ところで次週の「古楽の楽しみ」は、「パリのレ・アール地区と音楽」。ジャン - フランソワ・ダンドリューの鍵盤作品もかかるそうで、こっちも楽しみ。ところで「フランス古典もの」ではいろんな名前の「舞曲」、つまりダンス音楽が頻出しますが、「エスタンピ」と「ブランル」なんかもよく出てきますね。というわけで NML の『音楽中辞典』を引いてみる。↓
estampie[仏] estampida[プロヴァンス] istanpitta, stampita[伊]
13,14世紀のフランスやイタリアの写本にこの曲種名が残されている。多くは旋律のみだが歌詞のあるものもあり,「踏み踊り」の名称が示すように舞曲とされる。半(開)終止でくり返され,全(閉)終止におわるいくつかの楽節からなる。
branle[仏]
1. 15,16世紀のバス・ダンスで横へのステップもしくは動きを示した言葉。
2. フランスの民俗舞踊。拍子,テンポ,踊り方などは地方によって異なり,のちにメヌエットやガヴォットへと発展したものもある。16世紀末にはいくつかのブランルを順にならべた一種の組曲も存在した。
これらとは関係ないが、「だれだれのマスク」とかいう曲名の作品は、英国ルネサンス期音楽あたりでよく見かけます。「だれだれのトイ」というのや、「ジョン・ブルのおやすみ」なんてヴァージナル楽曲まである。トイというのは、そのものずばり「玩具」のこと。そういえば追悼音楽として、「だれだれのトンボー」というのもあったな。
toy, toye[英]
16世紀末から17世紀のイギリスで用いられた,リュートやヴァージナルのための小曲の表題。
「ビバ ! 合唱」も、時期的に楽しいプログラムがつづいてます。先週は「バロック時代フランスのクリスマス音楽」、そしてけさは「ジョン・ラターによるクリスマスの歌」。ラッター ( と自分は表記 ) は、BBC Radio2 の毎年恒例の「今年の若き聖歌隊員 YCOY 」コンペの審査員としてもお馴染みの感ありですが、この人の「ピエ・イエズ」は大好きだし、「球根の中には ( 'There is a flower' ) 」とか「地上の美のために ( 'For the Beauty of the Earth' )」なんかも名曲だと思うし、合唱好きにとっては定番ですね。英国の作曲家はなんといっても声楽・合唱ものはつよいです。器楽一辺倒だったころは見向きもしなかったが、いま本棚の CD 突っこんである区画を眺めると、英国直輸入盤の英国作曲家もの音源も数こそまだまだ少ないが、バッハに混じってちらほら見えている。ハーバート・ハウエルズとか、ウィンチェスターカレッジ聖歌隊の歌うジョージ・ダイソンという人の作品集とか ( この人のご子息が、著名な物理学者のフリーマン・ダイソン氏 ) 。でもけさの放送を聴いてみて、クリスマスものだけでもけっこういろんな自作・編曲があるもんだ、と感じたしだい。「明日はわたしが踊る日」、「サセックス キャロル」、「クリスマスの 12日」、「主があなたを祝福し、あなたを守られるように」… 。英国ものは、実演でもご当地の聖歌隊で接することが多かった。Boys Air Choir、セントジョンズ、オックスフォード・クライストチャーチ。「パリ木」や Boni Pueri も彼らのアルバムで英国もの、とりわけブリテンの「キャロルの祭典」を収録していたりするけれども、お国柄というか、「外国の歌」を歌ってますという感じでこれはこれでおもしろいけれども、英国人聖歌隊による歌唱のほうがやはり違和感なく聴けますね。
2). いまさっき NHK TV のニュースで「聖誕教会のクリスマス」のもようを見ました … 寡聞にして知らなかったが、ベツレヘムはたびたび武力衝突の戦闘の只中に巻きこまれてきた場所。こんなふうに派手な電飾を施した、文字どおり Deck the Hall みたいなでっかいツリーなんか飾って盛大にお祝いする、なんてことがいままでにもあったんだろうか … いかにものどかで、平和で、まるで日本の教会のクリスマスみたいな光景だった。たしかここだったと思うが、だいぶ前、邦人観光客カップルがパレスティナ・イスラエル両軍対峙しているそのど真ん中を平然と歩いていて、兵士が唖然としていた、なんて話を聞いたことがあります。いずれにせよこのふたりが紛争地帯に迷いこんだ是非については蝶々しない。とにかく TV で見た聖誕教会の光景は平和そのもので、これからもこの状態がずっとつづくようにと祈らずにはいられない。と、ここでまたしてもジョイスの『フィネガン』の一節が思い出される。柳瀬訳版の第三巻に出てくる、「ベネント・セント・ブリジッド国立夜学出の」29 人の女学生たちが暇を告げるショーンに向かって呼びかける各国語による「平和」の連呼が ―― この国ではついきのうまでべつの「連呼」がこだましていたけれども。そういえば先だって地元紙面の若い人の投稿欄にもそんなことが書いてありました。書いたのは 13 歳の中学生です。「僕は、みんなの意見をしっかり聞いて自分の意見をはっきりと言える人になりたいです。そして、それを人に伝えられるような力を持って自分で何かを変えられるよう努力します。そして、戦争ではなく話し合いで平和になれる世界をつくれる日本人になりたいです」。
Frida! Freda! Paza! Paisy! Irine! Areinette! Bridomay! Bentamai! Sososopky! Bebebekka! Bababadkessy! Ghugugoothoyou! Dama! Damadomina! Takiya! Tokaya! Scioccara! Siuccherillina! Peocchia! Peucchia! Ho Mi Hoping! Ha Me Happinice! Mirra! Myrha! Solyma! Salemita! Sainta! Sianta! O Peace! ―― Finnegans Wake Book III , pp. 470 - 1.
教会つながりではパリの「ノートルダム」も建設着工から 850 周年 ( ! ) だそうで、祝賀行事がはじまるそうですよ。そして個人的なことながら、大晦日恒例 ( ? ) のクォートですが、じつは半年ほど前からもう決まっていまして、今年はこれで締めようと考えてます。最近大きめの地震とか多くなってきた感じがするので、とにかく年末年始は平和を、平安なクリスマスを、とせつに願っております。皆様もよきクリスマスを。
