3つの主要主題が順番に顔を出すあたりなんか、もう鳥肌が立ってしまうくらいゾクゾクしましたよ。終楽章は「輝かしい」と言われるニ長調で書かれているためなのか、なんか心身ともにスッキリしまして、快演でした。
で、この「公開収録」、今夜19時20分からNHK-FM でかかるので、いまからまた楽しみです。今宵はこれをサカナに(じっさいには宅配ピザなんだが)キャンティを飲もう(笑、クラッシコじゃないただのキャンティ、2009年もの)。
フランクついでに以前ここでも紹介した、オランダの高校生オルガニストによる、フランクの「コラール 第2番 ロ短調」をどうぞ。
↓は、会場でもらった「NHK静岡放送局」マスコットの「しずくん」クリアファイルとか。まさかこういうアイテムまでもらうとは、想像していなかった(笑)。ちなみにこのしずくん、どう見ても「とっくり」にしか見えんのですが、アタマのとんがっている部分は「アンテナ」ということになっている。