2012年05月07日

116 年前の三陸津波写真発見 ! 

 まずはじめに … つくば市と真岡市などを突如、襲った竜巻の甚大な被害には絶句した。大地震も大津波も「ゲリラ豪雨」も台風も火山噴火もこわいが、この竜巻のこわさはいざ発生したら、ほんの一瞬でわれわれの日常生活を文字どおり根こそぎ破壊してしまう点だ。土台ごとひっくり返された家の下敷きになったらしい中学生の少年の悲報にはもうことばも出ない。そしてあの雇用促進住宅に入居していたという、福島県双葉町や浪江町の避難民の方の話はほんとうにひどい。一刻も早く日常を取りもどされるよう、祈るのみです。

 ところで、竜巻報道を見ていて気になることばが … 「スーパーセル」というのは、いままで日本国内で発生したことがあるのだろうか … ついこの前、マッキベンの Eaarth について書いた記事で、「スーパーセル」の言及箇所を引いたばかりなので、よもや、と思ったのでした。それにしても … やはり大気の循環が狂いはじめているのだろうか、「いままでこんなことはなかった」、「こんなことははじめてだ」というのがなかば決まり文句みたいに聞かれるようになっている。つくば市付近の上空と地上との気温差はなんと 40 度だったという。いまや地球はマッキベンが言うような、「とても住みにくく、とても暑く、とても不安定でわれわれの生存を脅かす存在となった」惑星になってしまったんだろうか。… いずれにしても今年の GW は、いままで経験したことのないほど大荒れに荒れた天候つづきだった。竜巻も、もとをたどれば記録的大雨を降らせたあの低気圧が、北に張り出す高気圧に行く手を阻まれて生じた結果だと思うし … とにかく天城山で一日当たりの降雨量 800mm というのは、信じがたいことだ ( 伊豆スカイラインはまだ復旧工事中 ) 。

 昨年の大震災は、この時期恒例の LFJ コンサートまで影響を与えてしまったけれども、今年はぶじに開催、自分も自室で NHK-FM の「今日は一日◯◯三昧」の生中継をずっと聴いてました。そんなとき、この報道に接して思わず目が釘づけに。3 日付の地元紙朝刊の一面に大きく掲載されていたもので、そのガラス乾板から「密着プリント」で起こされた印画紙画像を食い入るように見つめていた。116 年前の明治三陸地震津波の被害の惨状を記録した、まちがいなく第一級の記録写真です。記事によると、震災からわずか一週間後くらいで現地入りした、中島待乳という日本の写真草創期に活躍した写真師が撮影したものらしい。

 掲載写真を見てまず感じたのは、その映像のシャープさです。いまみたいに片手でスナップ感覚で撮れるデジカメなんかじゃなく、でかくて重い「手札判」カメラで、三脚や現像機材とかも当然持っていったはずだからこの記録写真を残してくれた中島待乳の苦労はいかばかりかと思わざるをえない。また海岸から数百メートル離れた場所に帆船が斜めになって打ち上げられている釜石の被災地の写真など、そのまま昨年の津波の惨状と見紛うばかりだ。背景の山裾がえぐられているように崩れている光景も写し出されているから、ひょっとしたら津波が削り取った痕なのかもしれない。

 それにしても中島待乳はすごい人だと思う。寡聞にしてこの人のことは初耳でした。1850 年、千葉の銚子生まれで、銚子に漂着したオランダ人船乗りの時計の裏蓋に写真が貼り付けてあるのを見て、写真師を志したという。オランダ語原書などを頼って独学で ( ! ) なんとカメラも印画紙も自分で作ってしまったという。1874 年に浅草で写真館を開業、その後いろいろ賞をとったりして当時の日本における写真の権威的存在にまでなった人らしい。三陸地震は 1896 年の発生だから、中島は当時 45, 6 だったことになる。

 今回、発見された中島待乳の記録写真のもうひとつすばらしい点は、見つかった 48 枚すべてに、「崎浜村被害の全景」など、説明 ( いまふうに言えばキャプション ) が付されていることです。中島が三陸沿岸の被災地を撮影していたちょうどおなじころ、太平洋の反対側の米国では、ジェイコブ・オーガスト・リースが扇情的な手法ながら、「報道写真」のはしりをニューヨークのスラム街で撮りまくっていた。たんなる偶然だけれども、このふたりの写真にはなにか通底するものを感じます。とにかく明治期の先人というのは、写真にかぎらずすごい人が多い。先人から学ぶべき点はやはり多いと思う。

タグ:中島待乳
posted by Curragh at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術・写真関連
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