2006年03月25日

催花雨

 伊豆半島では早咲きの河津桜につづいて、オオシマザクラがあちこちで満開を過ぎて、散りはじめています。ソメイヨシノの開花宣言も出てはいますが、こちらのほうは天候不順のせいか、まだそれほど開花は進んでいません。松崎の那賀川堤・のソメイヨシノ並木黄金崎公園のソメイヨシノもまだ3分〜5分咲きといったところ。見ごろは月末から来月にかけてかな。

 それでも桜にとってはこれが開花をうながす雨なのでしょう。このような雨のことを催花雨(さいかう)と言うのだと、つい最近知りました…それにしても日本語って自然事象ににたいする語彙がほんとうに豊かですね。それと色彩についても。鹿毛(かげ)、新橋色、利休鼠色、檜皮(ひわだ)色、代赭色(たいしゃいろ)…とじつにさまざま。

 西伊豆にかぎったことではないけれど、ソメイヨシノが満開になるころは里山の樹々もいっせいに若葉を出して、桜のピンクと萌黄色、樹によってはオレンジ色の新芽が芽吹いたりで、それまで枯れ色一色だった山肌が突如としてにぎやかになるさまにはいつものことながら感動をおぼえます。

 ブレンダン関連の調べ物ついでにアイルランド西海岸の画像なんかも検索したりすると、かの地の海岸線も、侵食された断崖絶壁やその上を走る幅員の狭い道路なんかは西伊豆の海岸線と、いまは廃道になっている旧国道に似ているなぁーと思ったり…かの地の場合は火山岩や熔岩が海蝕を受けて、というのではなくて氷河が後退するときに巨大な氷に削り取られて形成された地形のようです。モハーの断崖付近は石灰岩だけど、ディングル半島もそうなのかな? こちらの写真を見ると、火成岩? のようにも見えます(アドレスバーにコピペして見てください)。

 海蝕崖の見た目は似ているけれど、春、ヤマザクラやソメイヨシノにいっせいに芽吹く樹々の織り成す「色の競演」はやっぱり伊豆半島ならでは。そのかわり、かの地は一日の間ににわか雨が何度も降ったり、強烈な日差しが差して息を呑むような美しい虹がさっと出現したり…といった楽しみはあります。こちらでは、さすがにそんなことはめったに起こらない。それと、あの異空間に迷い出たかのような、ゆるやかに傾斜しつつえんえんとつづく、強風よけの石垣の網目模様なんかは…やっぱりアイルランド独特の風景ですね。

 一昨年の3月、河津桜と雛のつるし飾りを東伊豆町まで出かけて見に行きましたが、いちおう地元の人間ながら、伊豆って高いなー…と思いました。ただたんに相談に行った先の代理店が高いところしか紹介してくれなかっただけなのかもしれないが…一泊ひとり3,4万とは…けっきょく日帰りにしてしまいました。せめて一泊1万円台からにしてほしい。

 昨年から、伊豆でも格安を売りものにしたホテルが本格的に進出しはじめました。たとえば松崎のこちらのホテル3人以上宿泊だと一人当たり一泊6800円…以前、某鉄道会社の持ち物だったときには考えられない破格の安さ。

 もうすこし財布に余裕があって、もっとおもしろい、変り種の宿だったら個人的にはここなんか興味があります。

 なにがすごいのか、というと、特大の鉄道模型が大広間に鎮座していること(リンク先画像はNゲージのもの。ほかにもHOゲージがあります)。まるで鉄道模型の博物館。手持ちの模型列車の持ちこみOKなので、鉄道ファンの方にはたまらないでしょうね。眺めているだけでも飽きないかな。

 ここ十数年、伊豆半島の観光は停滞気味。でもなかにはこうして「差別化」をはかって成功しているところもあります。ようは、常識にあまりとらわれすぎないことかもしれない。四半世紀前、宿のご主人が宴会場だった広間をつぶして鉄道模型を組んだとき、家族から「宴会場をつぶしてどうする気?」と総スカンを食らったらしい…それがいまでは旅館の目玉。世の中なにがどう転ぶかわかりません。

 あと気になるのは南伊豆町・吉田地区にあるこちらの宿。これまで何度か、西海岸から奥石廊崎にかけて写真を撮りに出かけましたが、吉田地区は素通りしてました…ほとんど観光地化されてしまった伊豆半島に残された、最後の秘境みたいな場所です。あらためて写真を拝見しますと、山の形も異形で、太平洋の荒波がたたきつける海岸線は西伊豆以上に荒々しくて、伊豆半島というより伊豆諸島の離島のような趣すら感じます。

 探せば個性派の宿がまだまだ見つかりそうですが、音楽好きとして行ってみたい宿は→音響効果抜群のちんまりとしたホール、小型オルガンやチェンバロ、クラシックのCDコレクションがあって、再生機器も真空管アンプをそなえた本格仕様。そんな夢みたいなお宿は…伊豆半島にはまだ存在しません。

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