2006年04月09日

上手の手から水

 日曜の午後2時前、こちらの番組を見ていました…すでにヨセで、白番石田九段、6目半のコミを入れても届かず、黒番中野九段の勝ちは確実かと思っていたら…あらら…まさかの大失着、バタバタバタと黒石が死んでしまって白番の逆転中押し勝ちに。解説の小林九段も「なんで?!」を連発。打った中野九段も、自身のとんでもない失着に気づいたものの時すでに遅しで、苦笑いを浮かべてさっと一礼…素人同然の自分でもわかる見損じで、百戦錬磨の手練でもこんなことがあるんだなーと思いました。

 来週は期待の十代、井山裕太七段が登場、とあっては見ない手はない…井山七段は「こども囲碁名人戦」時代からずば抜けた力量をいかんなく発揮して、昨年も全日本早碁オープン戦決勝で史上最年少優勝して段位も4段から一気に7段へと飛び級昇進した、文字通り日本囲碁界の期待の星なので、ぜひがんばっていただきたいと思います。

 話変わりまして…きのう、本屋に立ち寄ったらこの雑誌が目に留まり…昨年のツタンカーメン王のミイラのCTスキャンを特集した号以来、ひさしぶりに購入。もっとも以前はsubscriberでして、自室には数年間分のストックがありますが、いつだったかたまたま立ち寄った神保町の某大型書店にて、定期購読専用だったはずのこの雑誌がなんの予告もなく、版元の突然の方針転換(?)により陳列されているのを見て唖然…そんなに熱心な読者でもなかったので(pace)、あっさり定期購読を解除して、それ以来ほしい号だけを本屋で買うことにしました。

 地震の記事は、1906年4月18日に発生したサンフランシスコ沖大地震をきっかけに現代の地震学が誕生した経緯を軸に、スマトラ沖の大地震やパキスタン地震など幅広く取り上げてあり、読み応えがありました。「東海地震」や「大震法」まで言及してあり、しかもこちらの施設まで紹介されていました(まだ行ってない…汗)。

 原文を見てないのでなんとも言えませんが、「プレスリップは存在するのか」という副題つきセクション。東海地震発生前に起こるとされる「前兆滑り」現象はほんとうに起こるのか、という趣旨で、非科学的と一蹴する研究者の意見を紹介したあと、


  …東海地震に対する警戒ばかり高まっていることを疑問視する地震学者もいる。6434人の死者を出した阪神・淡路大震災が発生した1995年当時、神戸の市民も行政当局者も、ほとんど誰もが阪神地方で大地震が起きるなどと思っていなかった。地震は他人事、東海や関東で起きる災害だと考えていたのだ。(p.64)

 引用部、周期的に繰り返される海溝境界型(プレート境界型)の大地震と、内陸部の活断層がいきなりもぞもぞやる直下型地震とごっちゃにしている印象あり。もっともそもそも地震に規則性はあるのかということからして、どっかのTVCMの神様とおんなじで、地震学者でもいまだ「わかんない」分野。もっとも予知しやすいといわれたサンアンドレアス断層群のパークフィールド近辺で発生する地震も、けっきょく予測は10年もはずれて2004年に発生、震央も当初予測していた地点より数キロ南へずれていたことから、地震に規則性はなしと結論づける研究者もいます。いっぽうでスマトラ沖大地震では、断層破壊が南へ南へ順繰りにつづいたことから「明らかな規則性があり、予知は可能」と主張する研究者もいます。「東海」はどうなのか…直前でも予知できればそれこそ「減災」につながるのでそうであってほしいとは思いますが(とはいえつぎの関東地震との関連性もわかっていない。いったいどちらが先なのか? このへんの説明もほしいところ)。

