2007年10月13日

マーラーの「3番」、パッヘルベルのシャコンヌ

 八丁櫓を見に行った帰りの電車の中。ああ、はじまってるかな…と内心ややあせりつつ携帯音楽プレーヤーの電源を入れる。NHK-FMの「海外コンサート」でやってるマーラーの「3番」のほうも気になっていたので、聴いてみると…まだ4楽章の後半。なんといいタイミング! 静岡−興津間はなぜか(?)FM電波の受信状況がすこぶるいいので、5楽章がはじまると同時にさっそくエアチェック。走ってる電車からというのもどうかとは思うけれども、しかたない。聴きたかったのは、リンブルク大聖堂少年合唱団の歌声。ここは聴いたことないから、どんなだろうと思っていました…第一印象としては、わりとかわいらしい、子どもらしい澄んだ声。日本のTFM少年合唱団の歌声に近い感じでした。個人的な好みとしては、ハノーファー少年合唱団のような、芯の太い歌声のほうがしっくりくるけれども…(ハノーファー…ついでに、静岡パルコのタワレコにてコープマン指揮ハノーファー少ほかの演奏によるブクステフーデ「われらがキリストの四肢」が激安だったので衝動買い。1000円、安い!! これはいい買い物でした。以前「バロックの森」でかかった音源とおんなじだと思います。ついでにLiberaオランダ公演のライヴ録音盤も発見)。

 先週の「バロックの森」も盛りだくさん。ソレールの有名な「ファンダンゴ」にパーセルの「来たれ、芸術の子らよ」、バッハの「前奏曲とフゲッタ ト長調 BWV.902」にヴァイスという人のリュートのための「前奏曲、クラント、フーガとプレスト ニ短調」。でももっとも印象的だったのはパッヘルベルのオルガンのための「シャコンヌ ヘ短調」。手許にヴァルヒャ盤とヴェルナー・ヤコプ盤がありますが、かかったのはヘルムート・ウィンターという人の演奏盤。テンポは…やたら遅っ! でもけっこういい。使っている楽器はどこのか知りませんが、そこはかとなく哀愁の漂う音色。楽器選定もこの変奏曲とぴたりあってます。仏ハルモニア・ムンディ盤らしい…と思ってAmazonを見てみたら…あれれ、日本のみならずドイツや英国のサイトにも見当たりません。でもひょっとしたら案外…銀座のあのお店にあったりして(ないか)。

「ベスト・オヴ・クラシック」もよかった。カツァリスのピアノにリヴィウ・プルナールという人のヴァイオリン(モーツァルトの「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 ト長調 K.423」、セザール・フランクの有名な「ヴァイオリン・ソナタ イ長調」とヘンデルの「パッサカリア」が印象に残りました。とくに後者ははじめて聴く曲で、ゲスト出演された金丸葉子さんのヴィオラでというのもよかった)、また再放送の「ヤコブ・リンドベルイ リュート演奏会」もすばらしかった。この人はスウェーデンの奏者らしいが、前半ではマンドリンも弾いて、これまた映画に使われて有名になったヴィヴァルディの「マンドリンと弦楽と通奏低音のための協奏曲 ハ長調 RV.425」などをほかの仲間とともにじつに楽しそうに演奏してました。通奏低音にはオルガン――たぶんポジティフオルガン(チェンバーオルガン)――を使ってまして、これも自分の好みとぴたり合いまして好演。今井さんはたしか新宿文化センター付きオルガニストを務めていた方だったと思う。あそこの楽器は静岡AOIとおんなじケルン社の製品(でも音響的にはAOIのほうが上)。後半はすべてジョン・ダウランドのリュート作品。有名な'Lachrimae'、「あふれよわが涙」をはじめ、ダウランドのリュート作品を一度にこれだけまとめて聴くのはそうないだろうから、とてもよかった。

 「あふれよわが涙」…以前「名曲アルバム」で聴いた、米良さんのすばらしい歌を思い出す。映し出されていた映像はダウランドも在籍していたオックスフォード大学で、クライスト・チャーチ大聖堂内陣の聖歌隊席も映ってました。運河の風景もすばらしく美しくて、はじめて見たときには思わずこっちの涙腺までゆるんでしまった。

 きのうの「向山佳絵子と仲間たち」、最後のメシアンの作品「世の終わりのための四重奏曲」が印象的でした。これはメシアンが第二次大戦中、ドイツ軍の捕虜となり収容所に送られていたとき、収容所に収監された仲間の音楽家たちで演奏できる編成にして作曲した…ようですが、聴いているうちにふと、ラテン語版『航海』28章に出てくる「聖人たちの約束の地」の「若い人」の科白、「…長い年月が過ぎ去り、キリスト教徒に迫害の波が押し寄せたとき、この地はふたたびそなたの後継者たちに知られるようになる。…なぜなら島の光は主キリストから発しているからです」が思い出された。迫害、というのはたぶんヴァイキングのアイルランド侵攻と解釈するのが自然だろうと思いますが、いま見るかたちに編まれたラテン語版『航海』で唯一、「この世の終わり」を想起させる箇所であり、メシアンが下敷きにしているのも「黙示録」なので、収容所送りになったメシアンと、ヴァイキングから逃れ流謫の身だったかもしれない逸名作者と、どこかしら心情的につながっているものをはからずも感じたのかもしれない。もっともこれはたんなる勝手な思いこみにすぎませんが。

