2006年04月16日

洗足木曜日のイートンカレッジ来日公演

 今日、16日は2006年のイースターサンデー(仏語ではPâques[発音はパック]、語源についてはこちら)。現在のイースターは移動祝祭日のひとつなので、年によって早かったり、遅かったりします…それというのも「春分の日後、満月のあとの最初の日曜日」と決められているからで…その起源は325年に召集されたニケア公会議にさかのぼります。ところがアイルランド教会ではローマ式の計算を採用していなかったので(というより、知らなかった)、6世紀にはおんなじキリスト教会なのにもっとも重要な主の復活を祝う日付けが本家とかなりズレてしまった。たびたびローマ教会側と宗教会議でこの問題が取りざたされ、7世紀にウィットビーで召集された宗教会議ではローマ教会側とアイルランド教会側がはげしく衝突したあげく、けっきょくアイルランド側がローマ側に押される形でしぶしぶ伝統的な計算法を捨ててローマ方式を採用したというこぼれ話が残っています。アイルランドのケルト教会側で頑としてローマ方式を採用しなかったのは聖コルンバ(コルムキレ)創設のアイオナ共同体だけでした。

 『聖ブレンダンの航海』では、ブレンダン一行が復活祭前の聖週間(受難週)の木曜日に「羊の島」に到着し、聖土曜日から復活の主日にかけては「大魚ジャスコニウス」の上で過ごす、というサイクルを7年繰り返すことになりますが、木曜日は「洗足木曜日 Maundy Thursday」とも呼ばれ、イエスが弟子とともに過ごした最後の晩餐のとき、弟子たちの足を洗ったとの福音書の記述を記念した日でもあります。

 その木曜日、ほんとうにひさしぶりに国会図書館へ行きました…ところがあまりの変わりようにすっかり浦島状態。入館者カードは砂鉄の入ったカードからICカードへ変更され、参考資料閲覧室の配置もすっかり変わって右往左往。資料閲覧請求もすべてオンライン化され、複写申し込みまで専用端末から入力してプリントアウトした用紙とともに複写受け付け窓口までもって行く、というぐあいで――複写受け付け窓口まで位置が変わって奥のほうへ移動していたり――とにかくはじめてづくしだったので面倒くさ…と思ってしまった。なんか前のほうがよかったなぁ…慣れの問題かもしれませんが。

 おまけに探していた英国の考古学専門誌Antiquityが見つからず、ヘンだなー、ここで複写したのにと思っていたら、いつのまにか関西館へと移動していたり…しかも検索しても古い号が見当たらない。もう閲覧できないってことなのか? 「電子ジャーナル化されてるかもしれないので…」と教えてもらったので、はて電子じゃーなる?? と思いつつそれを検索できる端末に行ってみたら、ようするに世界各国の図書館データベースへの接続サービスだということがわかって…大英図書館のこちらのデータベースで――ログインするためには職員を呼ぶ必要がある――調べてみるも、PDFでもhtmlでもけっきょく見当たらず、とにかく時間がなかったのでそれ以上の検索はやめました。最後に、以前とは反対側へ移動した人文系参考資料室にて New Catholic Encyclopedia の第二版を発見したので、聖ブレンダンの項目(pp. 601-2)を複写してもらってから、地下鉄で池袋へ。国会図書館前のソメイヨシノ並木もほとんど葉桜状態でしたね。

 芸劇へ行く前にメトロポリタンプラザ内のHMVへ寄り道…ヴァルヒャのアルヒーフレーベルへのバッハ・オルガン全集の記念碑的モノラル録音盤が激安(1980円)だったので買おうかな…と思いつつも、けっきょく BBC Music を買ってしまった…ニューカレッジの「スターバト・マーテル」(ペルゴレージ)のCDがおまけとしてくっついていたのでそれにつられてしまいました。

 芸劇…ここに来るのも何年かぶりでしたが、おなじ日、中ホールではこんな公演もあったのですね…ホールに入る前の連絡通路でもでかいポスターを目にしたけれど…なんかすごい取り合わせ。

 ひとつ意外だったのが、会場でのCD販売がなかったこと…代わりにハロウ・スクールのサマーコース案内をもらいました(意味ない…)。Eton Choir book とか、彼らのアルバムが買えるかなーと期待していたのですが、残念。

