2013年06月03日

「ラファエロ」展

 先日、遅まきながら国立西洋美術館にて開催されていた「ラファエロ」展、見てきました。

 30 代で夭折した天才画家ながら、さすがにこれだけ本人直筆の絵画作品が揃うと、やはりすばらしいものがありますね … 徒弟時代の作品からラファエロの代名詞的な「聖母子」ものの最高傑作、「大公の聖母」がやってきたとあっては、見に行かない手はない。じつは今年はおなじ上野公園内で開催されたツタンカーメン展 … にも食指をそそられていたんだが、事実上例の博士主催のこの展覧会、たしかにあの「黄金のカノポス壺入れ」は好き者にとっては必見だとは思ったけれども、すごい混雑だと伝え聞いてからはなんか行く気がなくなって ( 笑、だってあれすごい小さいですし、また「阿修羅展」のときみたいな状態だったら落ち着いて見られやしない )、けっきょく行かなかった。代わりにこちらを選んだしだいで、この選択は正しかったかな ? 

 当日券はあらかじめは買っておいたから、館内にはすんなり入れたとはいえ、やっぱりすごい人。なるべく順路どおりに、流れに乗って行動したいところだが、あっち見てはちょっともどってまたさっき見た作品を見直す、というクセがあるので、キュレーターからはヘンなやつだと思われたかもしれない。

 展示は 4つのテーマ別になってまして、最初はラファエロの徒弟時代のものから。ラファエロの父上も画家だった … ということはいまさらながらに知り、そしてその父上の作品もしっかりと見た。絵画には保護ガラス板のあるものとないものが混在してましたが、たしかこれはガラス板はなかった。作品保護には当然あったほうがいいわけですが、やっぱり鑑賞する側からするとあれないほうがいいですねぇ。描かれた当時にタイムスリップしたような、なんか得した気分になりますし。ほぇ、これが父上の絵なのかぁと感心しつつしばし進むと、こんどはラファエロ少年の筆による、かつて祭壇画の一部をなしていたという油彩の板絵が。「父なる神、聖母マリア」という作品で、威厳たっぷりの「神」が下を向いて王冠をかぶせようとしている場面 … で、この板絵にはつづきがあって、向かって右手に描かれていたという「天使」の絵も展示されてました。で、これを見た第一印象は、ずばり「あ、これってラファエロ本人か ? 」。つややかなブロンドの巻き毛に、気持ち流し目で翼の生えた少年。頬の色もうっすら赤らんで、いやあこのリアリティはさすがすごいなぁ、とさっそく釘付けになりました。

 あの有名な若き日のラファエロの横顔の自画像も来ていたので、さっそくご対面。あの「天使」と見較べても … うーん、ワタシの目にはやっぱり似ています。

 会場に詰めかけた人のお目当ての「大公の聖母」は、つぎのコーナーにありました … しかも下描きまで !! これは貴重だ。解説板にもあったけれども、もともとこの作品は「たまご型」構図にするつもりで構想していたらしい。素描のほうは、赤ん坊のイエスもマリアさんも、こっちを見つめている感じ。「大公の聖母」のほうは、どちらも伏し目がちで、鑑賞者のほうには目線は向いてません。ついでにこれもはじめて知ったのだが、静岡市で見た「ダ・ヴィンチ」展の『公式図録』に掲載されていたプラド美術館所蔵の「美しきモナ・リザ」同様、この作品も完成当時は背景が真っ黒に塗りつぶされてはおらず、窓と外の風景までしっかり描かれていた、という !! なんでまた真っ黒になんか塗りつぶしちゃったんでしょうかね ? とんでもないことしてくれたもんだ。ということは、静岡市での「ダ・ヴィンチ」展で見た、あの「カーネーションの聖母」みたいな感じで、聖母子は窓辺に佇んでいたということか。欲を言えば、その「復元想像画」もとなりに展示してほしかったな。

 三番目は「ローマ時代のラファエロ」… とはいえでかいタペストリー以外、大半が銅版画などの複製品。たしかに壁画とか、持って来られない作品がほとんどですからね。それでもたとえばラファエロがデザインした「紋章模様のタイル」とかもあったし、「日曜美術館」でも紹介されていた「友人のいる自画像」も実物は画面がけっこう大きくて、たいへん興味深かったですね。

 最後のコーナーはおおぜいいたというラファエロの弟子と、その影響を強く受けた画家中心の展示。ジュリオ・ロマーノなんて名前はうっすら聞いたことがあっても現物なんてめったにお目にかかれないから、これはこれでよかった。もっともいちばん興味を惹かれたのは絵画ではなく三次元作品、ブルーの釉薬をかけたテラコッタ焼きで表現した「聖母子と幼い洗礼者聖ヨハネ」。なんとも愛くるしい作品で、おもわず頬も緩んでしまふ。でもなんというか、この時代の流行りみたいなものなのかな、この「幼児イエスと幼児洗礼者ヨハネ」という構図は ( 笑 )。

 というわけで全体的にはおおいに満足 … ではありましたが、しかたないとはいえ、「大公の聖母」だけ「最前列の通路の人は止まらずに鑑賞せよ」という方式だったので、いかんせん神経を集中して見られません。しかたないからすこし後ろのほうからしばらく鑑賞していたけれども … なんか数年前に見に行ったダ・ヴィンチ作「受胎告知」来日展のときを思い出した。そしてどうでもいいことながら、なぜ『公式図録』が通販のみの扱いなのだ ??? 

posted by Curragh at 21:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術・写真関連
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