 …いまさっきの「ジャズ・トゥナイト」。「批評家選出ベスト・ジャズ'07」の2回目。のっけから、ハモンド・オルガンの第一人者ジョーイ・ディフランセスコ。10年くらい前だったか、まだ20代前半だったこの人にぞっこん惚れこんだ音楽教室の先生よりはじめてその名を聞かされたことを思い出します…もう34になるんですねぇ。いまや押しも押されもせぬハモンドの若き巨匠、と言ったところでしょうか。ひさしぶりにその演奏を聴いてみると、堂々たるスタイルというか、貫禄が感じられますね…体型もだが…(→こういう人です。へぇ、即興演奏の教本なのかな、こんなCD付き本もものしているんだ)。

追記: こんなblogを見つけました。なんだかよくわかりませんが、ベートーヴェンやヘンデルの似顔絵、なんか笑えます…バッハもあり。

posted by Curragh at 23:58| Comment(5) | TrackBack(0) | NHK-FM
この記事へのコメント
似顔絵のブログ、たまたま、ですが、「のだめ」盛んなりし頃に見つけて眺めていたものでした。
「あ、こんなところでまた会うとは!」

パッヘルベルのパッサカリア、聴いたことが数度あるはずなのですけれど、記憶に甦らないのです。

ダウランドをロック歌手Stingが歌った、というCDを教えて頂いて、昨年ブログに載っけたのですが、

http://ken-hongou.cocolog-nifty.com/blog/2006/12/sting_songs_fro.html

昨日、これがDVDにもなっているのを発見しました。
「こういう歌い方も、ありだな」
と思ったものでした。「乞食オペラ」もイギリスではロック歌手が主役を演じたりして、そのDVDもあったりして・・・日本人みたいな妙な「ジャンルへのこだわり」は、あちらにはないのでしょうね。
Posted by ken at 2007年10月14日 09:04
Kenさん

パッヘルベルのシャコンヌ、自分が持ってるヤコプ盤(Virgin Classics, VC7 59197 2 PM518)が米国Amazonサイトにありましたのでお知らせしておきますね。↓

http://www.amazon.com/Pachelbel-Music-Organ-Johann/dp/B00000DNVU/ref=pd_bbs_sr_2/103-1659391-1947029?ie=UTF8&s=music&qid=1192348659&sr=8-2

試聴もできますので聴いてみてください。


クロスオーヴァーについては、日本もけっこうこだわりがないのではないでしょうか。あきらかにクラシックの歌い手ではない故本田美奈子さんとかホルストの'I Vow To Thee My Country'をオリジナルの歌詞をつけて歌った平原綾香さんとかいますし…。

いつだったかNHK-FMでスティング版「あふれよ、わが涙」を聴いたとき、あまりの斬新さにしばし呆然としたのをおぼえています(笑)。
Posted by Curragh at 2007年10月14日 17:46
Curraghさん、Kenさん

ロックとクラシックとの融合ということで、30年も昔ですが、一世を風靡した「展覧会の絵」のことはご存知でしょうか。Emerson Lake & Palmarという3人トリオによる革命的な演奏でした。不朽の名作ですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%95%E8%A6%A7%E4%BC%9A%E3%81%AE%E7%B5%B5_(ELP)
Posted by Keiko at 2007年10月15日 08:48
Keikoさん

なるほど。もと「男性」だったウェンディ・カーロスがシンセで弾いた'Swithced-on Bach'なら知っていますが…。こっちもおもしろそうですね。それからまた思い出しましたが、20年以上前、ヴィヴァルディの「四季」をオルガンで弾いたLPがありました。以前から探しているけれど、どうもCD化されてないみたいで、残念。
Posted by Curragh at 2007年10月16日 08:09
だいぶ遅ればせですが、やとリンク先の、パッヘルベルのシャコンヌを聴くことが出来ました。
感動。。。
(Macのブラウザはプラグインの設定が面倒なんだか、結局今日までかかってしまった次第ですが、本当にご紹介ありがとうございました!)

keikoさんにも

随分昔ですが、モー・コフマンというジャズフルート吹きがやっぱりヴィヴァルディの「四季」を録音していました。・・・ちょっと退屈でしたけど。
バッハについてはジャック・ルーシェが有名ですよね。CD時代になってからは聴いていませんが、いい演奏もありましたっけ。好きでした。
Posted by ken at 2007年10月21日 17:26
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