 それともうひとつ、ケルト関連記事があったのも購入理由でした…こちらもアイルランド、ウェールズ、ブルターニュ、スペイン・ガリシア地方など、幅広く取材して楽しい読み物になっています…「ケルトの聖人は天国に入りきれないほどたくさんいる、というジョークがある」というのは笑ってしまいました…たしかにアイルランドだけでも相当数います…自分もアイルランド人のキリスト教聖人をすべて知っているわけではもちろんないのですが、かりにケルトの全聖人を網羅して、祝日別にまとめたら本一冊だけでは足りないのではないかと思います(アラン諸島イニッシュモアの有名な古代遺跡 Dún Aonghus の美しい航空写真も掲載されてました。日本語版ができてからこの遺跡の写真が掲載されるのはたぶんこれが二度目だろうと思います。こちらのサイトを見ると、縦横に張り巡らされた石灰石の障害物の存在が、アイルランドのケルト人がイベリア半島から渡来した証拠と主張する学者の意見も紹介されています)。

 …しばらく本屋をうろつき、『音楽の友』をちょこっと立ち読み。若手ピアニスト・ランラン(郎朗)くんがライプツィッヒのバッハ・アルヒーフを訪問したときのエピソードも紹介されていました…なんでもバッハ直筆譜をいくつか見せられた郎朗くん、いきなり弾きたくなって(?)、なんとアルヒーフのチェンバロを弾きはじめた…!! はじめは思うようにいかなかったようすだったけれどもだんだん調子が出てきて、「パルティータ第6番」からトッカータ、ゴールトベルク変奏曲を取り混ぜて即興演奏を披露したそうです…聴いてみたかった。

 チェンバロのタッチは独特です…ことばで言うのは難しいのですが、キーを押すと、ジャック先端の爪(プレクトラム)が弦を持ち上げるまでは指にピンと張った弦の抵抗が感じられます…レオンハルトが「鍵盤で弦を感じることができる」と発言したのはこのことだろうと想像します…ところが爪が弦をはじく瞬間、「カクッ」という感じでいきなり力が抜けて音が出る、そんな触感なんです。あれはいきなりだとプロの演奏家でも弾きにくい。ピアニストだとよけい弾きにくかっただろうと思われます。ある意味オルガン以上に弾きにくいかも。

 …チェンバロついでに、いましがた聴いたNHK-FM「現代の音楽」。ポーランドの作曲家による「チェンバロ、オーケストラとテープのための協奏曲」という5楽章構成の作品を聴きました…波の音のようなノイズとかなり分厚い編成のオケつき、いわゆるクラスタ効果に近い箇所もあったりで、チェンバロも負けじとバラバラ音を出しつづけていたのが印象的でしたが、どうもこれ、チェンバロの音をいくぶん増幅してあるらしい…生演奏で聴いたら、おそらくチェンバロの音は聴き取れないんじゃないかと危惧します…実演に接した方ならわかりますが、チェンバロの音はほんとうにか細くて、繊細なのです。

 こちらのサイトにチェンバロのことが詳しく解説されていますが、じつは発明された当初、この楽器はまるでアップライト型ピアノのように弦を垂直に張り渡したものでした→画像

 上記ページにもこの竪型楽器について言及されていますが、こちらのほうの正式名称は clavicytherium (クラヴィシテリウム)と言うそうです。

 もともとこの楽器は貴族しかたしなめない超がつくほどの高級調度品でしたが、ウィーン美術史美術館のものもまさしく芸術品ですね。いまではレプリカの楽器はかなりお安くなっているとはいえ、それでも最低200-300万円はしますから、しょせん庶民には高嶺の花です…。

posted by Curragh at 20:45| Comment(1) | TrackBack(0) | 日々の雑感など
この記事へのコメント
curraghさま

blogにコメントをありがとうございました。
既にご存知のことかもしれませんが、1768年製作の
クラヴィシテリウムに基づき2002年に製作された、
アップライト型の楽器を使用したCDがEARLY MUSIC.COM
という新レーベルから出るそうです。

チェンバロは本当にため息が出るほど装飾が美しいもがもあり、
そして、値段にもため息が出ます。
以前、ギャラリーコンサートで聴いたチェンバロは
依頼を受けて作成されたもので、やはり金額は300万を超えていました。
庶民には夢のまた夢です。

Posted by Klavier at 2006年04月19日 20:51
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