 自由席だったので、皆さん思い思いに席を取っていましたが…昼間の貸切公演の主催者らしい学校関係者が多かった気がします。それとなぜかお相撲さんが(?)。招待客かな。開場時間前に中へ入ってゆきました。

 2003年の公演は聴いてないからどっちがいいかはわからないけれど、いかにも英国らしい、すなおな頭声を響かせるトレブルと、それを支える低音パートがバランスのよい歌唱を披露してくれました…英国の「正統派」聖歌隊を聴くのもひさしぶりだったので、とても新鮮に聴こえました。

 当日はプログラムに多少の変更があり、個人的に楽しみにしていたベルリオーズの「羊飼いたちの別れ」が聴けなかったことはかなりがっかり。柔らかい音色の伴奏に乗って歌われる美しい旋律が印象的な小品です。以前TVで「キリストの幼時」の抜粋を見たときはスウェーデン放送合唱団の演奏でした。できればボーイソプラノで聴きたかったな。

 そのかわりフォーレの定番「ピエ・イエス」を歌ってくれたのはうれしかった。ソロのサミュエルくん、歌う前にオルガンのほうを向いたりして、伴奏者を探していたような感じでした…伴奏のオルガンスカラーのお兄さんがピアノでスタンバイしているのを見つけてにっこり。彼のソロはとてもよかったと思います。Choirboy of the year に出てもよかったかも。ただ、高音パートが全体的にやや声量不足というか、もっとフォルテで歌ってもよかったところがあったと感じた場面もありました。なにせ会場が広いですからね…。

 英国の聖歌隊公演での楽しみは、オルガン独奏があること。オルガンスカラーにとっても腕の見せどころでしょう…今回はかなり気合が入っていたような気がします。というのも、ホールに入った当初、バロック/ルネサンス面だった芸劇ご自慢のガルニエ・オルガンが、休憩時間中に回転! モダン面での演奏もあったからでした。最初のは有名なバッハ編曲によるヴィヴァルディの合奏協奏曲(BWV. 596)、二回目、休憩後のモダン面による独奏はモーリス・デュルフレの「アランの名前によるフーガ」。あんまりひさしぶりに聴くものだから、出だしの特徴的な付点リズム音型が鳴り響くまでどんな曲だったか思い出せなかった…フランス製の楽器だから、この選曲になったのかな(オルガンスカラーのお兄さんがまたいかにも、という感じの長身の美形)? 

 ちなみにここのオルガン、ターンテーブルに70トンもある楽器が載っているという特殊な構造のため、地震のとき倒壊する危険があったので天井にがっちり固定されたらしい…そういえばオルガンを支える太い心棒みたいな柱が見えてましたが、たしかあれは10年前にここのオルガンを聴いたときにはなかったはず。1999年のリガ公演のときも…まだなかったと思うので、ここ数年で取り付けたのでしょう。

 お兄さんグループによるIncognitos も、オランダの The Gents みたいでおもしろかった。いちいち着替えて出てくるところも(みんなで歌うときは赤のカソック)。第一部のときには映画『ノッティングヒルの恋人』のサントラにあった When you say nothing at all もすばらしいア・カペラで披露してくれました(The Gents のほうはNHK-FMで再放送されますね)。

 とても流暢な日本語による曲目紹介があったのはやはりとても助かりますね…最後の「聖霊を感じるたびに」のとき、「神聖なジャズ曲です」とあったのはちょっとおかしかった。ゴスペルと言ったほうがよかったかも。

 演奏終了後、指揮者オールウッド先生が一部日本語で挨拶されていましたが、英語でしゃべっていたとき、たしか '...such an extraordinary organ, three organs in one, which ...'とおっしゃって、「一台に三つの(時代の)楽器が入っている、こんな驚くべきオルガンは英本国でも見当たらない」と褒めていたと思うけれども、日本語訳のアナウンスではそこがカットされていたのはなぜ? 枝葉末節の類でほんとにどうでもいいことだけれども…。

 …それから、歌いだす直前に携帯電話…これだけは勘弁してほしい。

 …そしてまたまた関係ないけれど、今日の対局、惜しかった…井山七段。

posted by Curragh at 16:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽関連
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