2012年11月10日

たしかに似ている

1). 金曜朝の「古楽の楽しみ」のいつものリクエスト特集。出だしは「調子のよい鍛冶屋」の終曲 (「アリアと変奏」)で有名な、ヘンデルの「組曲 第5番 ホ長調」。かかった音源は曽根麻矢子女史の師匠でもあった故スコット・ロス。つづいてバッハ作品がふたつかかり、まずはカンタータ 147 番「心と口と行いと生活 BWV.147 」で、これはたしか廉価版で手に入れた Teldec 盤のもので、ソプラノ / アルトの独唱もテルツ少年合唱団メンバーが歌っているもの。自分の持ってる音源には BWV.147 と BWV.140 の「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」とがセットになって入っていて、最近これ聴いてなかったから、なんだか新鮮味があった。最近のバッハのカンタータものの録音って、当時の習慣そのままにボーイソプラノ / ボーイアルトにソロを歌わせた音源ってあるのだろうか ? リフキンだっけ、「マタイ」は 4声パートの独唱のみならず合唱までじつは最低限の人数で歌われていたとかって「新説」を出してきた音楽学者さんは ? うーん、じっさいはどうなんでしょ、ここにいるバッハ好きの門外漢は、いくら倹約家の大バッハでもそれはなかったんじゃないかと思うんですがね … 。それならはじめから聖歌隊なんて必要ないですし。

 最後にかかったのはハインリヒ・シャイデマンのちんまりした作品「プレアンブルム ニ調」で、こちらも手許にあるソニークラシカル盤から。演奏者は今年 1 月に残念ながら亡くなったグスタフ・レオンハルト、使用楽器は録音当時、建造された時代に忠実に再修復されたばかりのハンブルク・聖ヤコビ教会の A. シュニットガーオルガン ( 1693年建造 )。ここのオルガンを使った録音では、近年ではレオンハルトの弟子のコープマンによる「バッハ・オルガン作品全集」がある。この歴史的名器の修復を行ったのはユルゲン・アーレント氏で、ロレンツォ・ギエルミがオルガニストを務めるミラノの教会の楽器とかも手がけているし、そういえばあのカザルスホールの楽器もアーレントオルガンだった。いまにして思えば、カザルスホールのアーレントオルガンの響きを聴いておくべきだった。

2). いまさっき聴いた「ガットのしらべ」。番組名がなんだか往年の「朝のハーモニー / オルガンのしらべ」を彷彿とさせますが、とにかく聴いてみて、おや ?! と思いました。

 バッハの有名なあの「シャコンヌ ( または伊語表記でチャコーナ、BWV.1004 の終曲 ) 」は、じつはビーバーの「ロザリオのソナタ集」所収の「パッサカリア ト短調」に霊感を得て作曲されたらしいとか。じっさい聴いてみると、… むむむむたしかによく似ているな ! とくにコーダのところなんかは。バッハ時代の「宮仕え型」音楽家というのは純粋におのれの内なる心の声に従って作曲し、それを世に問う、ということはまれで、たいていがなにかの必要に迫られてとか、雇用主の領主や貴族、教会側の要望に沿った作品を提供することが求められていたから、ひょっとしたら「特定のだれか」の必要のために書いたのかもしれない。… なんてこと書いていたら、あらら、以前ワタシはこんなこと書いていたのね … 。

 ハンブルクのヤコビ教会のオルガンにもどると、この楽器の仕様は 4段手鍵盤に実働 60ストップという、当時としてはひじょうに大規模な楽器でした。バッハがここのオルガニストに志願した、というのは有名な話 ( 前にも書いたから、蒸し返しませんが )。

3). そういえば前回の「きらクラ ! 」は公開生放送、ということで、ゲストはいまをときめく若手バンドネオン奏者の三浦一馬さんとピアノの BABBO さん。バンドネオン発祥の地がアルゼンチンではなくてドイツだった、というのは知っていたけれども、そもそも教会のオルガンの代役として開発された、という話ははじめて知った。バンドネオンのなんとも言えない哀感を帯びた調べは自分も好きですが、バンドネオンってもう生産していないのだそうだ。ピアソラの 'Oblivion' も演奏されましたが、楽器としてのバンドネオンもいまや風前の灯、文字どおり「忘却」のかなたへ、かつてのサックバットやクルムホルン、セルパンなどとともに消え去ってしまうのだろうか。でも三浦さんのような若い奏者がおおいに活躍されれば、当分そんなことはなかろうと楽観していますが。

追記。バッハ時代からおたがいによきライヴァル関係にある、ライプツィッヒの聖トーマス教会聖歌隊とドレスデンの聖十字架教会合唱団。いまさっき FB 公式ページ見たら、なんと 14 歳の団員が作曲したトリオ作品がベルリンフィル主催の作曲コンペで優勝して、晴れてベルリンフィルのメンバーによる演奏で初演されるという !!! … 世の中、神童はいるもんですね。日時は来月 14 日だそうです。もうひとつは、こちら。自分もきのうの夕刊にてはじめて知った … いいなあ、これ聴いた「約 80 人」の聴き手は。ワタシもぜひ聴きたかったなあ … 。

posted by Curragh at 22:07| Comment(0) | TrackBack(0) | NHK-FM
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